Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

台風去って女性店主合同古書展を漁る

2013-10-17 10:33:22 | その他

座間の朝は台風が房総沖を通過中とは思えないほど平穏だった。休日にも関わらず職業的習い性のせいか、朝5時には目覚めてしまう。せっかくの休日だ。お天気が好転してほしいが交通機関は台風関係で相当に乱れている。ダイヤが煩瑣化している為にすぐに音をあげて遅延してばかりいる小田急線を避けて散歩に出かけることにする。やはり相鉄線も遅れているが、こちらは路線が小田急に比べればシンプルだ。復旧も早い筈と判断して横浜市内へ向かうことにする。青柳君からの電話で横浜有燐堂書店の別館にて行われている古書展に誘われた。神奈川県下にある古本屋さんの女主人が選んだ書物、雑誌類の合同展示即売会という趣旨の柔らかさに惹かれた。7店舗の合同企画で中には、お買い上げした顧客サービスにコーヒーサービスのコーナーまでセットされている。「不機嫌な自我こそ充実している」という戦後知識人の言葉を思い出すが、ブスっとした仏頂面を下げているのが普通という古書店主にかわってジェンダー的に零細な台所を支えている柳田民俗学風な表現に例えると「妹の力」の表舞台への登場である。古書業界にもブックオフの一人勝ちに抗する為の陽性的に色々な企画があってしかるべきだ。会場の陳列はとても見やすく、女性の視点で選んだカラフル絵本等の在庫もミーハーに陥らないよいものが散見できる。

尊敬する船越保武さんの大判素描、写真集内等にも引き寄せられる。納まっている「聖クララ」などの女人像を淡く精緻に描いたエスキースを眺めていると涙がでそうな衝撃を受ける。欲しい!しかし定価3300円は決めてある休日散歩の自己規制上限額5000円にすぐ食いこんでお茶も飲めなくなってしまう。まだ会場見物の緒についたばかりだ。場内でもっと欲しい書物が見つからない場合に温存しておくという下流社会人の生きる知恵を発揮することにした。会場では藤沢湘南堂のコーナーでよいものに出会う。先だってゲットしたベルナール・ビュッフェの古典自動車画集みたいにチャーミングでカラフルなビンテージラジオの写真集だ。「RADIO REDUX LISTENING IN STYLE」というタイトルがついている。1930年代から1950年代のラジオ全盛期にふさわしいゼニス、フィルコ、モトローラ、スチュアート・ワーナー、シルバートーン、RCA,等のゴージャス且つ斬新で愉快なデザインのラジオばかりが夢見るように配置されていて、これは買わざるを得ない気持になって即決2100円である。

同じ場所には日本版「エスクワイア」がジャズ特集したものが2冊あった。これは1冊400円で安い。チャーリー・パーカーが白人のガールを横にして心底から笑顔で寛いでいるウイリアム・クラックストンのモノクロショットに参ってしまいこれも買う。あとは近所の路地裏マイペース古本屋で「斎藤慎爾句集」日本陶磁協会発行 「日本窯別名典」という便利極まりない古書を買う。散歩の上限規制額にはギリギリとなってしまったが、しかし船越さんの画集には心が残って仕方がないので、近日中の散歩にてゲットすることを心に誓うことにして、青柳君とは付近にオープンした「イタリアントマト」で再度200円のコーヒーを啜る。


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