つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ガラスの仮面もいいけれど

2005-04-17 16:11:23 | マンガ(少女漫画)
さて、女優を題材にした話といえばの第138回は、

タイトル:P.A.-プライベート・アクトレス(全8巻)
著者:赤石路代
出版社:小学館プチフラワーコミックス

であります。

けっこう古い作品で、初版はなんと1992年。
でも、このひとの作品の中ではいちばん好きなシリーズ。

タイトルのとおり、主人公はアクトレス(女優)
ある人気女優と大物俳優の間に生まれた私生児の志緒。
その出生のために表舞台で演じることができないがために、P.A.……個人的に依頼された人間を演じる仕事に就いている高校生。

女優もの、と言うと当然、演劇や映画、テレビなど、舞台やカメラの中でのものが多いけど、これは完全に日常の中で、台本もなけりゃ演じることもセリフもすべてアドリブ。

そんな中で繰り広げられる人間模様……。
概ね1話完結、または前後編くらいの読み切り。
8冊のうち、前半はほぼ1話読み切りくらいの短編集で、途中、ライバル(?)の登場から話のつながりがより鮮明になっていく。

どちらかと言うと、つながりがあるほうよりも、読み切りのほうがきっちりとしていて読みやすい。
依頼の内容もさまざまで、娘の死を信じ切れない病魔に冒された父親の娘役や、離婚を決定的にさせるための不倫相手、婚約者、ある人気子役の母親などなど、多岐に渡る。

ただし、やはりフラワーコミックスというコミックスのカラーのため、恋愛色は外すことはできないし、しかもこのあたりがいかにも少女マンガ的な夢物語というかなんというか……。

こういうところがダメだとつらいかもしれないけれど、そうでなければ文庫版で復刻もしているし、個人的にオススメ。

このひとの作品はいろいろと読んだけど、「あるとのあ」とか、「ふしぎのRIN」とか、いかにもな少女マンガより、少し対象年齢を上げた話のほうがおもしろい。

下手だとは言わないけど、このひとの作品を読むようになってからずっと、こういう話のほうが上手だと思うんだけどなぁ。



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