Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

霜月の雨

2014-11-02 06:20:15 | JAZZ

霜月(陽暦11月)にはいった。座間の室内気温は19℃。まだストーブを必要とする気温にはあと一カ月程度の時間がある。

新規に立ち上げた「フリマ・骨董市・古本好きの会」の例会の予定日だったが雨の為中止になった。そこで気分をすぐに切り替え、その中に参加している旧友の誘い電話にのることになった。横浜の少しマイナーな古書会館がJRの東神奈川駅と東横線反町駅の中間くらいの場所にある。昔、スケート場があった付近の公園の北側だ。雨の外出はうっとおしいが、腰痛のリハビリを兼ねるにはちょうどよい半日散歩になる。会場付近の大きな楓の大木の雨に打たれている色調は海に近い温暖な横浜地方にも晩秋が始まっていることを語っている。

小さめな会場は物色で気を散らすことがない。1時間程度の見物で良質な買い逃し本を数冊ゲットする。アメリカという20世紀のヘゲモニーを握った国が文化や教育の分野で自壊や変質していく模様を精緻に考察するアラン・ブルームの「アメリカンマインドの終焉」(みすず書房)、時代小説で近頃愛好している乙川優三郎「逍遥の季節」(新潮社)どれも小銭で買える良書に心が弾む。もう一冊はジャズ分野のイギリス出版物だ。1989年の発行「THE SOUND OF JAZZ」ジョン・フォーダムというジャズ名士による154ページの写真集だ。これは2000円と古書にしては値がはっている。横須賀中央付近の古書店が出したものだから、基地の関係者あたりからでたものか?等と旧友の青柳君あたりと勝手な推測を交わす。

同行した出口さんには角川文庫の絶版になっているウエストンの「日本アルプス」という素晴らしい山岳本を、300円で見つけて教えたら大喜びしている。佐々木さんにはクリムトの小さな洋書画集をおせっかい発見、これは200円ながら自分のもっているものよりカラーの質が褪せていない美本だ。佐々木さんの道楽部屋にはクリムトの横たわる儚い恋人や闇に浮かぶ少女等のオリジナルリトポスターがよい額装に納まっていつもレトロな音との親和力をもたらしている。。

古本収穫後は東急線の反町駅の横道で昔からやっている古いカフェ「キャメル」でお茶をする。本日のオリジナルコーヒーはブラジル、出口さんのなじみ店なのでしばし寛ぐ。

収穫品の写真はカーラ・ブレイやゲイリー・バートン、チック・コリア等のカラーフォト熟成時代にふさわしいモダンテイストなジャズ写真も多いが、古い時代のニューオリンズジャズ、ミントンプレイズハウスの前に並ぶハワード・マギーやロイ・エルドリッジ等の肖像、レスター・ヤングの斜めショット等、古きよきものも満載しているからブラジル豆のコーヒーを素晴らしく美味く感じる時間になった。帰り道は初めての東横線廃止軌道跡地の静かな遊歩道を歩きながら横浜駅へとゆっくり歩く。よき友を囲んだ「霜月」の始まりである。


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2 コメント

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モンクに文句なし (大山街道辻宿関守)
2014-11-05 21:46:01
反町の神奈川古書会館市はよく行きます。神奈川でも最近増えた若い古書店主たちが出してる「一箱」もとても面白いですよ。   

さて、ジャズのお話。
1955年に発売されたアルバム、「セロニアス・モンク・プレイズ・デューク・エリントン」を遅れ馳せ乍ら、毎日聞いています。とても粋がいい、息がいい、意気がいい、活きがいい四連荘アルバムで、毎日午前の相模川河畔公園ウォークで大きなポッケにソニーのCDウォークマン入れて聞きながらだと、思わず快活元気に歩けるほどです。

そのアルバム解説でのリバーサイド・レーベル立ち上げにまつわる話も面白いですね。
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クリムト (GRACE)
2015-04-02 19:08:32
そう、久しく離れてしまった美術鑑賞。
「クリムト」と「琳派」をコラボしたような美術展 なんてあったのかもしれないですけれど、見てみたい。
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