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小さなコンサート・KIS発オンマたちの手作り音楽会

2009年03月15日 | NPO三千里鐵道ニュース


大阪府茨木市、KIS校舎落成式レセプション以来の訪問だ。前回はレセプションだけの参加、校舎も、学生たちの生活も見ることはなかった。念願かなって昨日KIS・コリア国際学園を訪問した。

前日から生憎の雨、朝9時過ぎにタクシーで乗り付けたのだが、見覚えのある校舎はひっそりしていた。子供たちの姿をひとり思い浮かべながら来たのだが、ひんやりした控室にてしばらく待たされた。雨、そして静寂…。事前に連絡はして来たのに、受付では聞いていないとのこと。
朴先生が満面に笑みを浮かべ入ってこられた。
「ミアナムニダ。校長先生が急に病院に行かれて…。連絡が行き届かなかったようで…」、「今、紹介者のヒジョンさん(学校の理事)に連絡してお話を伺いました」と、僕を2階教員室横の応接室に案内してくれた。
おおよその訪問目的をお話ししたところ、今は年末試験前で正規の授業はなく補習授業をしている、4時限目は音楽室でコンサートがあるので、存分にご見学下さい
と、まずは中学1年と高等部一年の教室に案内された。
何度かみたことのある顔、また顔…、カメラを向けるとひょうきんなポーズを見せる子供たちの仕草に接し、いつしか僕もなぜか浮き浮きしてきた。



一階の音楽室では小さなコンサートが始まろうとしていた。
KISの一期生全員が集まった。演奏者はグループMMMのメンバー。後で聞いたのだが、この学校のあるオンマの所属するグループなのだが全員がオンマのママさんグループだ。派手な舞台衣装も照明もない俄かづくりの舞台で、子供たちと間じかに向かい合っての演奏会だ。
ピアノ、バイオリン、カヤグム、チャンゴ、それにオルガン、ピアニカ等を交えた5人の演奏者は色々な楽曲を披露した。リーダーは、そのまんまのオンマ。スッピン?でも目鼻立ちのはっきりしたイデタチから、どこか自宅の一室で子供たちに音楽を教えている、聞かせている母親の姿そのまんまを連想させた。
「崖のうえのポニョ」のテーマからアリラン、バッハからモーツアルト、はやりの大衆音楽までレパートリーは多岐にわたる。圧巻はバッハの演奏時、リーダーが厳かに一枚の肖像画を生徒の前に掲げ、「つぎはこのハラボジ(おじいさん)の曲を弾きます」と演目を紹介すると教室に爆笑が。そして荘厳なイメージのあるバッハを、いかにも軽快に演奏して見せた。それも演奏しながら身振りを交えながら…。
生徒さんの肩が揺れ、座ったまま軽くステップを踏むものまでいた。
最後の曲は事前にプリントされた「ハナ」というハングルの歌をみんなで合唱して終えた。

KISはコリアの南北・海外共学の道の彼方に国際人、越境人として世界に羽ばたく人材育成を目指している。茨の道を選択し拓く有志たちが、未来を子供たちに託さんと立ちあがったのだ。

この日のコンサートはそんなオンマたちの、子供たちに託す愛情と期待に満ち溢れた素晴らしい演奏会であった。華麗なコンサートホールでのオーケストラ演奏より崇高な、素晴らしい音楽会と思った。

学校側から感謝の花束が贈られ、演奏会は終了したのだが、オンマたちと子供たちの交流はそれからも続いた。

外は晴れ、陽光がKISの校舎を温かく包んでいた。