Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

竹の子のお駄賃

2011-04-22 12:03:00 | 
借家の敷地はかなり広くて裏といってよいのか、東側といってよいのか、そちらはすぐに草がぼうぼうに生えて始末におえなくなってしまう。
これから蒸し暑くなってくる季節は雑草類の繁茂は猛々しいほどになる。
雑草が繁ると山蛭という吸血虫や蛇のよい隠れ家になるから、田舎の人々は暇さえあれば敷地の際を刈り込むという習い性が身についているようだ。

先日まで冬枯れの空き地には「はこべ」「貧乏草」(ヒメオドリコ草のこと)「スカンポ」がびっしりと覆い尽くしている。
農作業が趣味といえる大家さんと朝の立ち話をしていて初夏を迎える前に刈ってしまおうと、二人で鍬を持って午前中の一時間をいそしむ。
お寺の参道に傾斜した竹やぶもこの敷地に属しているからそろそろ竹の子が顔を出す頃と予感していたら、あまり太くはない竹の子の先を見つけた。
草取り作業が生み出す余得というものである。
汗をかいて雑草を隅の方に寄せてからこの竹の子を掘り出してみる。
まだ小さいが採ったばかりの竹の子は、早く処理をすれば刺身でも、煮付けでも芳しく柔らかく深い味を楽しめる。

さっそく湯がいたあと、鰹節の出汁で醤油煮を作ってみた。お昼のざる蕎麦の副菜に向いている旬の味だ。
雑草類の混生する中にひっそりと咲く「野いちご」の淡い花を灰釉の花器に挿すだけで陽春のBGMを奏し
はじめる様子も竹の子と同じように季節がもたらしてくれるお駄賃にちがいない。