Sightsong

自縄自縛日記

MOMAのジグマー・ポルケ回顧展、ジャスパー・ジョーンズの新作、常設展

2014-06-29 08:13:32 | 北米

MOMA(ニューヨーク近代美術館)に足を運んだ。目当ては、ジグマー・ポルケの回顧展である。

ポルケはドイツ占領下ポーランド生まれ。戦後、東ドイツから西ドイツへと移住している。

かれの作品群をまとめて観ると、冷笑や皮肉と表現しては軽々しすぎるほどの狂気の毒流が実感できる。かれが師事したヨーゼフ・ボイスや、A・R・ペンクといったドイツのアーティストがそうであるように。このことを、二次的に、戦後流入してきた消費文化=アメリカへのアンチテーゼと説明することはできるだろう。その(攻撃の?)対象は、モノや広告だけでなく、抽象表現主義にも及んでいた。

モノやカネという駆動力がないなかで一見弱弱しく立ちながら、何ものかに回収されることのない活動というべきか。ちょうど前日に、アメリカ消費文化の中にどっぷりとつかる覚悟をジェフ・クーンズの作品群に見ることができたために、それとあまりにも対照的な姿として、大変印象的だった。

会場では、亡くなる直前に手がけられた、チューリヒの教会のステンドグラスが映像として流されている。ポルケの作品には定型的なスタイルがなかったことの証明のひとつかもしれない。もちろん、素晴らしい出来である。

別の階では、ジャスパー・ジョーンズによる「Regrets」と題された新作群が展示されている。

フランシス・ベーコンが絵のモチーフに使った写真が出発点である。その写真には強く後悔する男が写されており、変に折り曲げられている。ジョーンズはそのかたちにインスパイアされ、左右対称に展開して奇妙なフォルムを作り出した。それをアイコンとして、何枚も何枚も、Regretsが生み出されている。「的」や「アメリカ国旗」にこだわったジョーンズならではだと思える。しかし、何を考えているのか。

MOMAの最大の見どころは、やはり常設展であろう。かつて日本でも(90年代初頭以来?)、MOMAの所蔵作品が紹介されたことがあったが、わたしも現物を目にするのはそれ以来だ。

ゴッホの「星月夜」、ピカソの「アヴィニヨンの娘たち」、シャガールの「私と村」、セザンヌの「水浴する人物」、ダリの「記憶の固執」、モンドリアンの「ブロードウェイ・ブギ・ウギ」、デュシャンの「自転車の車輪」、ポロックのアクション・ペインティング諸作といった名作中の名作が、普通に沢山展示されていて、しかも撮影自由というのだから凄い。先日の「バルテュス展」で観ることができなかった道の絵もあった。


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