Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

本牧の一軒家古本屋

2018-07-07 16:07:11 | ラジオ亭便り
本牧の間門の住宅街に民家タイプの古本屋さんがオープンしていることを、いつも精力的な古本屋ウオッチャーとしてライブ感に満ち溢れたblogを披瀝している方の文章で知った。その方のアクセス法では、とんでもない迂回道順になってしまうので、麦田から本牧通りをバスで目的地の「二の谷」迄、横浜市営バスでシンプルに訪ねることにした。古本屋のネームは「けやき」 伸び伸びと爽やかないい名前だ。間門から近い同じ本牧付近に住む鎌倉「たらば書房」店主を誘ってバス停前に現地集合とする。

台風崩れの温帯低気圧が日本海を北上している前線の影響で横浜付近にも雨を降らせている。古本屋の緑に囲まれた庭を眺めるには好適な雨模様を喜びながらの初訪問となる。磯子方面への「二の谷」バス停先の路地をすぐに左折して突き当たり正面に当該の看板「けやき」が見えている。大きな敷地の中に大きめな旧家があって、そこの玄関先には古い井戸とポンプが残置されていて遠くなった戦後に近い昭和を物語っているようなオブジェの風格だ。


古本販売所は旧家に差し向かう住宅の一室があてがわれている。在庫量はご店主が勤め人時代に集めて読書したと思われる、文庫本、小説、エッセイ、美術書、写真集の類で総量は少なめながら選びやすい陳列法だ。スリッパに履き替えて冷やかしで退散するわけにはいかないが、丁度手頃な書物に出くわす。

「私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ。。」という若い時分に啓示を受けた詩句の作者、ジャン・コクトーのエッセイ集「ぼく自身、あるいは困難な存在」(筑摩書房 1991年刊行)、文庫本 栗田勇 「一遍上人 旅の思索者」(新潮社) 梅棹忠夫 「京都の精神」(角川ソフィア文庫) 合計800円。

価格設定は古本屋としては普通と言ったところ。この本におけるジャン・コクトーの啓発フレーズにはこんな一節もあって嬉しくなる。
「 1917年以降、つまり十四歳以後のレイモン・ラディゲだが、かれは、新しそうな様子をしているものにはその新しさを警戒し、前衛派の流行にはその逆を衝くことを僕に教えてくれた。それは、都合の悪い立場に自分を置くことだ。。。」(秋山和夫 訳)
私などが好きなジャズに就て、1960年代に本能的に体得したスタンスが語られているようで大いに共鳴の得られる箇所である。

営業日のご案内 7月15日(日)13時〜19時

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