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北、6.15を契機に当局間会談を提案。 南、肯定的に受け入れると表明。

2013年06月06日 | 南北関係関連消息

南北の長官級会談を提案するユ・ギルチェ統一部長官


 6月6日、北の「祖国平和統一委員会(祖平統)」は「6.15共同宣言」の発表13周年をむかえて、開城工業団地の正常化と金剛山観光の再開などを協議するための南北当局間会談を提案しました。

 6日午前の『朝鮮中央通信』によれば、祖平統は報道官の特別談話文を通じて南北政府間の会談を提案し、「会談の場所と日時は南側が便利なように決めれば良い」と述べました。

 これに呼応して韓国政府も同日午後、柳吉在(ユ・ギルチェ)統一部長官が政府総合庁舎で「南北当局会談に関する政府の立場」を発表しました。その中で柳長官は、「開城工業団地、金剛山、離散家族問題など南北間の懸案を解決するために、南北の長官級会談を6月12日、ソウルで開催することを提案する」と発表しました。

 南北の両政府が非生産的な相互批難と意地の張り合いを止め、実質的な当局間会談への意志を表明したことを評価します。そして、期待を込めて注視しようと思います。以下に、祖国平和統一委員会の特別談話文を掲載します。出展は『朝鮮中央通信』 (JHK)。



祖国平和統一委員会報道官の特別談話文


 歴史的な「6.15共同宣言」が発表されてから、いつしか13年になる。

 全ての同胞は三千里江山に祖国統一の気運が熱く充満した「6.15」当時を忘れるができず、一日も早く南北関係が改善され、統一への新たな局面が開かれることを切実に望んでいる。

 わが民族にとって「6.15共同宣言」の発表は、列強が強要した分裂と対決の歴史に終止符を打ち、自主統一の新時代を切り開いた特記すべき事変だ。

 「6.15共同宣言」と共にこの地に繰り広げられた驚異的な事変は、わが民族が手を握り力を合わせるなら不可能なことは何一つなく、民族の共同繁栄を成し遂げ国の統一も実現することができることを見せてくれた。

 しかし今日、反統一勢力の厳重な挑戦により「6.15共同宣言」が凄惨に踏みにじられ、その最後の遺産まで抹殺の危機に瀕していることに痛嘆を禁じ得ない。

 南の企業家は血の涙で開城工業地区の正常化と金剛山観光の再開を訴えており、北と南に離散した家族は、生前の最後の恨を抱えて血縁との出会いを待ちこがれている。

 民族の構成員ならば、どうして今日のこの悲劇的な事態から目を背けられようか。

 私たちは今まで、破局に至った南北関係を改善して金剛山観光の再開と開城工業地区の正常化、人道主義問題の解決に向けすべての努力をつくしてきた。

 しかし、私たちのあらゆる誠意と雅量は、《真摯さを疑う》とか、《南内部の葛藤助長》とか、《当局会談の回避》など、とんでもない詭弁で否定され冒涜された。

 私たちは南の当局者が言うところの《内部葛藤》を造成しようと画策したこともなく、南側当局を《小馬鹿にした》こともないし、《これでも喰らえ!》と愚弄した覚えもない。(これらの極言は先月、北当局を批難したユ・ギルチェ統一部長官が記者会見の場で使用した表現:訳注)

 南北対話を対決の目的に悪用し、政略的に扱っているのは他でもない南の当局だ。
しかし私たちは、是非を正すためとはいえ、虚しい言い争いで時間を過ごすつもりはない。

 北と南が互いに自らの主張だけを押し通すなら、南北間の懸案問題はいつになっても解決の糸口さえ探すことができないだろうし、南朝鮮企業家をはじめ各界の絶望と全同胞の失望は、より一層大きくなるだろう。

 昨今の事態および全同胞の志向と要求に鑑み、そして南朝鮮企業家をはじめとする各界の切なる請願を考慮して、祖国平和統一委員会は委任により、次のように重大な立場を表明する。


1. 「6.15」を機に、開城工業地区の正常化と金剛山観光再開のための南北当局間会談を提案する。

 会談では、離散した家族、親戚の対面をはじめとする人道上の諸問題も協議することができるだろう。会談の場所と日時は、南側が便利なように決めれば良いだろう。


2. 開城工業地区と金剛山国際観光特区に対する南朝鮮企業家の訪問と実務接触を至急に実現し、南北の民間団体相互に往来と接触、協力事業を積極的に推進できるよう提案する。
 
 私たちはすでに開城工業地区企業家の訪問を承認した状態であり、金剛山企業関係者たちの訪問も許容するだろう。さらに、南朝鮮民間団体の往来と接触、協力事業のために門戸を広く開放している。


3. 「6.15共同宣言」発表13周年の民族共同行事を実現させ、合わせて「7.4共同声明」発表41周年を南北当局の参加の下に共同で記念するよう提案する。

 南北の民間団体と共に当局が参加して「6.15共同宣言」と「7.4共同声明」の発表日を共同で記念すれば、意義が大きいことであり南北関係の改善に寄与するだろう。


4. 南北当局会談と南朝鮮企業家の開城工業地区および金剛山訪問、民族共同行事などを保障して南北間の懸案問題を円滑に解決していくために、南朝鮮当局が私たちの提案に呼応すれば即刻、板門店の赤十字連絡回線の再開をはじめとする通信、連絡に関する諸般措置が取られるだろう。

 民族の和解と団結を願い、統一と平和繁栄を成し遂げようとする私たちの立場は一貫している。

 南朝鮮当局が真に信頼の構築と南北関係の改善を望むならば今回の機会を逃してはならないだろう。不必要な被害妄想症に捕われた憶測と疑心を振り払い、私たちの大胆な勇断と誠意ある提案に積極的に応えなければならない。


                
 主体102(2013)年6月6日  平壌 

退場すべきはチョン・デセか、国家保安法なのか-在日同胞「境界人」の生きざま-

2013年06月05日 | 南北関係関連消息

2010年のワールドカップサッカー予選、対韓国戦でプレーするチョン・デセ選手(09年、ソウル)


 在日コリアン3世のサッカー選手、鄭大世(チョン・デセ)氏をめぐり韓国内で露骨なバッシングが起きています。しかも、「従北騒動」という赤狩り攻勢の一環として展開されているだけに、執拗かつ悪質です。彼は今年から韓国のKリーグでプレー(所属チームは水原サムソン)していますが、そのオールスター競技の選手投票で、彼がフォワード部門のトップになったことが発端でした。
 御存知のとおり、彼は前回の南アフリカW杯に、朝鮮民主主義人民共和国の国家代表選手として活躍(国籍は韓国)しました。その経歴から“北の体制と指導者を賛美する輩”と誹謗され、反共・反北の保守団体は国家保安法違反の容疑で告訴すると世論を煽っています。ネットを通じた強制退去の主張が影響してか、チョン選手の順位は3位に後退しました。
 国民意識の根底に残存する分断意識を少し刺激するだけで、いとも簡単に条件反射を起こし北への敵意をむき出しにする韓国社会の現状は、嘆かわしいばかりです。極右勢力の不当な攻撃に屈することなく、チョン・デセ選手が引き続き祖国の地で活躍されることを願ってやみません。
 以下の記事は6月4日付『オーマイニュース』に掲載されたものです。 (JHK)

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0001872450&PAGE_CD=N0001&CMPT_CD=M0016


退場すべきはチョン・デセか、国家保安法なのか-在日同胞「境界人」の生きざま-

 保守陣営の一角で、プロサッカー選手チョン・デセ(水原サムソン)に照準を合わせ、強制退去の対象としている。Kリーグ・オールスター投票で1位を占めたチョン氏を引き下ろすことで終わらず、国家保安法違反で告発する計画まで進行中だ。

 ツイッターで「(北韓)工作員の気質が強い」と攻撃し、チョン氏を国家保安法違反で告発すると主張したビョン・ヒジェ(メディアウォッチ代表)は4日、記事を通じてメディアウォッチが所属する『インターネットメディア協会』が、今週中にもチョン氏を告発する計画だと明らかにした。

 このような動きはウェブサイトの『日刊ベスト』を中心に、かなり表面化している。5月29日から6月9日まで、Kリーグ・オールスター戦の出場選手を選ぶインターネットユーザー投票が実施されている。『日刊ベスト』には、「チョン氏が選ばれないようにすべきだ」という主張が充満している。彼らがどんな動きを取ったのかは確認できないが、投票初期にはフォワード部門で1位だったチョン選手が、4日の時点では彼らの望みどおり3位に後退している。

 彼らがチョン氏に対し「国家保安法による告発、オールスター投票での阻止」に出た理由は、去る2010年の南アフリカ・ワールドカップに北朝鮮の国家代表選手として出場した当時、某海外メディアと行なったインタビューに注目したためだ。問題の発言はチョン氏が、キム・ジョンイル国防委員長(当時)に対して「先ずは尊敬しているということ、それ一つだけは確かに言える。そのように北の住民から尊敬を受けていることはすごいことだ。今は色々と批判もあるが、私は彼(キム・ジョンイル)を信じて行く」とした内容だ。

 『日刊ベスト』の会員とビョン代表がチョン氏を国家保安法違反だと主張しているのは、「チョン氏が韓国籍を持つ大韓民国の国民ならば、北のキム委員長を称賛したことによる処罰を受けなければならない」ということだ。彼らはまた、2010年のワールドカップで北の国歌を聞いて涙を流したチョン氏の姿を想起させ、“熱血従北分子”と主張している。


父親の国籍から韓国籍を取得、母親は朝鮮籍... 在日同胞「境界人」の人生

 チョン氏が韓国国籍を持つ大韓民国の国民であることは事実だ。しかし、チョン氏は日本で生まれた在日同胞3世でもある。チョン氏が韓国国籍を持つようになったのは、父親が韓国国籍だからだ。韓国の国籍法は属人主義なので、彼の韓国国籍は法律上でも問題がない。

 ところが、少し複雑なのはチョン氏の母親が朝鮮国籍であることだ。日帝による植民地支配下で日本は、朝鮮人に日本国籍を付与した。しかし、日本は第2次大戦敗戦後の1947年、外国人登録令で在日同胞の日本国籍を剥奪し、国籍を「朝鮮」で表示した。

 1965年に韓国・日本の国交正常化が実現すると、朝鮮籍を持った人は韓国国籍への変更が可能になった。しかし、朝鮮籍をそのまま維持した人も多かった。北の国籍を選択したいが日本と国交がなくてできない人もいたし、分断された祖国を認めたくないという意味で朝鮮籍を維持した人も少なくなかった。

 チョン氏の自叙伝などによれば、母親は彼を朝鮮学校に通わせることを固執したという。それでチョン氏は、小学校から大学まで総連系の朝鮮学校を卒業した。朝鮮籍に固執した母親の下で朝鮮学校にだけ通ったが、韓国国籍を持つ、まさに「境界人」の人生だったのだ。

 チョン氏が2007年に北朝鮮の国家代表になれたのは、母親の朝鮮国籍とチョン氏の朝鮮学校履歴のおかげと言えるだろう。『国際サッカー連盟』は国家代表チームの選手資格を、「当該国家の旅券所有」とみなしている。韓国国籍だが北の旅券を持てば、朝鮮の国家代表資格でワールドカップに出場できるわけだ。

 旅券さえあればいいので、韓国国籍を放棄しなくても問題にならない。外国人の立場で見ればチョン・デセは、韓国の国籍を持ち北朝鮮の旅券を持った「二重国籍者」だ。しかし、南北は公式にお互いを国家と認定していないので、チョン氏が韓国国籍であろうが、北朝鮮の旅券を持とうが、問題にならない。(1991年の『南北基本合意書』で、南北関係を‘国家間の関係ではなく、統一に至るまでの暫定的な特殊関係’と規定:訳注)


北の国旗を胸に付けた国家代表選手に、キム・ジョンイルを罵れというのか

 このような背景を持つチョン氏が韓国のプロリーグで活躍しているのだが、過去の発言を捉えて国家保安法違反だという主張が続出している。あげくは“従北サッカー選手”という烙印を押され、国家保安法違反で告発されるという立場に追い込まれている。

 国家保安法に対しては存廃の論議が以前からあった。特に第7条の「称賛鼓舞罪」は、実際に国家安保の脅威につながらないケースでも拘束するなど、誤・乱用された事例が多い条項だ。告発がなされれば、チョン氏に対する起訴の有無は、司法当局が国家保安法をどのように適用するかに掛かっているだろう。

 ワールドカップに出場した北朝鮮の国家代表選手が、インタビューで北の最高指導者キム・ジョンイルを称賛したので処罰を受けねばならない、というのがチョン氏を“従北”に仕立て上げる彼らの論理だ。国家保安法に違反しないためには、北朝鮮の国旗を胸に付けた状態で、キム・ジョンイル委員長を罵ることでもしなければならないというのか。

 南と北、いずれにも属さない「ザイニチ」なだけ、と自らを語るチョン・デセ選手に、法的処罰を云々してどちらか一方を選択しろと強要する人々がいる。彼らの根拠が、他でもない国家保安法であることが明らかとなった。退場しなければならないのはチョン・デセ選手なのか、でなければ国家保安法なのか。

<声明> 政府は、南北関係の復元と平和を望む国民の願いに応えよ

2013年06月03日 | 南北関係関連消息
 
6.15共同宣言13周年記念、統一祈願マラソン大会(2013.6.2、全州市)


 韓国政府が6.15民族共同行事の実務接触(開城)を許可しないと表明したのを受け、6月3日、「6.15南側委」は抗議声明を発表しました。
『統一ニュース』に掲載された声明の全文を紹介します。 (JHK)
 http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=102801 


<声明>南北関係の復元と平和を望む国民の願いに応えよ

 政府は6月2日、6.15南北共同行事に関する実務接触を許可しないと発表した。韓国政府の決定に失望と遺憾を禁じ得ない。また、「6.15北側委員会」は6月3日12時現在、‘軍事通信線が回復したのか確認してほしいと’いう南側委員会の度重なる要請に応じていない。北側の態度にも、同じく失望と遺憾を禁じることができない。

1. これまでの政府の態度には三つの点で問題がある。

 最初に、市民社会を排除する論理だ。政府には疎通の意志さえ見られない。“北の二面性”という政府の判断基準だけに従えと統制している。その間、交流を通じて北を変化させ平和を増進してきた市民社会の努力と功績には、目を向けようともしない。民主社会で、政府のこうした高圧的な態度を受け入れる市民はいない。

 次に、疎通の意志を欠いた政府の対応こそ、葛藤の最も大きな理由になっているという点だ。したがって、葛藤の震源地は北というよりも、南の政府だ。たとえ北に“南内部の葛藤を助長する”企図があるとしても、政府が繰り返して強調してきたように、そのような企図が南の社会で通じるはずもない。私たちの社会が、これを克服するに足る成熟した市民力量を保有していることは、公認された事実ではないのか。

 最後に、今回の過程で政府は、開城工業団地および南北関係の正常化に対する意志はもちろん、“当局間対話”に対しても全く誠意を見せることがなかった。それは、韓国企業の開城訪問を阻止した行為からも明確になった。当局間の会談につながる様々な機会を、ことごとく閉ざしてきたのは韓国政府だった。

2. 私たちは北側に、より誠意ある態度を促す。

 軍事境界線を越えて開城を訪問するためには、北が軍事通信線を復元すると共に、その他の関連した措置を取らなければならない。「6.15北側委員会」が真に開城での行事を成功させようと思うなら、この問題に対する「6.15南側委員会」の度重なる要求に呼応しなければならない。

3. 6月5日に予定されていた開城での実務接触に代わるものとして、「6.15南側委員会」は「時局会議」を(ソウルで)開催する。各界の意見を集約して今後の方針を決定し、これを国民に報告するだろう。

4. 「6.15南側委員会」は『民』という第三の当事者として、南北の葛藤ではなく和解と統合のために、真心をつくして努力してきた。政府も、民間のこうした努力に最小限の誠意を見せるべきだ。6.15民族共同行事に対して、政府が前向きに態度を転換するよう、くり返し促す次第である。

2013年6月3日 「6.15共同宣言実践南側委員会」

韓国版歴史修正主義  ニューライト教科書 "5・16は革命、5・18は暴動"  

2013年06月01日 | 南域内情勢
.16クーデター当時の朴正煕少将とチャ・ジチョル大尉(写真右端)


信じられないことだが、いや、まさにこれこそが韓国の現住所なのだと、私たちは思い知るほかない。

日刊ベストといい、教科書問題と言い、なんでこうも日本に似ていくのだろうか…

大統領選挙の敗北が本当に口惜しい…・

by maneappa



ハンギョレ新聞日本語版より転載
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/14849.html

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ニューライト教科書 "5・16は革命、5・18は暴動"

登録 : 2013.05.31 22:09 修正 : 2013.06.01 07:36


‘李承晩・朴正熙 独裁美化’ニューライト、歴史揺さぶり 本格化

[ニュース分析] ニューライト教科書検定通過
MB時から "5・16は革命" 説明
朴槿恵(パク・クネ)就任後 動き具体化
日本‘新しい歴史教科書をつくる会’の歴史歪曲と相似形


 歴史は記憶を巡る闘争だ。 その記憶を逆に回そうとする矢が、いわゆる‘ニューライト’勢力が握っていた弓を離れた。 今回の標的は高校生が学ぶ教科書だ。 ニューライトが執筆した教科書が教育現場で採択されれば、教育現場に押し寄せる混乱は火を見るより明らかだ。

 ニューライト学者が執筆し教学社が発行する韓国史教科書が先月10日、国史編纂委員会歴史教科書検定審議委員会の1次検定審議を通過し現在修正・補完中だ。 8月30日に最終合格可否が決定されるが、検定審議通過後に最終脱落するケースはこれまでない。 一線の高校生らが見る教科書に、ニューライト勢力の歴史観の臭いがぐっしょりとにじみ出る可能性が高まった。

 彼らが書く教科書の内容はまだ公開されていない。 だが、ニューライト学者らがこの間書いたり話してきたものなどを考慮すれば、その内容を察するのは難しくない。 彼らが2008年に出した代案教科書は5・16軍事クーデターを‘革命’と呼ぶ。 教科書は金泳三政府時期の1996年からすでに‘軍事政変’と書いている。 4・19革命も彼らのキーボード上では‘学生運動’に格下げされる。

 31日、これらの学者が集まって開いた‘教科書問題を考える’学術会議の発言を見ても、ニューライト教科書の方向に見当を付けられる。 今回の教学社教科書の代表執筆者であるクォン・ヒヨン韓国学中央研究院教授は「我が国に自由民主主義体制が解放と共に作られたと見る人はいない。 教科書ごとに4・19以後、87年体制以後だと見ているが、これは大韓民国の建国を否定すること」と話した。 今回の教科書作業を主導した団体は韓国現代史学会だ。 クォン教授はこの学会会長を受け持っている。 この学会の教科書委員長であるイ・ミョンヒ公州(コンジュ)大教授と高校教師4人が執筆作業に参加した。

 教学社関係者は「クォン教授がわが方に教科書を執筆したいと先に提案してきた。 今回作った教科書は特定事件と人物を扱う分量を増やす方式で代表執筆者の指向が反映されざるを得ない」と話した。 彼らが作った教科書の概略的な仕組みを伺わせる内容だ。

 ニューライト教科書が憂慮される点は、彼らが済州(チェジュ)4・3事件や5・18光州(クァンジュ)民主抗争など国家が民間人に犯した暴力を単純に‘暴動’と記述するなど歴史的事実関係の歪曲だ。 彼らは李承晩前大統領を‘建国の父’、朴正熙前大統領を‘産業化の父’と見て、その時期になされた民主主義に対する弾圧は小さく書き、功績は過度に膨らませるという批判を受けてきた。 ハン・ホング聖公会(ソンゴンフェ)大教授(韓国史)は「李承晩は議会と政党制度に依存せずに独裁をしたし、朴正熙もやはり独裁をした。 この二人は自由民主主義の破壊者」と指摘した。 ハン教授は「李承晩の建国や朴正熙政権の独裁を擁護する論理は、現代史で既得権を享受してきた勢力に正当性を付与しようとする政治的意図と見える」と解説した。

 歴史を逆回しは、すでにその前兆を見せてきた。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は昨年の大統領選挙前、5・16クーデターなど歴史的事件に対する認識問題を巡り物議をかもしたことがある。 学生たちに正しい歴史教育をする義務があるソ・ナムス教育部長官も2月人事聴聞会当時5・16に対する意見を問う議員の質問に 「教科書に記述されたことを尊重する。 その問題に対して直答を差し上げられない理由を理解してほしい」として教育首長として不適切という批判を受けた。 当時、ファン・ギョアン(法務),ユ・ジョンボク(安全行政)等の長官候補者らも同様な態度を見せて議論を呼んだ。

キム・ジフン、ウム・ソンウォン記者 watchdog@hani.co.kr

韓国語原文入力:2013/05/31 20:47
http://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/589975.html 訳J.S(1825字)