Sightsong

自縄自縛日記

サイモン・ナバトフ@新宿ピットイン

2017-11-27 07:50:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットインでサイモン・ナバトフを観る(2017/11/26)。

Simon Nabatov (p)
Akira Sakata 坂田明 (as, cl)
Takashi Seo 瀬尾高志 (b)
Darren Moore (ds)

ファーストセットの主役はどちらかと言えば坂田明さんだった。最初にアルトを吹き始め、やがて重々しく「もし、もし」と何度もマイクに向かって唸る。「もし、もし」なのか「ムッシュー、ムッシュー」なのかと思っていると、「もしもし亀よ亀さんよ」なのだった。冗談そのものなのだがこれが堂々たるものになれば第四次元に昇格する。とはいえいつもの坂田節ではある。

セカンドセット、サイモン・ナバトフの長めのイントロが奇妙なものだった。それまで蓄積してきたクラシックピアノと知性を通じて歴史を凝縮し放つような、眩暈がする感覚。坂田さんもアルトを手にどのように入っていこうかと神妙な面白そうな表情を浮かべている。なお、あとで瀬尾さんに訊くと、ピアノの隣で数限りなくベースを弾いてきたが、とびきり異質な感じがしたといったようなコメントだった。

機会を見出してダッと斬り込む瀬尾さんのベース、文脈に沿って巧妙に遊ぶようなダレン・ムーアのドラムス。やはり坂田さんの唸りがひと段落してクラリネットに持ち替える前に、ナバトフが別の物語を持ち込んだ。他の三者がまた音楽に入ってきても、強引でもないのにその物語は涼しい顔で語り続けられてゆく。このあたりでナバトフの凄さが垣間見えたような気がした。アンコールに応えた短い演奏も、その奇妙な感覚のまま、脳のヘンなところをくすぐるものだった。

こんどはソロかトリオでナバトフのプレイを聴きたい。

●サイモン・ナバトフ
サイモン・ナバトフ+トム・レイニー『Steady Now』(2005年)


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