なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ286 雪待月に

2020年11月01日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
三ちゃんのサンデーサンサンラジオ、第286回。11月1日、日曜日。

まずは報道部から1週間の動きをまとめて。
25日日曜日、松林寺臨時役員会、葬儀
28日水曜日、酒米田んぼのソーラーシェアリング調査
29日木曜日、もっちい例会
30日金曜日、新庄報恩寺慶弔会取材
31日土曜日、報恩寺慶弔会第1日目
その他法事が10件。
というような1週間でした。

11月ですよ。光陰は矢のように過ぎていきます。
決して後戻りはしません。過去にとどまっている時間はないのです。
常に顔を前に向けて、雨風も吹雪も真正面から受けていきましょう。どんとこい!です。

先週は色々ありました。
松林寺本堂の雨漏りが広がっていて、応急処置では追いつかないような状況になってきました。
当初10年計画で積み立てをして、その後に葺き替え工事を計画していましたが、10年待っていられないと判断しました。
急遽臨時役員会を開いて、来年工事の計画を提案し承認を得ました。正式には来春の檀家総会の決議をもって進めることになります。

酒米を植える予定の田んぼにソーラーシェアリングの太陽光パネルを設置できないか検討を始めました。
棚田状態の田んぼなので条件は良好です。田んぼの所有者奥山勝明君も乗り気になってきました。
問題は資金計画ですが、まずは設計図と見積もりがなければ話が進まないということで、ソーラーワールド社に現地を調査してもらいました。
エネルギーの地産地消を図りながら収穫した米で造る酒は、「山と水と、太陽と」で、さらに意味を持つと思われます。

新庄の報恩寺様では、今日明日の土日の両日に本葬と晋山結制が行われます。
一昨年12月、享年99歳で遷化された先代方丈様は開山第2世でした。
この地区は「昭和開墾」と言って、昭和2年に開墾が始まり5年かけて77家族が入植してきました。
しかし、土地はそれまで放牧をしていた荒れ地で、水はなく酸性の土壌のためなかなか作物が育たず皆難儀をしたと聞いています。
その後昭和9年には大凶作があり、戦争もあって、子どもを亡くす家も少なくはなかったのです。
そんな苦労を見るにつけ、霊を慰め心を癒したいと思った先代方丈様は、新寺建立を発願されました。
しかし、人々の暮らしは厳しく、また、各地からの入植家族のため、宗教宗派もバラバラで、話をまとめるのに苦労されたようです。
それでもあきらめず、話し合い、説得を続け、ついに昭和26年、仮本堂の建立を成し遂げたのでした。
以来67年間の長きにわたり、伽藍の整備、そして布教に尽力された、一生涯を報恩寺に奉げてこられた人生でした。
事実上、先住様が報恩寺を開かれたのですが、こういう場合曹洞宗では、謙遜して、自分の師匠に「開山」を譲るというのが習わしです。
それで、師匠である真室川正源寺閑雲旭處大和尚を報恩寺開山とし、自らは第2世となっているのです。
その本葬が昨日行われ、本日は第3世住職の晋山結制の法要が行われます。
コロナ過で、この法要が実施できるのかどうか、ずいぶん悩まれたようですが、万全の対策を講じ、参列者の人数も制限して、何とか実施にこぎつけたのでした。
久しぶりに、法要解説の役をいただいています。檀家さんに法要の意味を理解してもらいながら、参列したことを喜んでもらえるよう、解説の原稿を整えました。
最後まで無事円成できますように祈ります。

先日、役場の職員と話をしていた時、「すごいことに気づいたんだ」というのです。だいぶ酔ってました。
何をいきなり言うのかと思ったら、私の著書『やるきがあるのか』を持っていて、何度か読んでいると、その中で、「和尚が永平寺に修行に行った日にちと時間覚えてる?」と。「う~ん」。
「それが何と!3月11日の2時なんだよ!震災の日時じゃないですか!すごいでしょ!その時から震災とつながっていたんだよ」と興奮して言うのです。
「本あるよね。確認してみて」。本はそれはあります。
そうだったかなというぐらいしか記憶はないので、改めて読んでみました。確かに冒頭にそう書いてあります。
「へえ」と思いながら読み進めていくと、止まらなくなって最後まで読んでしまいました。
自分の書いた文章ですが、改めて読み返してみるとけっこうおもしろいですね。
脚色なしのすべて事実ですが、物語としてもおもしろいと思いました。
お手持ちでしたらもう一度読んでみてください。お持ちでなかったら、寺には腐るほどあります。連絡ください。

今月はいろんな予定が入っています。
今までおとなしくしていた分、少し羽を伸ばしたいと思います。
11月は霜月、雪待月という言い方もあります。
待ってもいないけど、今月中に初雪が降るかもしれません、その備えだけはしておきましょう。

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。