葬儀屋日記 byノブアキ

つれづれなる葬儀屋さんの日記です

遺体を持つコツ

2008年09月23日 | 葬儀屋ポエむ&葬儀屋はなし
マニアだねと褒めていただいたので
マニアネタをもう一つ

人間は生きているときと違って、亡くなってしまうとかなり重たいです
80kgの生きてる人を抱きかかえて歩いたりすることは可能ですが
亡くなった80KGを持ち上げて一人で歩いたりするのは
到底危険で不可能です

これはオカルト的なことでもなんでもなく
生きている人は無意識に重心をとってもらっているため
持ち上げる力だけに専念できますが

亡くなってしまった人は重心を取ることに
なにも協力してくれないからです

つまり遺体を持ち上げようとする上方向の力のほかに
横や斜めに動いて行く運動を常にコントロールしなければ
いけないという、非常に高度で難しい操作が要求されるからです

人を持ち上げて、上で暴れられても
生きているのであれば上の人間は怪我をしないように
ある程度予測の付く動きをしますが

亡くなった人間は重心をとることのない
不安定な水分を主体とした流動体ですから
安定してもつには、それなりの経験や単純に大きな力も必要になります

さてそれを踏まえたうえで
遺体を安定して持つためには
下から持つ場合は骨格の動きの少ない部分

肩甲骨の中心と、腰の下辺りを支持して持ち上げます
そのとき片方からの支持だと不安定になりますから
両側から二人がかりで持つかしたほうが持ちやすく
また、腰に近い場所で持つと自分の重心が安定するので
持ちやすくなります

遺体は持ってみるとわかりますが
頭部、胴体がかなり重く下半身は軽いものです
複数人で持つ場合は上半身を重点的に持ち
下半身は女性に支えてもらう程度でもよいでしょう

抱えて運ぶ場合などは
曲がる方向と逆にカラダを位置します


遺体の右側に位置して右に回ると
自分の体が障害物になってしまいスムーズに展開できません

また狭い所を曲がる場合には遺体の頭側を上げて
足側を下げると狭いところでも回ることができます

角度のつけ方により
回転半径がかわることにより
曲がり方が急でも切れるようになるからですね

遺体を運搬する場合は
持つ場所がなかなか決まらない(持ちにくい)のが一番の問題です
遺体搬送用のシーツなどで包み
シーツの側面端を遺体の正面でぐるぐるっと同じ方向に巻き込むように
すると取っ手に近いものが出来ます

死亡から時間がたって発見された遺体や
食事を直前までとっていた遺体
また、病状により水、血液などが胃や肺にたまった遺体は
傾けると中の内容物が逆流してこぼれることがあります

のどの奥にきつく詰め物をしたり
しっかりとドライアイスをあてて凍結させたりと
処置をしてから傾けるのがセオリーです

このことを加味した場合にも
頭部は高い位置におくというのがお分かりいただけるかとおもいます

(つづく)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿