Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

ベーコンと玉葱のトーストサンド

2013-03-10 10:18:27 | 

ベーシストのビル・クロウの自伝「さようならバードランド(あるジャズ・ミュージシャンの回想)」(村上春樹訳 1996年新潮社刊)を時々、書架から引っ張りだして再読している。ジャズについて熟知している村上春樹のよくスイングする名訳のせいでこの本は何度読んでも飽きることがない。昨夜も夜勤のついでにこの本と山と渓谷社で発行した「原色野鳥図鑑」を携行して出かけた。人っ子一人いなくなる休日でしかも深夜の工場構内というロケーションだ。仕事の隙間ができるとインスタントの焙じ茶やコーヒーを入れて、こうした類の本をめくってたっぷりと過ごせる時間をもてるのも幸せなことだなと思う瞬間である。

いま時分の空は五時半くらいに白み始める。つぐみ、せきれい、椋鳥、めじろといった野鳥の訪問にはことかかないが、今朝はしばらく姿を見せなかったカワラヒワが閑静な構内をめがけてやってきた。二番い(ふたつがい)のカワラヒワだ。この鳥は野鳥界の中では、その華奢な姿から推測していかにも弱者らしい。サツキの繁みに隠れて砂地に潜んでいる極小な虫でもしきりに啄ばんでいる。そこには比較的にものおじしないスズメもやってくるものだから、いつも警戒深くきょときょとと落ち着かない。この小さな鳥の翼に彩色されている黄色の模様はいつ眺めても嬉しい気分になる。ほんの5分程度の滞在だが、これから気候が温かくなってくると毎朝餌漁りにやってきて来るべき繁殖期の準備に勤しむのだろう。

カワラヒワとの再会を心の中で愛でながら、休日で空いている国道246を帰路についていたら空腹を覚えた。ちょうど昨晩、再読していたビル・クロウの回想記中の食べ物部分を思いだす。それは第2章の「大都会」に入っている。演劇の夏季セミナーの帰りに、4歳年上の軍人の兄貴からニューヨークへ寄り道することを薦められた17才少年の初滞在記箇所である。なけなしの懐をはたいてメジャーな劇場のジャズライブを見聞した感激の波動が聞こえてきそうな直後の記述である。「そのあとで僕は幸せな気分で足をふらつかせながら角のネディックの店に行って、ホットドックとパパイアのジュースというエキゾティックな夕食を取った」

これを読んでいたものだから、今朝はむしょうにホットドックを食べたくなった。246のロードサイドにはモスバーガーもある。ところがあちらのホットドックではどうも理詰め過ぎる。昔、馬車道の角にあったハンバーガー屋で出していたような柔らかめなパンと腸詰のロングソーセージのドックが食べたい。ソーセージもパンも家では在庫切れである。座間へ戻って冷蔵庫を開けて見た。冷凍の食パンとベーコンの切り身があった。玉葱もあるからこれを炒めてハインツのケチャップを和えて、トーストしたパンに挟んでみるのも悪くはなさそうである。具がたっぷりと詰まっているトーストサンドがなんとかできた。これにコーヒーという朝食にやっとありつけることになった。


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