Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

国立 SINGS

2012-06-15 18:17:21 | JAZZ
木曜はたいていオフ日になるから、昔から馴染んでいるエリアへと電車を乗り継いで散歩に出かけるようにしている。亡くなった漫画家畑中 純さんの最後のちょっと前のブログを読むと、動脈瘤が決壊する数日前の小田急線の事故による余波を受けた満員電車における苦しい体調不良をこらえている描写を読んでいるとこちらまで油汗が滲んでくるようで切なくなる。

自分の狭心症が発作しはじめた5年前にも似たような冷や汗の出ることがしばしばあった。当時自営していた四谷3丁目の事務所を出てほぼ1キロ程度先の地下鉄丸の内線四谷駅まで、帰宅の為に新宿通りを歩く機会が多かったが、これが100メートル程度歩くと息が苦しくなって立ち止まってしまうという健脚自認者としては異常なシーンを度々迎えることになった。いま思えば心臓の基幹動脈の一本が塞がり始めてこれが二年後の夏の発作へと結びつく兆しだったようだ。カテーテル治療と予後のクスリ治療を重ねた節制のせいか?歩行時の苦痛なども忘れるようになって、それからは歩くということへの喜びは前よりも深まってきて暇さえあればクルマで遠出してもついでに歩くということを忘れないようにしている。

今回の散歩は久しぶりの中央線国立界隈そしてその北側に位置する小平付近を選んだ。西国分寺駅で友人のクルマに同乗させてもらう。そこからは思いつきNAVI役を買って梅雨晴れの多摩・武蔵野の郊外情緒に浸りたい思いでアドリブめいた場所探しのクルマ徘徊を重ねる。

そんな矢先の奇遇は前から一度は寄ってみたかった国立市内にあるカフェ「SINGS」に出会えたことである。府中の医療センター沿いの都道を抜けて国立の街へ入って大学通りに近接した交差点で信号待ちをしていたら、なんと!気にかけていた「SINGS」のベージュ色の瀟洒な店構えが飛び込んできた。即寄ってみることで一致する。端正な古典家具で統一した店内に控え目な音量のジャズボーカルが流れていて心地よい。カナダの本格男性シンガー、マイケル・ブブレのDVD収録映像ものなども流している。
こちらが年期の入ったジャズファンということを知ってオーナーは、アナログLPのヘレン・フォレスト、リー・ワイリーといった1950年代までの名花達の歌をとりだして聞かせてくれる。焙煎コーヒー、手製バナナケーキの美味も加わってよい午後の時間が流れる。更に因縁が深いのは、偶然寄ったこのお店にここ二年ほど親交が途絶えている吉祥寺「メグ」の寺島靖国さんが滅多にない電話をしてきたことだ。こちらの来店を主人が伝言してくれたせいで、電話を主人と交代して寺島さんとも瞬間的に会話を重ねる羽目になった。足が遠のいているこちらの薄情を言外になじっているようだが、寺島さん特有の人なつこさも健在で近々に吉祥寺で蕎麦でも食べようということになった。

国立を後にして立川の砂川付近からめざす都下唯一の楽園的花園「森田ガーデン」内にある民家蕎麦店「松根」は定休日で昼食を逃すことに。かわりにガーデンの未亡人が手製しているカモミールティーを喫しながら、味のあるガーデニング論をしばし拝聴することになった。これからの季節は向日葵、百合の諸種が夏空を彩ることでこのガーデンにはいつも自然の喜びが満ちている。

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