心を打つ弔いの手紙、それが弔辞と言うものです
弔辞には実は決まった構造があり、その形をしっかり守られたものが美しい弔辞となるのです。今回は有名な赤塚不二夫先生に送られた、タモリさんの弔辞を見ながら「弔辞の構造」と言うものを分析していきましょう。
弔辞 8月の2日にあなたの訃報(ふほう)に接しました。6年間の長きにわたる闘病生活の中で、ほんのわずかではありますが回復に向かっていたのに、本当に残念です。
・ 導入
弔辞・・と言う言葉を発し、この言葉が弔辞であることを皆に知らせます
・死亡を聞いて残念・無念だと言う気持ちの表明
最初に行うのは、死亡の報を聞いてとても残念に思ったと言う、哀惜の言葉を述べます
われわれの世代は赤塚先生の作品に影響された第一世代と言っていいでしょう。あなたの今までになかった作品やその特異なキャラクター。私たち世代に強烈に受け入れられました。10代の終わりから、われわれの青春は赤塚不二夫一色でした。
何年か過ぎ、私がお笑いの世界を目指して、九州から上京して、歌舞伎町の裏の小さなバーで、ライブみたいなことをやっていたときに、あなたは突然私の眼前に現れました。その時のことは今でもはっきりと覚えています。赤塚不二夫が来た。あれが赤塚不二夫だ。私を見ている。この突然の出来事で、重大なことに私はあがることすらできませんでした。
終わって私のところにやってきたあなたは「君はおもしろい。お笑いの世界に入れ。8月の終わりに僕の番組があるから、それに出ろ。それまでは住むところがないから、私のマンションに居ろ」と、こう言いました。自分の人生にも他人の人生にも影響を及ぼすような大きな決断をこの人はこの場でしたのです。それにも度肝を抜かれました。
・ 故人との出会い、そしてその時に思った自分の心情描写
弔辞を読む人間と、送られる故人の最初のころの話をまとめる。この作業をすることによって、故人と自分との関係が非常にパーソナルなものになります。