梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

「気が合う」ということ

2017-09-17 09:36:45 | 日記
 韓流ネタ・韓国の奇習ネタを書くとアクセス数が一気にアップするのですが、そればかり書いてもいられませんので、引き続き桐生選手の話から、広げてみたいと思います。

   東洋大のコーチをまるで信用していなかった桐生選手、おかげで9秒台もタイミングが一年遅れてしまいましたが、そんな調子でどうやって競技に対するモチベーションを維持していたのか、少々不思議でした。その答えは、更に翌日の新聞にありました。桐生選手が一番信頼していたのは、高校生の時からついていたトレーナーだったのですね。この人が一貫して彼の体を見てくれていたので、競技を続けて来られたのではないかという気がします。

   9秒98を出した当日、桐生選手は疲労困憊していて筋肉の状態が悪く、自分では今日はもう無理だから100m決勝は棄権して、負傷を回避しようと考えていたのだそうです。しかし、トレーナーに見せたところ、問題なくまだまだいけるという診断を受け、急遽100mも出場することにしたのだそうです。おそらくコーチが同じことを言ったら、自分を潰すつもりかと大反発して、この日の100mは棄権し、9秒98の大記録も生まれなかったのではないでしょうか。
 
   話は少し飛躍しますが、私は指導者と選手の関係は、行きつくところ双方の相性が合うか合わないかによるのではないかと思っています。実績も大事ですが、選手は指導者の経歴によって従うのではなく、自分と気が合うかどうか、指導者の話が心地よく心に響くのかどうかにかかっているのではないでしょうか。

   今私の手元に一冊の本があります。タイトルは、「パパは脳科学者」。著者は東大薬学部の教授ですが、子供がまだ4歳、写真を見てもかなり若そうな人です。この人が脳科学者の立場で自分の育児から得た知識を書いているのですが、その中に興味深いページがありました。

   脳研究の一つに、会話をしている二人の人間の脳の反応を同時に調べたものがあるそうです。テーマは「気が合う」とか「話が弾む」とはどういう現象なのか、ということだったのですが、気が合っている状態では、二人の脳活動の波長がぴったりと一致するという結果が出たのだそうです。なおかつ、話を聞く側に回った人の脳は、相手の話を先取りするかのように、わずかに前に活動を開始するという話です。つまり、聞く側の人間は、話し手の話の内容を予想して、それを先取りして反応していくのです。

  気が合うという状態は、こうした予想がどんどん当たって話が展開するという状態を指します。結果的に自分の考えたことと相手が話してくれたことが一致していくわけですから、話はポンポン展開していくことになります。
ここには気が合わなかった場合については特に書かれていないのですが、この逆のケースになる訳ですから、脳は予想しても的中しないので、活動を一部停止し、相手が何か言ってからそれを受けて改めて自分の話をするという手続きを経ることになり、余分な疲労感を伴う結果になるのではないでしょうか。

  桐生選手もトレーナーとの会話では、脳がこうした快感を伴う反応を示し、(おそらく)コーチとの間では、気に入らない話しか出て来ないという予想が当たるだけなので、コーチと脳波の波長が一致するという事がなかったのではないでしょうか。

  「あの人とは波長が合う。」とは、良く使われる言葉ですが、脳科学的にもその通りだったわけですね。