Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

百合の季節

2011-07-05 18:46:51 | 自然
七月の声を聞いたら雨よりも真夏の太陽が照りつける日が増えている。
殆どが畑地と低山が迫っている日向付近の野辺道を歩いていて、
先日までは多種な紫陽花の色彩変化が満喫できた。
その紫陽花が終わって七月の濃くなったスカイブルーの空に強い
コントラストを示す花が咲きだすと日向付近の夏景色が完成する。
ノウゼンカズラと百合の仲間カンゾウの類がもたらす朱色の繚乱が
それである。
ノウゼンカズラは農家の庭木として好まれているらしい。
日向付近の古い石垣を積んだ家には、たいてい枝垂れ梅や柑橘系の果樹木と並んでこの木が植わっている。この木は百日紅同様に炎暑が強ければ強いほど、花の朱色はふてぶてしいまでに染まって咲き乱れる。この花も夏花の梔子などと同じで、道端に舞い散った花びらは行儀が悪い。
しかし堆積した花びらに西日が当っている情景には、やはり夏の儚さを感じてしまう。

一方のカンゾウは雑草の繁茂する土手や田圃の際でひっそりと咲いている風情が同じ朱色でもノウゼンカズラとは趣を異にしている。
秦野、松田、足柄の緑地帯の奥まった辺りではこれから八月にかけて百合の王様ともいうべきヤマユリが盛期を迎えて、その濃やかに沈殿する芳香の贅沢を我々に与えてくれる。このカンゾウが咲きはじめると、ああ百合の季節がやってきたという序章のトキメキを感じるのも毎年の気分にちがいない。
日向薬師の表参道には、小さな谷川があって少し前の季節にはシャガや水仙が、そして盛夏が始まったいま時分には、カンゾウの小群落がお目見えする。このカンゾウにも種類があってこの小群落は「やぶカンゾウ」という名前がついている。


ラジオ風

2011-07-02 21:12:11 | JAZZ
今まで部屋の飾りみたいにその色調だけを時々眺めていた
ドイツの古いモノラルスピーカーを近所に住むオーディオ
先輩とちょっぴりいじってようやく音だしに漕ぎ着けた。
ベークライトというセルロイドに似た素材のショコラカラー
が魅力的でチーク材のキャビネットの上に数年置きっぱなし
だったものだ。ダイヤルディスプレイがない昔のラジオ的な
佇まいが風情を醸しだして、夜半に半分居眠りと音楽が共存
できるようにいつかしたいと夢想していた小型スピーカーだ。
中は16センチくらいの布を被せたアルニコユニットにマッチ
ングトランスが付いていてダンパーの形も覗いてみたことが
なかった。これを普通のスピーカー端子に直付けできるよう
にバイパス工作を先輩が半田ゴテで工夫してくれた。

これをフィッシャーの真空管アンプに繋げてルボックスの
古風なCDプレーヤーで小さな編成の弦楽や女性ボーカルが
一層楽しめることになった。いままで門前の小僧習わぬ経を
読むということわざではないが、シーメンス、テレフンケン
、ツアイスなど往時のドイツ製スピーカーにも接するチャン
スもあった。シーメンスのミントグリーン色した段ボールの
ような特殊な紙を強化した小型スピーカーに接してアメリカ
とは味の違うドイツの力量を痛感した。8インチ程度の小型
ユニットが音を遠くまで暈さずに届かせて、けっして痩せぎ
すにもならないことを知ったのは、ビンテージの深みを知った
四谷時代のことである。
このショコラカラーのユニットには、ごついゴシック書体で
ドイツ読みの「NORA-DYNAMIK」という知らない
メーカー名が印字されている。いつものジェーン・ラッセルの
放つハスキーな声を再生してたちまちこのラジオ風ユニット
の鳴りっぷりの良さに魅了される。相方の先輩も同様な反応
である。またまたこのドイツスピーカーと過ごす時間が増え
て困ったことになりそうだ。