つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

うさぎは悪くな~い

2006-03-21 22:46:30 | ミステリ
さて、遂に第三弾な第476回は、

タイトル:悪いうさぎ
著者:若竹七海
文庫名:文春文庫

であります。

探偵・葉村晶シリーズの第三弾です。
今回は初の長編、さて、彼女の活躍は……?

長谷川探偵事務所と契約しているフリーの調査員・葉村晶。
彼女は、家出中の女子高生・ミチルを探す仕事の最中に重傷を負ってしまう。
不本意な入院生活……だが、楽しい話もあった、親友の相場みのりに恋人候補が現れたのだ。

休息もつかの間、葉村は名指しで、またも行方不明者絡みの依頼を受ける。
行き先について何か知らないか、家出人の友人から聞き出せと言うのだ。
横柄な依頼人に辟易しつつも、葉村は再び、例の女子高生ミチルに会う。

調査を進めていく内に判明する、他の失踪者。
支離滅裂な行動でこちらに怪我をさせ、しかも逆恨みまでしている同業者。
親友に手を出す男の悪い噂、調べようとした所、逆にこっちを罵る親友。
次々と襲いかかるトラブルに立ち向かいながら、葉村は次第に真相へと近付いていくが……。

ミステリと言うよりは、ハードボイルドな作品です。
いくつも事件が起き、例によって嫌な人々が沢山出ますが、メイン話の真相とは関係ないものばかり。
別個に短編にしても成立しそうなエピソードをつなぎ合わせているので、長編というより、連作短編に近い感じでしょうか。

ただ、同時にいくつも事件を抱えることで葉村の苦労は倍増しになってます。
最初に依頼された家出人探しはもちろん、その友人が殺された事件にも首を突っ込み、ミチルの面倒を見て、みのりの恋人候補の裏を探り……よーやるわ。
ちなみに、最後は監禁までされてしまいます、それでも真相に食いつこうとするのがこの人の魅力なのですが。(笑)

ただ、さすがにこれでは葉村も保ちません
そこで、普段は前面に出てこない同僚の村木さんが強力なバックアップをしてくれます、最後にちゃんとオチはついたけど。
葉村の家の管理人である光浦や、思ったより深く関わることになったミチルなど、癖はあるけど気のいい人々も出てきます……珍しい。

いつものことですが、オチはブラックです。
勝ち負けの問題じゃないけど、勝ってもいません。
ただし、続編が読みたいという気にはさせてくれます。

葉村シリーズでは一番お気に入りです、オススメ。
何故か、桃井かおり主演の『女がいちばん似合う職業』という映画を思い出しました。



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