『大矢内愛史の世界 wrong exit』(Armageddon Nova、2014年)を聴く。
大矢内愛史 (sax, p)
この実にユニークなプレイヤーを知ったのは、最近、明田川荘之『ライヴ・イン・函館「あうん堂ホール」』を聴いてのことだった。国立音大出身、松風鉱一さんの先輩にあたる大ヴェテランである。
安易なレッテルを貼ることはすべきではないし、また好きでもないのだが、ここでCD2枚分まるまる展開されるサックス・ソロ(たまにピアノ)を聴いていると、強烈なローカルとはこういうものかと思いたくなる。たまに、アルバート・アイラーの「ゴースト」など覚えのあるジャズが聴こえてくるものの、吹いたあとの力の抜き方、民謡や童謡を思わせる節、そういったうたを愛おしむように締めくくるところなど、どうしても日本を感じてしまうのだ。しかしそれは、函館かもしれないし、究極のローカルたる個人ということに過ぎないのかもしれない。
ささくれた音となにかを探し求めるような息遣いがたまらなくいい。函館に行けばプレイを目の当たりにできるのだろうか。