Sightsong

自縄自縛日記

ドン・プーレンのピアノトリオとシンディ・ブラックマン

2018-03-21 14:00:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

新生ブルーノートにはヘンなものもあったけれど、一方では鮮烈な作品もあった。トニー・ウィリアムスの諸作もそうだったし、ドン・プーレン『New Beginnings』(Blue Note、1988年)も好きだった。

Don Pullen (p)
Gary Peacock (b)
Tony Williams (ds)

とは言え思い出して改めて聴いてみると、綺麗に小ぢんまりとまとまっている感もあって、せっかくのドン、せっかくのトニーなのだからもっと暴れて欲しかったところである。録音のせいもあるのかな。

最近、ドン・プーレンの同時期のピアノトリオ盤が手元に来た。『Jazzfestival Saalfelden 1990』(Jazz Time、1990年)と『Live at Queen Elizabeth Hall 1992』(Jazz Time、1992年)の2枚、両方ともドラムスがトニーではなくシンディ・ブラックマン。

Don Pullen (p)
James Genus (b)
Cindy Blackman (ds)

Don Pullen (p)
Hilliard Green (b)
Cindy Blackman (ds)

『Jazzfestival Saalfelden 1990』でも、『New Beginnings』と同じく名曲「Warriors」を演奏しているのだが、比べるとこっちのほうが勢いがあって面白い。それに貢献しているのはシンディ・ブラックマンであり、独特な推進力を持つジェームス・ジーナス(今となっては古くさい?)。一方、既にトニー・ウィリアムスが自分自身の再生産に入っていたような気もする。プーレンも缶詰の中ではない楽しさがある。同時期のアルバム曲の「Random Thoughts」などプーレンらしき破裂旋律を惜しみなく披露する。

『Live at Queen Elizabeth Hall 1992』はもっと上品な演奏であり、最初はピアノソロで攻めてゆき、途中からベースとドラムスとが参入する形。冒頭の「Richard's Tune」はムハール・リチャード・エイブラムスに捧げられている。

この時期のシンディ・ブラックマンのピアノトリオと言えば、彼女のリーダー作『Autumn Leaves』(Ninety-One、1989年)がある。ピアノはマーク・コーエンであり、破天荒鳴門渦潮のプーレンと比較してはならないのだが、これもまた十分に聴き応えがある。チャーネット・モフェットのベースは既にハイテクを駆使しているし、ブラックマン自身がエネルギーを発散しているということもある。ブラックマンはもともとトニー・フリークだったはずで、バスドラの強力な使い方なんて確かにトニーの影響かなと思えたりもするのだが、単なるフォロワーではない。いちどメルボルンでプレイを観たときには、トニーとは全然異なるダークパワーに圧倒された記憶がある。

Cindy Blackman (ds)
Marc Cohen (p)
Charnett Moffett (b)

●ドン・プーレン
サム・リヴァースをしのんで ルーツ『Salute to the Saxophone』、『Portrait』(1992年、1995年)
ジョージ・アダムスの甘甘作品(1979-84年、1988年)

●シンディ・ブラックマン
メルボルンでシンディ・ブラックマンを聴いた(2008年)
シンディ・ブラックマン『A Lil' Somethin', Somethin'』(1980年代後半~90年代前半) 


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