わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

Hyde Park in Hudson -- 私が愛した大統領

2013-06-15 | 映画・ドラマ・本
 上息子は今、日本。日本人の私を差し置いて、横須賀海軍基地に駐留している叔父(わにおの弟)の家に居候なのだ。羨ましい奴…(ぐぬぬ)。とはいえ所詮は鉄条網の基地の中(叔父宅は外だけどね)、アメリカ国内と大して変わんないんじゃないの?日本では8月30日公開の「マン・オブ・スチール」も、基地内ではアメリカと同時に公開してるんだって。スーパーマンが好きな息子は、全米公開を見逃して悔しがっていたけど、今週末に叔父と従弟たちと一緒に、基地内に観に行くんだって。日本に暫く滞在の後は、台湾へ行きます。と、いうのも、叔母さんが実は台湾の人なのだ。

 そして私は、図書館で借りたDVDが、まだまだある。今日観てみたのは、ビル・マーレイが第32代大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)役の「私が愛した大統領」です。コメディー・ドラマって書いてあったし、予告の感じでは、英国王ジョージ6世(英国王のスピーチのあの王様ですよ)と奥さんのエリザベス王妃がアメリカを訪れ、FDRのニューヨーク州ハドソンにある別荘で過ごす週末のドタバタを描いた史実コメディーっぽかったので、軽い作品だと思ったら、全然軽くないし~!むしろ女同士の静かな確執とか、戦争前の米英のリーダーたちの抑えた緊迫感とか、自信の持てない英国王の不安とか、重苦しいし~!

 本題は、大統領を取り囲む母親、猛妻エレノア、やり手の秘書ミッシーを、FDRの愛人デイジーの目を通して語ったお話で、彼女の死後に見つかった当時の手紙や日記を基にしています。だから、米英の第二次世界大戦での同盟を決定つけた週末のお話は舞台設定に過ぎません。ピクニックでホットドッグを振舞われちゃった英国王、ホットドッグにかぶりついたところで一斉にフラッシュなんて、クスリとするシーンはあるけど、コメディーじゃないよっ!「英国王のスピーチ」でも、王様と王妃様が二人で公園を散歩していたり、やんごとなき人々というより、随分と「普通」なんだなって驚いた。この映画でも、デイジーが「あなたのことエリザベスって呼んでいい?」「いいわよ」なんてシーンが有り、結構びっくらこいだ。「英国王のスピーチ」同様、この映画でも、ジョージ6世とエリザベス王妃は、とっても気さくでチャーミングです。


 もう一作は、長編アニメーションの「チコとリタ(Chico & Reta)]。ウィキせんせいの紹介によりますと:
「2010年のスペイン=イギリス合作映画。1940年代・1950年代のキューバやアメリカのジャズ・シーンを舞台にした音楽アニメーション。音楽監修と劇中のチコのピアノ演奏は、キューバ音楽の黄金時代の中心人物ベボ・ヴァルデス(英語版)。第25回ゴヤ賞の長編アニメーション賞、第24回ヨーロッパ映画賞のアニメ映画賞を受賞した。また、第84回アカデミー賞の長編アニメ映画賞にノミネートされた。日本では、2011年に開催された第8回ラテンビート映画祭にて上映された。」

 全編を彩るアフロ・キューバン・ジャズ、革命前のハバナの風景、1940、50年代のニューヨーク、パリ、ラスベガスのジャスシーン、ロマンティックなストーリー、とにかく素適!粋!セクシー!とても芳醇な一作でした。アニメーションは実際に俳優を使ってさつえいしたうごきをなぞったもので、DVD特典の制作メモも興味深いものでした。アニメなのに、実際に背景になるキューバの建物を補修しちゃったんだって。ジャズの巨匠の演奏もふんだんに取り入れられているし、実はとっても贅沢な作品です。大人の娯楽、って感じ。ジャズ好きな方には、是非観ていただきたい、自信を持ってオススメできちゃう隠れた名作です。

 しかし、この図書館の作品選択は渋すぎる。以前にも紹介した「パリ猫ディノの生き方」、「夜のとばりの物語(Les Contes de la nuit)」等の秀作アニメや、今村昌平の70年代のドキュメンタリー・コレクションや、ボトル・ロワイヤル完全版なんてマニアックなボックスセットまで揃えてる。司書さんのセンスに感服とともに感謝感激なのです。



まだまだ借りてきたDVDあるよ