つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

夜に佇み、昔日を想い、舌鼓を打つ。

2019年01月19日 23時12分57秒 | 旅行
僕は、年に一度、とある用事で東京に出張する機会がある。

2019年は、きのう1月18日がその日。
仕事が立て込んでいて、スケジュールは日帰り。
お江戸での滞在時間は7時間あまり。
現地での会議を済ませ、慌ただしく帰路に就き、
北陸新幹線に乗り込むため東京駅へ。
発車のベルが鳴るまで、束の間の散歩。
やはり、都会の夜は明るい。

空間の明度を表す単位は「lx(ルクス)」。
蛍光灯による居間は300~500ルクス。
オフィスは750〜1000ルクス。
夜間営業の店舗は1000〜2000ルクス位が標準。
人の眼は、20ルクス以上で物の形が、400ルクスを超えると色が判別できる。
東京の夜は「煌々としている」と言っていいだろう。

しかし「江戸」と呼ばれていた頃は、こうはいかない。

電気はない。
ガスもない。
灯油ランプは明治以降の照明器具。
蝋燭はあったが、高価で庶民的ではなかった。
江戸時代の代表的な照明器具は、行灯(あんどん)
燃やすのは、動物や植物の油だ。
燃料の主は鰯から摂った「魚油」。
そのルクスは、せいぜい3~5。
目に映る夜景は、随分とボンヤリしていたに違いない。

陽が昇ると動き、沈めば寝る。
行動は二極分化されていた。
昼と夜は、別の世界である。

・・・さて、などと昔日に想いを馳せながらそぞろ歩いていたら空腹を覚え、
昼飯抜きだったと思い出す。
東京駅のガード下、はとバス乗り場前に「街中華」を発見。

店名は「中華 三富」。
読み方は分からない。
調理場には湯気が立ち上り、ベテランと思しき職人さんが鍋を振るっていた。
カウンターに座った途端、旨そうな匂いや油が爆ぜる音に腹が鳴る。

「タンメンとギョーザ」。

ほんの少し迷って注文を入れ、ひと心地付く。
後ろのテーブルでは、同級生らしい集まりの先輩方が盛り上がっている。
取り留めのない会話が飛び交い、実に楽しそう。
他の席では、カップルらしい男女がにこやかに談笑しながら、
唐揚げを突いている。

スマホで翌日の業務連絡をするうち、まずギョーザが到着。

続いてタンメン。

手を合わせてから食す。
もやし、キャベツなどの野菜が細麺と塩味のスープに絡む。
ニラとニンニクが効いた点心の皮はモチモチ。
しばし真摯に向き合い没入。
ごちそうさまでした!

腹も心も満ち、僕は「かがやき号」のシートに身を沈めた。
お江戸の人たちが、こんな鉄道を見たらどう思うだろう。
少し想いを巡らせ、眠りに落ちた。


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