Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

武相荘の緑

2011-04-25 10:25:59 | その他
鶴川駅から近い白洲次郎・正子夫妻がかって住んでいた
「武相荘」を訪れる。桜もすっかり葉桜になってしまい
里山は山吹と八重桜、そして藤の房も垂れ始めてすっかり
初夏の装いである。
ちょうどこの時期には白洲正子の「生誕100年」を記念
した仏像展が世田谷美術館で開かれているらしい。
白洲正子がよく歩いた近江、紀州、京などの仏像が一堂に
会する展示会で我が借家の真上とも言うべき古刹日向薬師
の薬師三尊像も東日本地区のお寺からは、唯一展示との噂
も聞いている。しかし休日で駐車場の混雑なども予想され
腰がひけてしまい一度訪ねたことのある「武相荘」に日和見
することにした。
昔の東京府鶴川村能ヶ谷在も戦後の人口増加による郊外開発
で里山の優美な丘陵が魅力だった付近は、すっかり西洋菓子
めいた住宅密集地になってしまったようだ。
白洲邸の一角だけは辛うじて保守された「武州」の残像が
残っているようだ。
長屋門の奥に広がる母屋の南側に面する庭の風情が素晴らし
いのは京都などの寺院でみられる意識しすぎの整理・整頓と
異なる放置感の魅力といったものだろうか?
終わりかけている真紅の椿、柿の若葉、群生するシャガ、
太い孟宗竹に覆われた竹林をなにげなく眺めていると「緑」
という語彙が浮かんできて「嗚呼緑なんだ!」という内語の
呟きが漏れてきそうになる。
母屋の西にはクヌギ、欅、楢などの雑木林が広がっていて
ここは樹幹や葉陰に舞い降りる光りの遊び場を作っている。
木立の繁みに悪戯っぽく放置された琉球の「シーザー」も
光りに沐浴している様子である。
母屋に展示された古瀬戸、織部、唐津、一級クラスの織布
作家の諸作品は、選んだ白洲正子の眼力が反映してるから
無論素晴らしいのだが、この剛毅な田舎屋敷を映えさせる
最大の魅力は四季の草花であることに気がついた午後である。