Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

一喜一憂

2015-01-12 08:33:37 | 

一月の四連休は今日が最終日。金曜日は大和のT会病院の定期検診日だ。バイクを飛ばして指定時間の1時間前に到着して、採血と尿検査を受けておく。少し気配があった心臓のノッキングは秋以来現れてこない。しかし知人の美味い土産品、昔からの嗜好品慣習からは抜け出せない。

 

町田「仲見世」通りの「「七面」の前を通ればついつい入って美味いラーメンを注文してしまう。そうした安易に流されやすい習慣の悪い結果が数値に表れるのでは?と採血結果にビクビクする。数値は懸案の項目を忠実に反映してしまう。医者が指摘している不安材料は肝臓、腎臓、糖尿である。これらが心臓への影響を及ぼすからだ。この日は意外にも血圧はノーマル、尿酸値、血糖値も正常基準内ということで安心する。しかし肝臓の脂肪数値と中性脂肪は相変わらず高い。これを減らす為のクスリを処方され、駆け足以外の運動をきちんとしろとアドバイスされる。仕事や趣味であれだけ歩いていても!という落胆した気持ちになる。調査バイトの歩数は合計15000歩になる日があるのに、沈殿したフォアグラ脂肪はなかなか燃えないのだと思いながら、つまらない景観の大和の市中を半周する。病院で半日を費やしてしまった。昼時になってパチンコ屋の近くにある「大和家本店」のやはり美味なラーメンがよぎるが、パスしてモスバーガーへ寄る。ホットドックとコーヒーという簡素なランチだ。

モスで小休憩してから駅前広場に対面している「古本市場」へ寄ってみる。昨年末に見かけた益子の中堅陶芸家、岩渕タケ子の大きな桐箱に入っている焼き締壷は店内の地ベタにまだあった。古本処分のついでに一緒に漂流始めたものらしい。値を下げて3900円!39000円は優に超える逸品である。桐箱の墨書サインもけれん味がなくよい。心は揺れるが、茶色の素地カラーの薄めのモダン風合いがどうもしっくりこない。もう一度来た時によかったらと思って店先の100円均一を覗く。やはり一憂のあとの一喜が待っていた。若い頃にはその滋味も理解できない為に買う機会もなかった尊敬する上林暁の古いエッセイ集があったのだ。

どこかの書架で潜んでいたのか?箱は背が焼けているが、帯は発行時の昭和50年8月のままである。発行元は新潮社、およそ40年前の単行本だ。上林暁が戦後脳梗塞の病に倒れてその病をあやしながら生きてきた時期の小粒な随筆ばかりが載っている。故郷土佐中村付近の山村の話、気を病んだ(「聖ヨハネ病院にて」や昭和10年代の後期の諸作に登場する)妻がぼけ食いの奇矯な行動をしてばかりいた食糧難の時代に滅多にない配給品を半分だけ残しておいてくれた逸話、四国、土讃線開通の頃の思い出など、これは嬉しい話題のコンテンツに溢れている本だ。

今年は何としても上林暁や大原富枝を生んでいる四国の南側を歩いてみたいと思っている。「中吉」で始まった新年だが、上林暁のやはり昭和44年に出た小粒なエッセイ集「草餅」。これなども滅多に掘り出すことは難しいものだが、この嬉しい波動が伝わってどこかの古書店の店先でひょっこりと顔をだしてくれるのではないかと良い予感がしているところである。


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