Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

JAZZ名盤999第2期から

2011-08-03 11:44:29 | JAZZ
デッカのコーナー型スピーカーに魅せられているが、ジャズは圧倒的にタンノイの10インチモニターゴールドに分があるようだ。
暑さも少し緩んでこのモニターゴールドの生彩を納得させるソースをと!思って物色していたらちょうどよいCDに遭遇することができた。

旧東芝EMIという会社はブルーノートという超有名レーベルを擁してきたが、今はEMIミュージック・ジャパンという会社になっている。
そこはブルーノート以外にもキャピトル、リバティ、パシフィックなどの一時代を築いたレーベルも傘下に納めている。今度はジャズファンの高齢化と不況を吹っ飛ばそうという意図なのか?1000円シリーズならぬ999円というデフレ奇襲に打ってでた。1円の差がもたらす幻惑の効果はどんなものだろうか。駅ビルの新星堂でLP時代には、何度も買い替えたことがあるLPがこのCDシリーズの2期に収まって売っていた。24bitリマスターなどの呼び込みコピーにはもう騙される年ではないが、そのジャケットについつい吸い寄せられてしまう。

ビル・パーキンスとリッチー・カミューカ、テナーマンの2テナー作「TENORS HEAD-ON」とハンク・モブレー&リー・モーガンの「MONDAY NIGHT AT BIRDLAND」この2枚は古い時代(50年代後期というジャズ的豊饒期)のジャズ音力を体感できるジャズファンの良心の砦、心の糧の見本になるべきCDだ。

この夏はどういうわけか?蝉時雨を聴くチャンスがない。夏空の下に暮色が立ち込めた凪のようなひととき、そんな頃合いにピッタリな曲が2曲目の「I WANT LITTLE GIRL」7曲目の「SPAIN」どちらもテナーサックスの優しさと憂鬱の湖水にさざめくコラボレーションの陰影を楽しめる演奏である。

そして「MONDAY AT」は旬というものの溌剌を自発的に連射するリー・モーガンの輝いてはちきれそうなソロが最大の見せ場で他の奏者はどうでもよくなるCDに違いなく、これは初CD化された地味名盤だ。この盤がルーレットではなく、ブルーノートでリリースされていたらもっと売れたに違いない。
旧盆があけて空いてきた高速道路を駆け抜ける旧型車のカーステレオをフルボリウムにして聴く、そんなシーンにぴったりな曲が「THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU」一瞬の青春が取り戻せること間違いのないこれまた全力疾走するジャズ演奏の見本みたいな曲である。