Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

益子の夏 

2011-08-19 17:32:22 | 旅行
ここ2年半ほど訪問していなかった間に益子も茨城沖や東北大震災による数回の地震被害にあったと噂を耳にしていた。その被害は想像できないけど散乱した陶器類の片付けに苦労している人々の苦慮が想像できた。クルマを走らせて内陸の益子へ至る茂木や那珂市の町並みは何事もなかったように、延々と続く広大な田圃にだいぶ育った稲穂をそよがせていていつもと変わることのない夏景色である。しかし目を家々の屋根に転じてみれば、そこかしこに崩れ落ちた屋根瓦の修復風景が半年近くたった今でも見えていて、益子町へ入っても事情は同じようだ。

旧盆明けのシーズンオフのせいか益子の町並みは閑散とした空気で、観光バスも共販センター内で見かけることはなく生活雑器のような陶器でもゆっくりと物色できる利点が大きい。盆地で暑いと云われる益子だが、背後の低山の溢れる緑は蒸し暑さを鎮めてくれる。日陰に入って時折汗の肌を通過する微風の冷却効果は抜群である。掛け流しの釉薬が垂れる大きな甕や睡蓮鉢の道端に転がる風景は遠路を益子までやってきたという旅情を高めてくれる。「つかもと作家館」を細かく見学すると益子を知らしめた大家の作品も中堅、新進陶芸家の作品が網羅されていて、益子の現況をしることができる。

今回のお目当ては作家館、益子陶芸メッセの各展示館、益子参考館などを軸に、一般陶器販売店を見学することだ。臨時休館の参考館は見学できなかったが、他は益子らしさを満喫できた。かっての大家の凄さをあらためて実感、中堅クラスの低迷、新進のクラフト志向と幼稚志向(カジュアル化)への二極分裂、トータルの印象は益子の相対的低迷である。これは多分、日本の陶器を売っているどこの町でも同じことだと思っている。
一般店に溢れかえる駄もの陶器から益子の片鱗をうかがわせる愛すべきDNAを感じた何品かを買ってみた。鉄絵の縦縞湯呑、糠釉の片口、シンプルな円模様が大胆な小皿、灰釉の土瓶、次回はこれを紹介したい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿