Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

益子の絵が好き

2013-03-18 16:51:42 | その他
先日の骨董市で買った5個セットで1000円の益子焼の湯呑茶碗は、見込み内にあるうすい罅(ひび)に気がつかないで安もの買いの銭失い風の失敗をしたと思っていた。しかし二日を経て、改めて清めついでにじっと眺めてみたらいいものだと思い直すポイントを発見した。柿釉という益子の伝統的な茶色地にワンポイントの絵が糠白地の窓に鉄絵で描かれている。これに赤や紺が入っていたら更にいいのだが。茶碗の一個一個の窓の形は微妙に異なっていて、柿釉に覆われた器体と絵の輪郭を仕切る墨色も濃淡や太さがばらばらで、5個それぞれの手描きならではの表情を作っている。

こうした違いがこの茶碗の味を生み出している。プリントで複製した几帳面な均一絵柄との違いだろう。少し昔は、手馴れた陶工さんやおばちゃんがすごいスピードで筆を走らせている、この茶碗のような雑駁でひょうきんな絵柄の益子焼らしい雑器がけっこう出回っていたものだ。有名な故皆川マスさんだったら梅、超大家の故浜田庄司だったら唐黍(とうきび)のように絵柄がトレードマークになっている人のものは見当がつくのだが、この茶碗が誰の絵付になったものかは知るよしもない。

よくみると絵柄は椎茸のようである。白抜き部分が埋もれてなんだか分らない茶碗も混じっている。もともと草花や山水を描いた柄は多いが椎茸は珍しい。椎茸があるということは同じ窯元には茄子だのカボチャを描いた茶碗があるのだろうと想像するのも面白い。遅かった春が駆け足でやってきた。益子の山里も町もこれからが春の本番だ。この稚拙な椎茸の絵模様を眺めていたら、むしょうに益子へ出かけて、このような雑器の山を掻き分けてみたい気分が高まってきた。

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