Sightsong

自縄自縛日記

ジョニー・トー(7) 『ザ・ミッション 非情の掟』

2009-06-09 20:58:11 | 香港

邦題は『ザ・ミッション 非情の掟』(1999年)と野暮ったいが、原題はスタイリッシュな『鎗火 THE MISSION』である。中国製のDVDを入手した(そのためPALフォーマットであり、日本のデッキの規格には合わない)。英語字幕があるので問題ないが、日本語であっても読めないくらい一瞬で字幕が消えることが多く閉口する。

マフィアのボスを護る5人の男の戦いと友情が描かれている。その5人とは、アンソニー・ウォンフランシス・ンラム・シュー、ロイ・チョン、ジャッキー・ロイ。彼らの取りまとめ役がサイモン・ヤム。5人はボスの護衛をこなしていくが、ジャッキー・ロイがボスの妻と関係を持ったことが発覚し、サイモン・ヤムはアンソニー・ウォンに始末を命じる。ミッションを通じて固くなった友情のため、5人はお互いに睨みあう。そしてまずは休戦、円卓を囲んで中華料理を全員で食べる。

こう見ると、大傑作『エグザイル/絆』(2006年)に通じるプロットが多い。やはり5人が友情で結ばれており、上に挙げた5人のうち最初の3人は共通している。サイモン・ヤムは煮ても焼いても食えないような雰囲気を漂わせ、憎憎しい。そして箸を鳴らして「最後の晩餐」が行われる。

腕を丸太のように固く突き伸ばして銃を撃ち続けるのはトー作品に共通する格好よさだ。5人がびしりと銃を構え、広角レンズで捉えた映像からは、それぞれの頂が輝く五芒星を強く喚起させる。気を抜く時間に、丸めた紙をサッカーボールのようにしてパスし合う場面も、『エグザイル/絆』の空き缶へとつながっていく。おそろしいほどの演出の余裕、既にプレ『エグザイル/絆』は提示されていた。

●ジョニー・トー作品
『エグザイル/絆』
『文雀』、『エレクション』
『ブレイキング・ニュース』
『フルタイム・キラー』
『僕は君のために蝶になる』、『スー・チー in ミスター・パーフェクト』
『ターンレフト・ターンライト』


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2 コメント

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Unknown (24wacky)
2009-06-09 23:07:58
ジョニー・トーを独り占めしてズルい!

1999年。10年前に日本で公開されていたのですか?としたら当時日本での評価はどうだったのでしょう?
この10年オイラは何を見てきたのだろう?
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Unknown (Sightsong)
2009-06-10 07:08:11
24wackyさん
独り占めって(笑)
しかし、じろじろ見ると、レンタル店で結構カバーできることがわかりました。『エグザイル/絆』も出回り始めましたし。本作はパソコンでもPAL対応のようでしたらお貸しできます。
調べてみると、これは日本公開は2001年。当方も、『男たちの挽歌』を観たという以上の興味が香港ノワールにはありませんでした。当時から「アンソニー・ウォン=穴戸錠」説があったようです(笑)
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