猫研のMLでAさんから下記内容のご質問がありました。皆さんがよく心配されることです。
複数ある口座の全額を合算しても、キャッシング残額には足りません。そもそも、私名義の銀行口座は相手方は全てを調べる事が出来るのでしょうか?
私はこう答えました。
一般的には預貯金口座は住所地や本店所在地の近隣で開設するはずなので、銀行支店名まで、ある程度の当たりを付けることは可能でしょう。
しかし、預貯金の差押えは、実務上は差押命令が送達された時点での口座残高にしか及びませんから、たとえ債権者が当たりを付けることはできても、どの時点で口座に残高があるのかまでも予測することは難しいでしょうね(可能なのは年金や10日25日の給与賞与の支給日ぐらいでしょうか)。
さらに、「銀行の全支店にあるAさん名義の口座すべて」というような差押えはどの裁判所でも認められていないはずです。銀行に過大な負担となるからという理由で、支店を幾つか特定する必要があります。
したがって、預貯金口座の差押は、その存在を知っていない限り非常に難しいという認識でいます。
ただ、弁護士が代理人となっている場合は別です。
ご存じかどうかわかりませんが、弁護士は弁護士法に基づく照会(調査)が可能です(※)。
※ 弁護士法第23条の2 「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」
これは、銀行に、「差押えしたいので、Aさん名義の口座がある支店はどこ?」と回答を求めることができるということです。
とはいえ、現在の一般的な銀行の実務上の対応はというと、顧客からの責任追及をを恐れ、回答を拒否することが多いとのこと。
しかし、解釈上「Aさん名義の口座がどの支店にあるのか」だけを回答することは個人情報保護法上も問題無いと考え得るらしいので、今後の銀行の対応も変わっていくかもしれません。
実際、上記弁護士紹介に回答しなかった銀行に対し、「支店番号の若い順」という差押えが有効とする決定が為された事例も最近出ましたから。
では、皆さんにとって今日が良い日でありますように。
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では、また明日。
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