なりもえさんのえんとりーにをみて思い出した話
ではでは回想へGO!
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あれは僕がまだ、かけだしだった頃、10年ぐらい前になるでしょうか
そのころの僕は仕事も少なく、他の葬儀屋さんの手伝いをしてやっとこ食べられていました
病院の病室から、霊安室にご遺体を下げるという仕事を一回五千円で
他の葬儀屋さんから請けていまして
夜中に、車で病院までいって長いと6時間ぐらい拘束されるので
あまり好きな仕事ではなかったけれど
まだ、仕事もほとんどなくて、貧乏で・・
でも仕事は好きだったのでいろんな体験をしてみたくてそんな仕事をしていました
そんな時代の思い出話です。
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夜中の二時ぐらい、んがーと寝ていると
トルゥゥゥ トルゥゥゥ トルゥゥゥってコールが何度もなります
眠気まなこで「ふぁい」なんて返事をして出ると
「佐藤君、病院行ってくれないかな?」なんて知り合いの社長さんの声
「はい、いいっすよ。これからかっすか?」
「うん、すぐ頼むよ」
「んじゃ着替えてすぐ行きまーす」って夜中に、がさごそとスーツを着て
おんぼろの軽自動車に乗って、病院まで向かうのです
すごい眠いんですけどね、その社長さんはいい社長さんだったの
困ってたら、なんとかしてあげたかったんですわ
病院に車を着けると、「○○屋です」と守衛さんに声をかけて
霊安室で白衣を着て、指定の病室までストレッチャーをもって伺います
男の人が寝ていて、横では奥さんらしき人が泣いています
看護婦さんが奥さんをなだめて、「じゃお願いします」って僕たちを
病室に招き入れます。
「それでは、旦那様を霊安室に搬送させていただきます」って
静かに言うと、奥さんは涙を拭いてゆっくり小さな声で
「よろしくお願いします」って言うのでした
僕らは、旦那さんをストレッチャーに乗せて霊安室に連れて行く
亡くなった直後は一番混乱しているときだから
出来るだけ安心できるように、奥さんがついてこれるペースで
ゆっくりと旦那さんを乗せたストレッチャーを霊安室まで運んでいくのでした。
霊安室に遺体を安置して、お線香を上げてもらうと
看護婦さんから「岩田さんは、葬儀屋さんを病院のほうで紹介して欲しいって言っているので、お願いしますね」
(えっ、遺体搬送だけじゃなくて。葬儀もですか?
まいったなあ、この葬儀屋さんの社員じゃないからまずいかな)
とココロの声はありましたが
社員のフリしてきてるので、バイトなんでスンマセンとも言えず
「はい、わかりました」ってどっか他のほうを見ながら答えてました
急いで、その葬儀屋さんの社長さんに連絡したら
「ゴメン、人がいなくてどうしてもおれ今日動けないんだわ」と・・・・
それで、どうしましょうか?ってきいたら
「佐藤君やっといてくれる?」って言われましたので
「わかりました、ちゃんとやっときます」ってことになったのです
気を取り直して、霊安室に伺って
「○○屋葬儀社と申します」よろしくお願いいたします」
「此度は、菅具さんのほうから岩田さんが葬儀をご依頼したいと伺いました・・・
「ええ、よろしくお願いします」とまた小さな声で言われました
他のお店の看板もしょって、いつもよりプレッシャーがかかりましたが
なによりも、その小さな声が不安そうで、辛そうで
何とかしよう、全力でやろう、よかったって言われるようにしようって
駆け出しの僕は、そうおもって。その仕事ははじめるのでした
「奥様、
いまは夜中ですから、どちらかに安置しなくてはなりません
お帰りは自宅でよろしいでしょうか?
ええ、ご自宅ですね
わかりました、それでは今寝台車を手配しますので
お待ちください。
ええ、30分ぐらいで寝台車が到着します
それまでこちらでお待ちください・・・」
寝台車を待つ間も、かわるがわる看護婦さんたちや、お医者さんがきて
「この人は人気者だったんですよ」
「頑固でね、意志の強い人でした」なんて奥さんと少しづつ話していきます
そうこうしているうちに、寝台車が到着して
「それでは、寝台車が到着しましたので搬送ささせていただきます」と次第に
なりました。
そうしたら、その奥さんが・・・
「あの~、○○屋さん。
そういえばいい忘れてたんですが、うち四階なんですけど
大丈夫でしょうか?」
(大丈夫もなにも四階でもなんでも自宅に帰してあげたきゃ
帰しますって、大丈夫ですよ。エレベーターの中で御遺体を立てなきゃいけないかも
知れないけど・・がんばりますって)
「ええ、なんとかなります。大丈夫ですよ」
「実は今、エレベーターが壊れちゃってるんですけど・・・・」って小さな声で言いました
(え・・っ!!)って思いましたが
できないなんていえないでしょ
「なんとかなりますよ、僕見ての通り力もあるし大丈夫ですよ」
「よかった、お願いします」って奥さんに少し笑顔が見えました
(とはいったものの、大変だなあと思いました)
病院のスタッフの人に、見送られて病院近くの自宅まで
ご遺体を搬送して、四階を寝台車の運転手となんとかかんとか
運び上げて・・・・結構重いご遺体だったんで、あせもだらだら
手もパンパン・・・
そのあと、お線香を上げる道具をまた四回まで何往復か
あの時はドライアイスの15kgがひどく重く感じました。
第二話へ続く
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書いてたら長くなりそうなので、少しづつ書くことにします
※このお話しに出てくる名前などは、プライバシーに考慮して仮名を使用しています
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葬儀のコツをおしえます。葬儀・葬式・密葬の佐藤葬祭
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ではでは回想へGO!
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あれは僕がまだ、かけだしだった頃、10年ぐらい前になるでしょうか
そのころの僕は仕事も少なく、他の葬儀屋さんの手伝いをしてやっとこ食べられていました
病院の病室から、霊安室にご遺体を下げるという仕事を一回五千円で
他の葬儀屋さんから請けていまして
夜中に、車で病院までいって長いと6時間ぐらい拘束されるので
あまり好きな仕事ではなかったけれど
まだ、仕事もほとんどなくて、貧乏で・・
でも仕事は好きだったのでいろんな体験をしてみたくてそんな仕事をしていました
そんな時代の思い出話です。
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夜中の二時ぐらい、んがーと寝ていると
トルゥゥゥ トルゥゥゥ トルゥゥゥってコールが何度もなります
眠気まなこで「ふぁい」なんて返事をして出ると
「佐藤君、病院行ってくれないかな?」なんて知り合いの社長さんの声
「はい、いいっすよ。これからかっすか?」
「うん、すぐ頼むよ」
「んじゃ着替えてすぐ行きまーす」って夜中に、がさごそとスーツを着て
おんぼろの軽自動車に乗って、病院まで向かうのです
すごい眠いんですけどね、その社長さんはいい社長さんだったの
困ってたら、なんとかしてあげたかったんですわ
病院に車を着けると、「○○屋です」と守衛さんに声をかけて
霊安室で白衣を着て、指定の病室までストレッチャーをもって伺います
男の人が寝ていて、横では奥さんらしき人が泣いています
看護婦さんが奥さんをなだめて、「じゃお願いします」って僕たちを
病室に招き入れます。
「それでは、旦那様を霊安室に搬送させていただきます」って
静かに言うと、奥さんは涙を拭いてゆっくり小さな声で
「よろしくお願いします」って言うのでした
僕らは、旦那さんをストレッチャーに乗せて霊安室に連れて行く
亡くなった直後は一番混乱しているときだから
出来るだけ安心できるように、奥さんがついてこれるペースで
ゆっくりと旦那さんを乗せたストレッチャーを霊安室まで運んでいくのでした。
霊安室に遺体を安置して、お線香を上げてもらうと
看護婦さんから「岩田さんは、葬儀屋さんを病院のほうで紹介して欲しいって言っているので、お願いしますね」
(えっ、遺体搬送だけじゃなくて。葬儀もですか?
まいったなあ、この葬儀屋さんの社員じゃないからまずいかな)
とココロの声はありましたが
社員のフリしてきてるので、バイトなんでスンマセンとも言えず
「はい、わかりました」ってどっか他のほうを見ながら答えてました
急いで、その葬儀屋さんの社長さんに連絡したら
「ゴメン、人がいなくてどうしてもおれ今日動けないんだわ」と・・・・
それで、どうしましょうか?ってきいたら
「佐藤君やっといてくれる?」って言われましたので
「わかりました、ちゃんとやっときます」ってことになったのです
気を取り直して、霊安室に伺って
「○○屋葬儀社と申します」よろしくお願いいたします」
「此度は、菅具さんのほうから岩田さんが葬儀をご依頼したいと伺いました・・・
「ええ、よろしくお願いします」とまた小さな声で言われました
他のお店の看板もしょって、いつもよりプレッシャーがかかりましたが
なによりも、その小さな声が不安そうで、辛そうで
何とかしよう、全力でやろう、よかったって言われるようにしようって
駆け出しの僕は、そうおもって。その仕事ははじめるのでした
「奥様、
いまは夜中ですから、どちらかに安置しなくてはなりません
お帰りは自宅でよろしいでしょうか?
ええ、ご自宅ですね
わかりました、それでは今寝台車を手配しますので
お待ちください。
ええ、30分ぐらいで寝台車が到着します
それまでこちらでお待ちください・・・」
寝台車を待つ間も、かわるがわる看護婦さんたちや、お医者さんがきて
「この人は人気者だったんですよ」
「頑固でね、意志の強い人でした」なんて奥さんと少しづつ話していきます
そうこうしているうちに、寝台車が到着して
「それでは、寝台車が到着しましたので搬送ささせていただきます」と次第に
なりました。
そうしたら、その奥さんが・・・
「あの~、○○屋さん。
そういえばいい忘れてたんですが、うち四階なんですけど
大丈夫でしょうか?」
(大丈夫もなにも四階でもなんでも自宅に帰してあげたきゃ
帰しますって、大丈夫ですよ。エレベーターの中で御遺体を立てなきゃいけないかも
知れないけど・・がんばりますって)
「ええ、なんとかなります。大丈夫ですよ」
「実は今、エレベーターが壊れちゃってるんですけど・・・・」って小さな声で言いました
(え・・っ!!)って思いましたが
できないなんていえないでしょ
「なんとかなりますよ、僕見ての通り力もあるし大丈夫ですよ」
「よかった、お願いします」って奥さんに少し笑顔が見えました
(とはいったものの、大変だなあと思いました)
病院のスタッフの人に、見送られて病院近くの自宅まで
ご遺体を搬送して、四階を寝台車の運転手となんとかかんとか
運び上げて・・・・結構重いご遺体だったんで、あせもだらだら
手もパンパン・・・
そのあと、お線香を上げる道具をまた四回まで何往復か
あの時はドライアイスの15kgがひどく重く感じました。
第二話へ続く
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書いてたら長くなりそうなので、少しづつ書くことにします
※このお話しに出てくる名前などは、プライバシーに考慮して仮名を使用しています
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葬儀のコツをおしえます。葬儀・葬式・密葬の佐藤葬祭
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