■今回のまとめ
1)SNS関連の急落が目立っている。
2)値ごろ感で信用買い残が急増している可能性がある。
3)人気株を買うのであれば、株式市場全体が大きく下がったときがよい。
最近の株式市場では、急落すると信用買い残が急増するケースが見られます。これは間違った割安株投資の方法だと考えています。詳しくはレポートをご覧ください。
最近の株式市場の話題で、ディーエヌエーとグリーに代表されるSNS(ソーシャルネットワーキング)関連の急落が上げられます。
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両企業ともにテレビCMがバンバン流れていますし、ディーエヌエーはプロ野球チームを買収しましたので、株式投資をしていない人にも知名度が高く、ブームの先端にいる企業だと思います。
株価もブームを背景に右肩上がりの上昇を続けていました。ところが、いったん下がりだすとなだれのように急落しはじめて、他のネット関連銘柄などにも悪い影響を与えています。
両者の下げ幅は違いますが、下がった理由として無料とうたっているのに課金方法がグレーな点が指摘されており、消費者庁が対応するのではないかといった観測があるようです。
さらに需給面では、下げが加速しているために「追い証が出てさらに投売りがでるのではないか?」といった解説も見られています。実際の信用買い残をみますと、下げの大きい方のディーエヌエーの買い残が異常に増えています。
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前述したように、ディーエヌエーはプロ野球チームを買収できるほどですから、知名度も高く、業績も絶好調という印象を受けます。そのような企業の株価が下がれば、「信用取引を使ってでも買いたい」という投資家が多いということを示した動きなのでしょう。
最近の株式市場では、ディーエヌエーのように急落の途中で買い残が急増するという現象がよく見られています。
ただ、ケンミレが下がったときを待って買うことを推奨しているので、急落している銘柄を買ってもよいのではないかと考えるかもしれません。
しかしながら、この買い方は「間違った割安株投資」だと考えています。なぜなら、本当の割安株投資はただ大きく下がっているだけではだめで、「これ以上下がらない」と自信が持てるまで待たないといけないからです。
また、ディーエヌエーのような上昇が続いたあとに急落するチャートは他にもよく見られるケースなのですが、このチャートの特徴は「長期の上昇トレンドが転換してしまった可能性がある下げ」なため、安いからといって無闇に買ってはいけないチャートだと思います。
つまり、チャートではしばらく下落トレンドになってしまう可能性が考えられるのに、値ごろ感で買ってしまっているといえます。下落トレンドは持っていると安値を更新する動きですから、それを知っていて、計算ずくの短期リバウンド狙いで買うのであれば理解します。しかし、買い残が急増して減らないということは、なんとなく下がったから信用で買ってしまい、買い値を下回っても回復を祈っている個人投資家も多くいるのではないかと思います。
しかも、買い残が増加してしまうと、少し戻っただけで返済売りが出やすく、上昇が鈍くなる可能性もあります。話題の株が急落していると買いたくなる気持ちはとてもよくわかりますが、個別株が個別に急落しているときには、急落する理由もあるはずです。
人気株を安く買うのであれば、株式市場全体が大きく下がり、その他の銘柄も一緒に下がるタイミングを待ってみましょう。そのときは個別の悪材料で下がっているわけではない可能性がありますから、買ってから成功する確率を上げることができるはずです。
レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明