Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

「雨水」のジュリー・ロンドン

2013-02-21 08:49:28 | JAZZ

二月初めの温かさはどこへ行ってしまったのか?綻ぶ途中にある梅の小さな蕾も困った様子だ。梅の花芯に蜜を乞いに飛来してきたペアーのメジロは、それでも春の訪れを喜色に満ちた細かい囀りで応えている。二十四節気の「雨水」は雪が雨に変わる時季を喩えているがそれが過ぎても寒気は去っていかない気配である。
昨朝の大山に連なる低山は夜半の雨が雪に変わったせいで、舞っていた粉雪が麓の方にまでたっぷりと覆っている。温暖な伊勢原・秦野地方としては滅多に見ることがない雪化粧の山景色を眺めながら座間へ戻る。

仮眠後のはっきりしない空を見上げるコーヒータイムは、ジャズ耽溺者による「雨水」時期の選曲である。気分でジュリー・ロンドンのリバティー時代の企画シリーズの人気盤として名高い「CALENDER GIRL」を選んでみる。1956年という輝ける旬のジュリー・ロンドンだから、ジャケットを飾るピンナップの美肌も顕わなる各種肢体写真の質感は、特別に金をかけた制作が可能だった時代にふさわしい厚手なビニールコーティング仕様の初期盤LPでこそその臨場性も発揮されるのだろう。残念ながらこの時期のジュリー・ロンドンの初期盤LPは「ハー・ネーム」の1・2、「アットホーム」「ミッドナイト」くらいしか持っていない。あとのジュリーは全てセカンド・イシューかそれに併せたCDでこれもその類のBGM用ストックである。

ジュリーはこの中で「4月の思い出」「メンフィス・イン・ジューン」「9月の雨」のような各月にふさわしい恋歌をしっとりと歌っている。このレコードに時々目が行くのもジュリーの露出度ばかりではなく、こうした良いバージョンに引き寄せられるからだ。このレコードにはジュリーの旦那さんだったボビー・トループが作ったお洒落な曲も公平に二曲ほど選ばれている。10月と2月である。男性コーラスを従えたミュージカル調の「THIS OCTOBER」と「FEBRUARY BRINGS THE RAIN」というちょっと鬱っぽい曲だが、好みは後者である。やはりアメリカにも「雨水」めいた時期があるのだろうか、ジュリーの声も湿り気をたっぷりと含んで、短く過ぎる二月の恋心を切なげに歌っているようだ。

恋の歌はどうしても届かない心情を描写するものが多いけど、今度はリー・ワイリーがだいぶ大年増になってから吹き込んだオーディオファイルの「バック・ホーム・アゲイン」というデモセッションでも取り出してみよう。その中には大好きな「SPRING WILL BE A LITTLE LATE THIS YEAR」や「IF I LOVE AGAIN」みたいな曲が満載しているからだ。こうした曲でも聴きながら季節はちょっぴりと春めいてくるのだろう。


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