ブックオフで、『アースダイバー』(中沢新一著、講談社)が半額だった。わりと話題になっていたし気にもなっていたので読んだ。
じつはこの人の本を読むのははじめてだ。学生時代に講演を聞いたことはあるが。
コンセプトは、東京の自然史(凸凹の持つ地学的意味)と、神社・寺や遺跡を結びつけること。
縄文海進の時代に、高台やそのエッジに神社・寺や遺跡が作られた。それは、まあ、常識である。
これを地図により示し、そこから歴史や都市伝説や感覚についての話を展開している。そのアイデアはわりに新鮮であり、結構楽しくも読めた。しかし、それだけである。
むしろ、ものものしい言い方や強引な一般化ばかりが鼻についてしまう。やっぱり、以前からの印象通り、消費社会の徒花に過ぎないのだろうと思った。
こんなものより、『東京の自然史』(貝塚爽平著、紀伊国屋書店)をじっくり読み、東京を歩いてみるほうが知的好奇心を満足させてくれるはずだ。中沢氏も本書を参考文献に含めている(当たり前だ)。しかし一方、「東京は中心に皇居があるため円環構造」ということを執筆中に、確実に意識していたはずの『表徴の帝国』(ロラン・バルト著、ちくま学芸文庫)が記載されていない。あまりにもあからさまだから、書くのも恥じたのだろうか。
といいつつ、地図はよくできているので、東京を散歩する前にはチェックしようと思う(笑)。私が学生のときに東京の白地図上に色鉛筆で書いたものよりは数段よい。「地学+文化」というコンセプトと、コンピュータのおかげである。
まあこんなことを言っても、多くの批判にかき消されてしまうのだろうが。
明るくて、すこし春らしい感じですね。
原典にあたれとよく言いますが、
忘れ去られた原典をリニューアル、
言葉を換え、装丁を換え世に出すのも
出版界の生きる道なのでしょうね。
地図が良いとの評価ですので、一度
図書館で借りて見ます。
スタイルは、実は気紛れにコロコロ変えています・・・。
そうですね。多くの人が次々に引用しつづけないと、書籍はうずもれてしまいますよね。