Reiko's Travel 記事と現在の英国事情

在英51年、2020年7月未亡人になって以来、現在英国事情と過去の旅行の思い出を記載。

キャプテン・サー・トム・ムーア

2021-02-07 23:04:35 | 英国内のこの頃

キャプテン・トム・ムーアは昨年4月30日に100歳になった。彼は20代を英国陸軍キャプテンとして、ビルマ戦線で日本軍とたたかって、生き残った人。

戦後いろいろな職業についていたが、建築材料の会社を立ち上げ財をなした。若くして知り合った英国人女性とは20数年結婚していたが性生活が一切なく50代で離婚し、再婚した奥さんとは2人の娘さんに恵まれた。

娘さんが成人したのち退職後を夫婦二人でスペインで過ごしていたが、奥さんが記憶障害になり帰国してケアホームへ入れたものの先立たれてしまった。

その後娘さんの家族と同居して幸せに暮らしていたのに、99歳でキッチンの床で転んで骨盤骨折。一時は危篤状態になったそうだが奇跡的に持ち直し、自宅療養をしていた。

昨年1月家族の間ではトムを励ます意味で自宅の裏庭(幅が20-30メーターはありそう)でと、100歳になる4月30日までに歩行補助器で往復1000回を目標に歩いたら、1000ポンドのお金をNHSへ寄付するとの話がまとまった。

この話がインターネットで世界中に流れ、キャプテン・トムは一躍時の人になった。世界中から寄付が相次ぎ、彼の誕生日までに3千3百万ポンド(約4億7千8百万円)が送られ彼は一命をとりとめたNHSに対し感謝を込めて贈った。

彼の誕生日には英国空軍が戦時中に使用した古い戦闘機2機を彼の自宅上空を飛ばせ、エリザベス女王やボリス・ジョンソン首相のメッセージが届いた。世界各国からも数十万通の誕生カードが寄せられ、近くの学校の講堂一面に並べられた。

この寄付金は個人のチャリティーの金額としてはギネスブックレコードだった。

世論は彼の偉業に対して彼にサーのタイトルをと、昨年7月エリザベス女王からサーの称号が送られた。

このキャプテン・トムはやっぱり普通の人ではないと思う。英国のテレビ局ITV  の一時間のインタビューではユーモアに富んで観客を引き付ける素晴らしい人柄で、とっても100歳に見えない。

この100年間で数十人の首相が変わったけど誰が一番良かったかとインタビューの人が聞いたら、 もちろん今の首相だよ、彼が100歳のお祝いしてくれたもの、それまでの人は誰も僕がいることを知らなかったから。

貴方のバケツリスト(死ぬまでにしたいことのリスト)にはいったい何が書いてあるかとの質問に答えてアメリカへ行ってルート66で運転したい。と、まるで若者での様。

クリスマスにバケツリストの一つで家族でバーベードスヘホリデーに行って来た。

帰国して1月に肺炎で医者にかかった際、コロナに感染していると言われワクチンを受けることができなかった。

今年1月31日日曜日、キャプテン・サー・トムはコロナで入院が報ぜられた。しかしその時は重症でないと報道されたにも関わらず、2日後火曜日には亡くなった。

彼にとっては長く苦しまず、あっという間になくなってしまって家族もみなよかっただろう。でもこうしてみるとコロナは恐ろしいことがよくわかる。体の弱っている人には急激に悪化することがよくわかる。

新聞にもこの国の宝を亡くしたと報道されたが、本当に惜しい人だ。

ご冥福をお祈りします。

 


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2 コメント

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Unknown (旅人)
2021-02-09 14:57:48
玲子様。

この方のことは、フランスのニュースでも報道されていました。暗いニュースの多い中、心温まるお話だったのに、本当に残念です。

私の住んでいる住宅地には12軒の家がありますが、昨年2軒で感染者発生。10代から40代合計4人ですが感染ルートは別々で、症状は決して軽く無かったそうです。一昨日は、別のお隣さんから、近くに住む弟さんがコロナで亡くなったと伺いました。40代で健康上の問題が無かった方だとか。

全て気を付けて生活されていた方達なので本当に怖いと思う一方、友人の中にコロナに関するニュースはデタラメだと信じて、マスクもソーシャルディスタンスも無視の夫婦がいます。彼ら曰く、自分達は高齢の上、癌、心臓発作、脳梗塞の経験者。そんな自分たちが注意することも無く生活しているのに感染していない。周りに感染者が1人もいない。従って、報道されている内容が事実である筈が無いと。

彼らは突然家にやって来てチークキスをします。最近は家の門は必ず閉めて、カメラでチェック。彼らであれば、居留守です。寂しい話ですが、自分達の健康は自分達で守るしかありません。
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Mrs (玲子H)
2021-02-11 07:54:28
旅人様コメントありがとうございます。
どこの国にもこのコロナ難を信じていない人たちがいるのですね。世界中で2百3十万人以上ものひとがなくなっているのに。こんなひとが感染してコロナウイルスをまき散らしていたら、この国難は決して収まりませんね。たとえ親しい人たちでも付き合わないのが賢明です。早くワクチンが出回りますよう。Good Luck !!!
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