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Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

スタミナ丼を作る

2013-06-09 21:31:27 | 
少し前に国立の谷保駅前にある和食店「大根の花」で食べた昼の「トンポーロ定食」がとても美味かった。夏が近くなってこのところ蕎麦ばかし食べているせいか、コクのあるものもたまには食べたくなった。そこで美味のレベルでは「大根の花」よりも遥かに劣るけど「トンポーロ」風真似っこ丼に挑戦してみた。外食をしない日の自炊の場合、大抵五合炊きの電気釜できっかり三合を炊くことが多い。三合あれば三回分のご飯ができる。全部食べることはできないので、そのとき食べる以外を冷凍してしまう。これを電子レンジで戻す。豚のバラ肉をこんがりと狐色に炒めて玉ねぎとピーマンも併せて炒める。「大根の花」では白髪ネギが敷き詰めてあった。しかし簡単にする為に手間を省いた。タレは醤油、味醂、清酒を煮詰めて焼き鳥のタレ風に濃いめにつくる。これを焼き豚にかけるだけというもの。

町田の繁華街で数回、食したことがある「スタ丼」というのを思い出した。「スタ丼」は肉の味付けにニンニクをこれでもか!というくらい使っていてその臭気に辟易としながら食べたことがある。こちらは塩、胡椒だけの下拵えのみでいたってシンプルな豚肉の甘辛味が完成。益子焼きの大型丼にたっぷりと盛り付けてモリモリと食べる。すると気のせいか、元気が湧いたような気分になるから不思議なものである。副菜は「おかめ納豆」「ワカメと豆腐の味噌汁」というコンビである。豚丼では街道筋でたまに看板を見かける「十勝豚丼」という北海道からの参入豚丼もあるらしい。こちらの味は知らないが、どんなものなのか、自分の味と比較する為に一度、入ってみようと思っている。豚肉はやはり出し汁のようなものに漬けてコクをつけるべきなのか、素焼きがよいものか判断に迷っているが、色々なバリーエーションで男のしがない料理街道をまっしぐらという感じである。

サクランボのジャム作った

2013-05-27 08:18:16 | 
先日、伊勢原の郊外にある大きなヤマ桑の木になっている鈴なりの実をもいできた。ジャムにでもしようと思ってネット記事を泳いで参考にした。長野県在住の女性のブログが丁寧に日本らしい季節感を活かした手作り食の優れたレシピをいつも披瀝していている。その女性の数年前の記事に桑の実ジャムの文章が載っていた。これを参考に枝ごともいできた桑の実をジャムにしようと意気ごんでみたがあえなく頓挫してしまった。女性が穏やかな筆致にて諭しているように桑の実ジャムは下ごしらえが手間仕事だ。黒いへたをジャムにするくらいの量を外すわけだから、これはラッキョウのへたとりにも劣らない難行仕事になってしまう。雑事に追いかけられている時期だったもので気持ちの切り替えができずにあきらめてしまった。黒ずんで熟した桑の実は毎朝専用庭へやってくる雉鳩や雀が啄ばめるように片隅に積み上げてやった。

これに懲りた筈なのに、今度は真っ赤に熟したサクランボの鈴成りを見ていたら、いつもトーストで使うアオハタや明治屋の定番「マイジャム」以外のものが食べたくなった。一つサクランボのジャムでもと思って、自生する酸っぱそうなサクランボを庭の持ち主に許可してもらって持ち帰ってきた。園芸種だから甘みなどあることは期待できない。しかし果皮の赤色はちょうどよい照り具合だ。ジャムにするにはよい頃合である。さっそくネットを泳いだら先達さんの優れ参考レシピが満載している。洗って下拵えする。へた取りは自然に剥がれるので苦労はしない。しかし今度は種を実から取り除く苦労が待っている。ひたすら便利を追求してきた戦後社会で、身近な日本のスローフードが面倒臭い手仕事ゆえに廃れていく様子がなんだかよくわかる。

小さな瓶が1個程度の量だと思って種取りを無念夢想で行う。サクランボが500グラム、砂糖500グラム、レモン汁はレモンの半切れ位を絞る。ネット解説によるとサクランボにはペクチンという凝固成分が少ないらしい。アク取りも丁寧にせよとのことだ。この2ポイントを守ることにする。夜勤明けの開放感に浸って読書する傍ら、焦がすことを注意しながら煮詰めてみる。心配していたサラサラにはならないで上手く固まってくれた。しかしあれだけの原料で歩留まりの悪いこと。明治屋の「マイジャム」の小瓶が1個半という苦労の成果だ。冷まして瓶に収めてから昼のトーストに使って賞味してみる。味の方はどうだろうか?イチゴやオレンジのジャムと比較した味は、果実が放つ香りなどの個性が今一歩淡く抽象的である。しかし色栄えが素晴らしい。トーストに塗って食べながら思った。これは季節の色というものを食しているのだということを。

立夏の蕎麦

2013-05-17 18:04:13 | 
愛用している安川電機製の特別配布用棟方版画カレンダーも5枚目が半ばを過ぎている。待望の5月は熊本・人吉城址公園のアヤメ景色が描かれている。大好きなこのパートの絵が早くこないものかと、念じていたら5月は足早に去っていこうとしている。「人吉城雨中」という志功の記す正規表題があってその余勢をかってか?「アヤメアメアメ」と志功ならではの奔出する陽性なサブコピーが欄外に付記してある。降りしきる雨の中を歩くすっ呆けた表情の元気な母子、これが実に良い顔をしている。こんな顔を眺めれば不機嫌な自我も一瞬くらいはエポケーされること請け合いである。舞い飛ぶ鳥の群れ、強い南国・九州の雨足、咲き誇るアヤメ、まさに「ぴちぴちじゃぶじゃぶ らんらんらん!」の世界を志功の鑿が駆け巡っている。昔、薩摩の美山地方を歩いていて、この版画みたいな5月を物語るような強い雨に出くわしたことがあった。忘れ難い光景だ。

立夏が過ぎて梅雨ももうすぐやってくる。気候のせいだろうか。連日の朝食がパンから蕎麦へ切り替わってきた。昨日は相鉄ローゼンで買ってみた「二八そば」の乾麺、今朝は渋谷・本町にある製麺屋さんの半生麺である。

こういう廉価版の蕎麦に蘊蓄は無用である。いつも食べる新宿なら立ち食い蕎麦の「かのうや」横浜の市街なら「味奈都庵」のような良心的な廉価蕎麦店の味に伍しているくらいの味ならば、自分なりの合格点をつけることにしている。乾麺の「二八」は半生麺の1人前よりも割高な設定で自信があるのだろう。水洗いして丹念に引き締めると、たまに茹でる山形産の筒状束で売っている乾麺よりも上等な味がする。山形をコピーにしたあれは古風な巻紙のデザインに吸い寄せられる蕎麦だけど肝心の味のほうはイマイチである。具は長ネギのみじん切だけだ。


副菜には青森産長芋のスライスへ美濃地方で作っている最近よく使っている黒酢を垂らすことにしている。これからの季節、方々を歩いた折に乾、半生を問わずに蕎麦を買ってきて味を比較することも蒸し暑く口がまずくなる夏の余興くらいにはなりそうである。

虹鱒の燻製と昔風カレー

2013-04-28 19:29:09 | 
管理釣り場の養殖鱒ということを危惧して調理してみたが、以外や川魚特有の臭みがしない淡白味を楽しめた。やっぱり残酷なことだが現地での下拵えが大切である。生きているうちに、内臓を取って鰓を必ず丁寧に除く。そして背骨側にある血合いも掃除する。これを面倒がらずにすれば新鮮状態な身離れのよい味に出会える。アクが浸透しない為に時間との戦いを惜しんではならないのが、川魚調理のコツとどこかに書いてあったことを思い出す。

おまけにあちらの養殖プールを拝見すると、育てている水は沢水を導水している。勢いのある清冽な水は眺めているだけでも気分がよい。年間を通して低目な温度の山の天然水は、鱒や山女の身を引き締めることに役立っているようである。当日は塩・胡椒・バジル・片栗をまぶしたムニエルにしてみた。一日おいて、夜勤明けの日曜日の本日は、心に余裕があって燻製を作ってみた。容器は深い土鍋を使う。底に網を立てかけ、その下にはスモークチップを敷き詰める。ちょうど桜材のチップがたくさんあった。燻し時間は1時間程度、換気しながら桜のチップのお香効果も併せて楽しむことにする。完成した虹鱒の燻製はほぼ成功している。焼き色もまあまあというところだ。土鍋の直径よりも魚体が大きい方の鱒は尻尾が折れてしまった。少しほぐして毒見する。桜の燻しが甘みのある香ばしい味をもたらして満足する。

本日はこのスモーク鱒と衝動的に思いついた昔風カレーの夕食献立を実行することにした。昔風といっても素材野菜を溶かさないで原型を残すだけの庶民カレーだ。ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ、豚肉、珍しく材料のストックがあった。足りないものはカレールーだけだ。このところ直火焙煎と称したルーを使っていたが、どうも味わいが混濁した印象がしていた。そこでハウス食品の「ザ・カリー」を買ってきてSBの古典風赤色缶のカレー粉を混ぜて使う。「ザ・カリー」の別袋として付いてくる「煮込み用ブイヨンペイスト」これは気品が増すがプレミアム気分の精神安定剤みたいなもの。

無事カレーの煮込みも完成する。副菜は自家製ラッキョウ、ダイコンの一本漬け、新玉ネギのスライスサラダ、これには胡麻ドレッシングをかける。これに燻製の鱒なので不足はないのだが、休日の放心時間がなくなってしまったのが残念だと思ってしまう。

湯河原の初夏満喫其の二「和っしょい」パン店のことなど。

2013-04-26 08:09:44 | 
新崎川の周辺も鍛冶屋という吉浜の地内に属するエリアまで住宅が建て込んでいる。ここ十年の住宅密集による変貌には驚くばかりだ。さすがに釣り場付近まで上がって来ると、人家はまばらになって30年前とそれほど変わらない果樹園が点在する湯河原の山里風景が復原する。ドクター桜井氏のヤマメ釣を尻目に、こちらは早めに釣を店じまいして、幕山公園までの上り坂を散策する。

ツメクサ、ノウルシ、花ダイコン、オドリコソウ、カタバミ、野茨、無名に近い群生する野辺の植物も雨上がりの養分をたっぷりと吸い込んでいる。春がもたらしてくれる万物に感謝したい気持ちになる時間である。

視界が一時的に大きく開ける幕山浄水場の向かいには、趣のあるパン屋さんがオープンしている。看板の脇に咲き乱れる「雲南オウバイ」の自然生垣が明るい。その名も「和っしょい」とユニーク。神奈川の西部には味は本格派で店名は斬新という個人技が漲っているパン屋さんがある。思いつくだけでも箱根・湯本の「足柄麦師」小田原・蛍田蓮正寺の「春小麦」、名前を失念した小田原・南町の国道1号に近いパン屋さんと、それぞれの味が楽しめる。あとから釣を終えた桜井氏と合流してこのパン屋さんを訪れることにした。


桜井氏は家族から美味土産を頼まれていて、夕刻に寄る真鶴の魚店「二藤」の塩辛、カマスの干物はその筆頭候補だ。桜井氏の土産にはこの店の「フルーツスティック」も加わった。お裾分けしてもらった「蓬あんぱん」の美味いこと。店のパンフにある「あんぱん」のキャプションがとてもよい。「もう一度見直したいパンですね」と語りかけている。ずっしりと噛み応えのあるマッスに満ちたパン生地、さらしの肌理が自然な小豆、よもぎの仄かな天然香り、これが160円の充実ということを実感する力量を感じるパンである。5月の初旬はゴールデンウイークで釣り場も付近も混雑する。今度、再訪する入梅の前には、この「和っしょい」の「タンドリーチキンサンド」でも弁当にして夏枯れする前の渓流を楽しむことにした。