趣味の日記

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侯爵さま語り・その1

2013-03-05 23:58:29 | 観劇
今日は「歌劇」誌発売日。
仕事帰りに本屋さんへ寄って、ちゃんとゲットしてきました♪
そしてともみんのえと文。
・・・初日寸前の、テンション高く切羽詰った書き連ね具合に、思わず笑ってしまった(すみません/苦笑)。
でも、そうか~おそらく原稿締め切りが公演始まると同時だったから、侯爵さまの役作りに必死だったであろうともみんは、お稽古のネタ探しどころじゃなかったんでしょうねぇ。
初日の舞台での、あの余裕のない状況を観たら、よくそれでえと文も書けたなぁと思わずにいられない(爆)。
2日目からのすごく落ち着いた舞台を思えば、とにかく初日を迎えるまでが大変な公演だったんだろうと、改めて感じます。

その、侯爵さま。
通常の正塚作品からすれば、なかなかにびっくりなキャラ設定で、しかもあんな王道宝塚のロマンスを背負ってたのが、正塚先生、いったい??と、最初はすごく戸惑いました(苦笑)。
でも、何度も何度も重ねて観て、ブラック・ジャック先生、侯爵さま、カテリーナ、そしてピノコ、それぞれの場面と台詞とをじっくり繰り返し反芻していて、そういうことか~と自分で納得できるものがあり。
そもそも侯爵さま、一人金髪コスチュームで不老長寿なんて、どんなお耽美設定だ!?というにもかかわらず、ともみん仕様では快活すぎてお耽美になりようがない(大爆)。
でも、おそらくはそれも正塚先生の計算の内で、ともみんだからああいう侯爵さまを当て書きだったんだろうなぁと、今ではすごく思います。
それでいて、きちんと美形の二枚目で、包容力たっぷりにラブシーンを見せてくれたところは、ともみんの誠実であたたかい持ち味にぴったりハマってましたし、宝塚らしい正統派な役柄で、本当に素敵でした。

ただし、それと同時に、一筋縄ではいかなかった今回の正塚先生の脚本(汗)。
一番難しかったのは、やはり侯爵さまだろうと思います。
設定がファンタジーでぶっ飛んでるのはもちろんですけど、台詞のほとんどがカテリーナとの愛についてのもので、意外と具体的なことが何も書かれていない。
それでいて、「ブラック・ジャック」の世界観とちゃんとリンクしていなければならないなんて、どんだけハードル高いんだ・・・。

カテリーナとのやり取りで、昔遠くから憧れていた女性がカテリーナと似ている、と話す侯爵さま。
生まれ変わりだから、好きになったの?それってどうなの?と最初は思ったのですが、台詞の言葉をひとつひとつ聞いているうちに、全く違うことを侯爵さまは言いたいんだということが、わかってきました。
侯爵さまは言ってます。
「一世紀以上前に、私には、遠くから憧れる女性がいたんだ。君はその人によく似ている。姿かたちがというのではなく、存在そのものがよく似ているんだよ。
我々は一人で長い時間を生きるが、人は、何代かでその時間を生きるのではないか。
君を知ってから、そんなこともあるかもしれないと、思うようになった。
一方的な理屈だと言われればそれまでだが、言いたいのはそういうことじゃない。三百年近く、心を通わすことなく生きてきた。それが自分の宿命だと言い聞かせて。そしてそれは、死ぬまで続くのだと思っていた。
だが君だけは、どうしても愛さずにはいられなかったんだ。
おかげで平穏な日々は消え失せたよ。だが私は、生きることの素晴らしさを知った。君がいてくれたおかげだよ」
これってつまり・・・一人で長い長い時間を生きることも、何代も繰り返しながら同じだけの長い時間を生きることも、生きていることに違いはないんだと。
自分だけが異質で、時の流れに置いて行かれるのではなく、人はみんな、同じように生き続けているのだと。だから、生きているということは、みんな平等で、何の違いもあるはずはなく、素晴らしいことなんだと。
そのことに気づかせてくれたカテリーナだからこそ、愛しているんだと。
・・・生きることの素晴らしさ、それは、この作品の中での一番のテーマですよね。ここでちゃんと、この作品世界のテーマを、侯爵さまはしっかり主張しているわけです。
ともみんの侯爵さまって、とても快活で、真っ直ぐで、行動的です(笑)。とても、息を潜めて暮らしてたとは思えないくらい(苦笑)。でも、だからこそ、誰とも心を通わすことができないなんて、どれほど辛くて淋しいことか。周りから取り残されていくことが、どれだけやりきれなくて苦しいだろうと、思わせてくれる、それだけの生命力に満ちた侯爵さまなんですよね。
それさえも、正塚先生の計算だったのかとつい思っちゃうような、ともみんのハマり具合で、一度納得すると、ストンとすべてが腑に落ちたんですね。
・・・でも、でもね、正塚先生・・・難し過ぎだよ!!(爆)
一度観るだけじゃあ、絶対わかりっこないですよね、きっと。
あまりに奥が深すぎて、そりゃあ演じるともみんだってものすごく大変だったよね・・・と思ってしまうんです。

語り・その2に続きます(笑)。
コメント
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