「富士には、月見草が良く似合う」
言わずも知れた、作家・太宰治の短編 『富嶽百景』の一節である。彼が河口湖町御坂峠の天下茶屋に滞在したときのもの。太宰は、御坂峠からの富士について、「ここから見た富士はむかしから富士三景の一つにかぞえられているのだそうであるが、私は、あまり好かなかった」、「あまりにおあつらえむきの富士である」、「まるで、風呂屋のペンキ画だ」、「どうにも註文どほりの景色で、私は恥ずかしくてならなかった」などと、酷評している。一方、同じ作中、土地の老婆が指を指す月見草を見て、「三七七八メートルの富士山と立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんと言うのか、金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすくっと立っていたあの月見草は、よかった」という。
そして、その後に「富士には月見草が良く似合う」ともらすのだ。
来年、生誕100年を迎える。
言わずも知れた、作家・太宰治の短編 『富嶽百景』の一節である。彼が河口湖町御坂峠の天下茶屋に滞在したときのもの。太宰は、御坂峠からの富士について、「ここから見た富士はむかしから富士三景の一つにかぞえられているのだそうであるが、私は、あまり好かなかった」、「あまりにおあつらえむきの富士である」、「まるで、風呂屋のペンキ画だ」、「どうにも註文どほりの景色で、私は恥ずかしくてならなかった」などと、酷評している。一方、同じ作中、土地の老婆が指を指す月見草を見て、「三七七八メートルの富士山と立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんと言うのか、金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすくっと立っていたあの月見草は、よかった」という。
そして、その後に「富士には月見草が良く似合う」ともらすのだ。
来年、生誕100年を迎える。