アメリカのマイノリティ文化史において重要なハーレム。はじめて行ってみると、ダウンタウンともまた雰囲気がまるで異なる。道には、キング牧師やマルコムXの名前が冠されている。
ハーレム・スタジオ美術館は、40年以上前に作られた施設である(改装されているようでモダンなつくり)。ちょうど日曜日ということで、入場料が無料だった。観客もわりと多く、みんな、かなりじっくりと観て歩いている。
◆「星が降り始めるとき 想像力とアメリカ南部」
1階と2階では、「星が降り始めるとき 想像力とアメリカ南部」と題し、数十人のアーティストの作品を展示していた。それぞれの作品の意味を十分に受け止められるわけではない。しかし、意味という物語は必要不可欠である。
南部の建築物にインスパイアされたベヴァリー・ブチャナンの作品
マリー・"ビッグ・ママ"・ローズマンはキルトでミシシッピの伝統を示す
ケヴィン・ビースリーの「多くの空の下で休息を取るとき、私は自分の身体を聴く」。ヘッドホンで、ヴァージニアの環境音とともに観る。動物の頭をかぶせて何を言わんとしているのか。
デイヴィッド・ハモンズは、デルタの文化を瓶に詰めたという。蠅に見えるジッパー、ジョージアの土、・・・。
◆「Draped Down」
どういう意味だろう?個々の単語の意味はわかるのだが、と、係員に訊ねてみたが、「自分にもよくわからない。でもあのナイジェリア人の作品は凄く良いだろう」と。
ここでのコンテキストは、ハーレムにインスパイアされたセルフ・ファッションといったもののようだ。
1935年にマリ共和国で撮影された女性と現代のNYの女性を並べてみると、確かにクールだなと軽口を叩いてみたくなる。
同じシェイプで顔が塗りつぶされた3連作(ハーヴィン・アンダーソン)。
◆キャリー・メイ・ウィームス
キャリー・メイ・ウィームス(Carrie Mae Weems)という写真家の作品群。
ミュージアムのシリーズでは、ルーヴルやテート・モダンといった世界中の有名な美術館・博物館に向かって自分自身が黒いドレスで佇み、自分の背中とともにミュージアムを撮る。これにより、人種やジェンダーの複雑な関係を封じ込めようとしたのだという。また、黒人のアイデンティティに立ち戻ろうとした「墓場(Boneyard)」も示唆的。
はじめて知る写真家だが、かなり気になる人になった。
The Museum Series。これはロンドンのテート・モダンに行くための「ぐらぐら橋」。
Boneyard