梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

就職率アップ?

2014-09-18 15:05:36 | 日記
新聞によりますと、来春卒業予定の高校生に対する求人倍率が、2008年度以来初めて1倍を超えたとあります。就職希望の卒業生の数より求人数のほうが上回ったということですね。

   思えば今を去ること41年前、私が今は廃校となった池袋商業高校へ新卒として赴任してからしばらくの間は、卒業生は引く手あまた、私の指導の下三年間ハードル競技に明け暮れていたS藤さんなども悠々と外資系企業の事務員に採用されていました。商業高校からは大手銀行や証券会社に悠々と就職できたのです。当時、時代は高度成長期にさしかかり、就職ができないなどということは、全く考えられない時代だったのです。

   しかし長い普通科経験ののち、最後の4年間勤務した葛飾商業高校時代には様相は全く異なっていました。就職自体が全くの不調でした。その上私がいた4年間で求人は更に減り続け、最初の卒業生と次の学年の間には決定的な差がついていました。求人情報を張り出した模造紙の数が減ったのですから、一目でその変化は明らかでした。求人倍率が、1:1を下回り始めたのです。好みの企業を選ぶことなど不可能になりました。求人が来たところに行くしか道は残されていなかったのです。

   新聞によれば、今年はその状況に明らか変化があったといいます。厚生労働省発表によれば、来春卒業予定生徒の求人倍率は、1.28倍。倍率だけは高くなってきました。その原因としては、団塊の世代と呼ばれた極めて人数の多かった世代(一クラスが50人近く、一学年10クラスなどがあり、分校を作った学校もありました。)が退職の年齢を迎え、その穴埋めに新規採用をしなければならない時期を迎えているのに、少子化のため就職志望者が減ってしまったことが考えられます。

   それでは来春の就職は明るいのかというと、実はそうでもありません。商業高校は事務の技術を教えるところですが、かつてのように大企業の事務系の求人はありませんし、事務系の求人そのものが極めて少ないです。企業側にしてみれば、山ほどいる短大卒や大学卒を採用すれば済むことなので、何も好き好んで商業高校から採用する必要どないのです。専門が通用しないのは工業高校でも同じです。

   現在の求人の多くは、良くて販売、それも駅の一角で畳一枚のスペースに一日中立ってケーキを売るといった仕事です。他は飲食店や配達といった、単純作業の仕事ばかりです。強気の商業校では、こうした求人は生徒に対して発表すらせず右から左に流してしまいます。したがってこうした関係には学力が低めの学校の卒業生が流れ込んでいくことになります。仕事そのものはアルバイトと変わらないので、何のために高校で簿記等の資格を取得したのかわからなくなってしまいます。ただ、概して貧しい家庭の子女が多いので、それでもあきらめて就職していきます。

   職業に卑賤はないとはいえ、最高の時代と最低の時代を商業高校で目の当たりにしてきた私としては、あの子たちをもう少し正社員っぽい仕事につかせてやれないものかと嘆いてしまいます。ただ、こうした単純作業の仕事を外国人労働者に依存してしまうと、それはそれで国家として大きな問題を抱えることになってしまいますので、残念ながらやむをえないのかな、という気になってしまう時もあるのですが。その問題については日を改めて検証してみるつもりでいます。