休日。家族は用事があって出かけてしまった。疲れて何かをする気もしない。
そんなわけで、録画してあったブライアン・デ・パルマの2作品、『ミッドナイトクロス』(1981年)と『ブラック・ダリア』(2006年)を観る。ああ下らない、これなら大リーグ中継を観ていたほうがよかった。(以前も、休日ひとりデ・パルマ大会をやって無駄な時間を過ごした。人は成長しない。)
『ミッドナイトクロス』は、録音機ナグラを抱えた音響マン、ジョン・トラヴォルタが主役。『サタデー・ナイト・フィーバー』の数年後だから、新たな役に飢えていたころに違いない。原題は『Blow Up』、ミケランジェロ・アントニオーニ『欲望』と同じであり、白黒写真の引き伸ばしがネタになっている。この頃の映画フィルムの雰囲気は好きだ。トラヴォルタの演技は悪くないが、当時の観客は色眼鏡で観ていたのかもしれない。
演出は、相変わらずのしょうもないデ・パルマ節だ。あえて言えば、最後の殺人と花火のシーンか。ジョニー・トー『フルタイム・キラー』との共通項を見出したような気がするが、まあ、トーがデ・パルマを好きであっても不思議ではない。これもいつものことだが、花火シーン一発に向けて映画が成立している。
『ブラック・ダリア』は、・・・駄目だなあ。これも一発芸は殺人の場面であって、同僚を救おうと階段を懸命に駆け上がる男の前を落下するシーンなどは、アルフレッド・ヒッチコック『めまい』か。剽窃と呼ぶかオマージュと呼ぶかは思い入れ次第である。
●ブライアン・デ・パルマ
○『ミッション・トゥ・マーズ』『ファム・ファタール』
○『リダクテッド 真実の価値』