NPO法人 三千里鐵道 

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南北宇宙開発競争、銀河1号はいつ打ち上げたか?

2009年03月07日 | 南北関係関連消息
在米統一学研究所・ハン所長の論文をエキスの部分だけ訳してみた。
2月24日、北が銀河2号で人工衛星を発射すると発表した。またぞろテポドン2号発射、国連決議違反、迎撃も辞さぬ等と騒ぎ立てている。片方で史上最大規模の韓米軍事演習が始まる。
宇宙開発から南北とアメリカの思惑が透けて見える。namsang



●銀河 1号はいつ打ち上げただろうか?

北側が今度打ち上げる衛星発射体を銀河 2号と呼ぶのは, 以前に銀河 1号を打ち上げたことがあるという意味だ. しかし北側は 1998年 8月 31日に打ち上げた白頭山 1号以外にどんな他の衛星発射体を打ち上げていない.

北側が今度銀河系列の衛星発射体を初めて作ってからも、なぜ銀河 2号と名付けたのだろう? 北側が銀河 1号に対して、何ら情報公開しなかったので正確には分らないが, 銀河 1号を他の国で打ち上げ実験したのではとの推定は可能だ.
その推定を裏付けてくれる情報を、イランの衛星打ち上げから推測すると….

イランのミサイル開発技術は全面的に北側に依存している. その歴史は 1980年台にさかのぼる. 1980年 9月から 1988年 8月まで 8年の間続いたイラン-イラク戦争は、世界戦争史に初のミサイル戦争と記録された。 当時ミサイル製作能力のなかったイランは、北側から急きょミサイルを輸入し、イラクのミサイル攻撃に対応した. イランの緊急な要請を受けた北側は、イランに初めからミサイル設計図を渡し、 ミサイル技術者、建設技術者たちを派遣してミサイル工場を丸ごと作った。 北側は、輸入したミサイルを実戦で使うことができるよう軍官(将校)を派遣し戦術指導までした.

それだけではなかった. サダム・フセイン(Saddam Hussein) 大統領が指揮するイラク軍の侵攻で始まった戦争で アメリカの軍事支援を受けるイラク軍に対して, イスラム革命直後なので全面戦争の経験がないイラン革命守備隊が苦戦している時, 朝鮮人民軍軍官たちはイラン革命守備隊大隊長として参戦した. まさにこの戦争は、北側の全幅的な支援をもらったイランとアメリカの全幅的な支援をもらったイラクとの戦争であったのだ.
北側とイランは、たとえ思想と体制は違っても反帝国主義戦線で一緒に争ったのだ.

その戦争が終わった時から 15年がすぎた 2003年 3月 20日アメリカはイラクを侵攻し、サダム・フセインを処刑した。 イランは 2005年 10月 28日、ロシアの衛星発射体(Cosmos-3M)に人工衛星(Sina) 1号をロシアから打ち上げ、遂に人工衛星保有国の隊列に入った. そして驚くべきことに, イランは 2008年 2月 4日 3段ロケットの衛星発射体カボスィガ(Kavoshgar) 1号を打ち上げた。

2008年 2月 4日カボスィガ 1号を打ち上げたイランは、 11月 26日カボスィガ 2号を打ち上げた. カボスィガ 2号を打ち上げる三月前の 2008年 8月 16日、イランは模型衛星を積んで衛星発射体をまた打ち上げた. ところがイランは、その衛星発射体の名前を発表していない。 その匿名の衛星発射体が、もし銀河 1号ではなかっただろうか?


●2007年 4月 25日北側の朝鮮人民軍創建 75周年軍事行進で初めて公開された 12機の新型巡航ミサイルは、射距離が 4千kmに至る。 グアムとアラスカを打撃できる中距離弾道ミサイルである(IRBM)。 アメリカ軍情報当局は、その新型ミサイルを‘ムスダンミサイル’と勝手に命名した。ところが, 北側はその新型ミサイルを一回も試験発射せず実践配置した点だ. どうしてそれが可能であったのか? アメリカ軍情報当局によれば, 北側がその新型ミサイルをイランに持って行って遠征打ち上げ実験をしたという。 北側が銀河 1号をイランに持って行って打ち上げたと推測することは無理な想像ではない.


●南北の宇宙開発競争、銀河2号対 KSLV 1号

宇宙産業は 21世紀を導く先端産業だ. 宇宙開発では、先進7ヶ国ーロシア, アメリカ, フランス, イスラエル, 中国, 日本, インドが熾烈な競争をしている. 宇宙産業を発展させることができなければ、携帯電話, インターネット, 高画質テレビ, GPS 自動車作り、 資源開発, 生命工学開発, 気象予報, 災害予防, 国土管理, 地理情報測定も不可能だ.

今度北側が宇宙開発推進を明らかにしたことは, 北側が宇宙産業先進 7ヶ国に追い付くための布石と見られる.

今南側の教育科学技術部も、宇宙開発に拍車をかけている。 2005年 5月 31日、国家宇宙委員会を大統領直属機構として設置し、宇宙開発振興法を制定した。 南側が開発コスト 5千98億ウォンをかけて作っている衛星発射体ケイエスエルブィ(KSLV) 1号は 2009年夏に打ち上げる予定だが, 今その名前を公募している. ケイエスエルブィ 1号は南側で初めて作る 2段型衛星発射体だ.

現代科学技術の最高結晶である衛星発射体を作り出そうとすれば、新素材工学, 機械工学, 電子工学, 化工学, コンピューター, 光学, 通信が高度で発展しなければならない. 発展した科学技術力を持った国でも、衛星発射体を独自技術で開発することは難しく他国と共同で開発する場合がある.

南側は、ケイエスエルブィ 1号製作に必要な核心技術を指導してくれとアメリカに要請したが、断られた。今は ロシア技術に依存し作り始めた. 衛星発射体で一番核心的な部分は、液体燃料を使う 1段ロケットだ。 衛星発射体を作る核心技術のない南側は、ロシアの宇宙センター(Khrunichev Space Center)で作った 1段ロケットAngaraを 2千億ウォンで輸入した.

今ロシア宇宙センターが派遣した技術者たちは、韓国でホテルに長期宿泊しながら衛星打ち上げ関連技術を指導している. もちろん南側に派遣されたロシア人技術者たちも、アメリカ政府の厳格な監視を受けながら南側に技術指導をしているのだ. アメリカは南側が秒当たり 45kg 以上の推進力を出す固体燃料ロケットを開発することができないように禁止しているので, 南側は衛星発射体の核心技術を自力で開発したくても開発することができないのだ.

南側は 1段ロケットをロシアで輸入、 発射台もロシア設計技術で立てた。 レーダー統制技術はフランスから買って来た。 精密測定撮影装備はイスラエルから買って来た.
韓国航空宇宙研究員がロシア宇宙センターと共同で衛星発射体を開発しているというマスコミ報道は事実ではない. 他の産業分野でもそうだが 宇宙産業でも北側は、自力更生で技術的難関を突破したが, 南側はアメリカの統制と監視という足かせに阻まれながらロシア, フランス, イスラエルの技術と装備に頼らざるを得ない状況だ.