Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

信州即興旅其の2 善光寺、飯綱高原

2014-08-22 19:00:55 | 旅行

信濃大町から長野へ抜ける県道を気の良い信濃大町JR駅員に教わって闇の峠道をひたすらに走る。闇また闇の数十キロだ。一度「塩の道」という別称の糸魚川・白馬村へ向かう国道を走るが、途中「仁科三湖」近くを山間部の美麻村というその名も信州的に「美しい村」を東に折れて中条村などを経由して長野市街地へと向かう。昼間、走っていたら、やはり若年期に交友があった都下ひばりが丘のN氏が美麻村に住んでいて創作家具職人になっているという噂を聞いたことを思い出し捜しだしていたことだろう。夜道では右も左も見当がつかない。街の明かりが恋しくなる。昼間だったらきっと新鮮野菜や果実が満載の素朴な「道の駅」等も数か所はある筈だ。長野市へ注ぐ犀川が大川の趣をもって蛇行する景色も残念ながら闇に溶けてしまっている。

なんとか市中へ滑り込んでも8月15日は全てNGの臨時宿泊施設だったが、更埴方面にむかう辺鄙なバイパス沿いにてやっと確保する。素泊まり6000円也。旧盆のさなかにいい加減な旅をしているが、これは厳密規格で生きている妻や恋人等を同伴していたらきっと口論になっているな!と反面でホッとする。疲労のせいか静かなビジネスホテルにて熟睡の朝はコーヒータイムを終えて長野市の臍である善光寺をめざす。

昔はこういう大きなお寺さんのバロック趣味を敬遠する心性だったが今は違う。日本宗教の総合百貨店だけに方々からやってくる参拝客を包容する力を感じる面白い聖域だ。長野市街へ南に向かって緩やかに傾斜する参道の遠景これが長野市を美しい街にシェイプしているようだ。護摩を浴びる小学少年・少女のまぶしい夏の風景もいいものである。参拝者の群れに交じって本堂地下にある「お戒壇めぐり」までしてしまう。「極楽の錠前」に触れて未公開の本尊秘仏と縁を結ぶという闇伝いのイニシエーションである。あまりの暗闇に当惑するも、「お戒壇」入り口に祀ってある仏舎利塔の中の「釈迦像」が素晴らしい。タイ王朝の寄進になる17世紀スコタイ期の優美な小ぶりな仏像のフォルムに感激する。「ご本尊秘仏」に出会えなくともこれと巡りあえる500円拝観料の立派な対価になった。

何度か道を間違えて善光寺の周りを巡ってから上松経由で飯綱・戸隠高原に向かう。雨混じりながら気ぜわしないループルートの苦労もあってやっと信州らしい真夏に対面する。峠の途中にある農産物直売所が当たり場所だった。お百姓の爺さん婆さんが当番制でお店番している。愛想もなにもないが質問への答えは信州的に誠実で実直だ。ここで朝獲りの玉蜀黍、小豆、早生リンゴの「夏明かり」等を購入する。

試食用の胡瓜の浅漬け、リンゴのシロップ煮などの美味いこと。向かいに群生しているオレンジ色の花を尋ねたら「花豆」という答えが返ってきた。あの大粒なチョコレート色した豆である。大好物だが収穫は秋のようだ。飯綱温泉等の表記に途中魅せられるが、戸隠バードラインとの合流点になるおおきな「大座法師池」を目指す。どうやら雨は本降りになってきて雨の戸隠もいいものと思いながらクルマを進める。

 


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