Rechtsphilosophie des als ob

かのようにの法哲学

刑法Ⅱ(05)講義資料

2020-10-26 | 日記
 刑法Ⅱ(各論) 個人的法益に対する罪――財産犯
 第05週 強盗の罪
(1)強盗の罪
1強盗の罪の種類
 強盗罪(刑236)
 暴行・脅迫を手段とした財物の強取

 強盗予備罪(刑237)
 強盗を犯す目的に基づいた予備

 事後強盗罪(刑238)
 窃盗既遂・窃盗未遂後、被害者等への暴行・脅迫

 昏睡強盗罪(刑239)
 被害者の昏睡状態を作り出して財物の強取
 昏睡状態を作り出したことが暴行・脅迫と同価値である
 すでにある昏睡状態を利用して財物を窃取した場合は窃盗でしかない

 強盗致傷罪・強盗致死罪(刑240)
 強盗の手段行為または強盗の機会に行った暴行に起因した致死傷

 強盗強制性交等罪・未遂罪・同死罪(241)
 強盗既遂・強盗未遂の機会に行った強制性交・同致死

 強制性交等強盗罪・未遂罪・同死罪(241)
 強制性交既遂・未遂の機会に行った強盗・同致死

 上記の未遂罪(強盗予備罪を除く)


2他の罪との関係
 強盗罪と窃盗罪との関係
 暴行・脅迫の手段の有無

 恐喝罪との関係
 暴行・脅迫が被害者の反抗に与える影響の程度差


(2)強盗罪(財物強盗罪・利益強盗罪)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

1客体
 他人の財物
 他人が占有する財物
 他人が事実上支配する財物
 財物=有体物・動産(窃盗罪の場合と同じ)

 暴行・脅迫を用いて他人の不動産を侵奪した
 窃盗罪・強盗罪の行為客体の「財物」は動産に限定
 暴行罪または脅迫罪と不動産侵奪罪(併合罪の関係)

 なぜ強盗罪の行為客体の財物は
 窃盗罪と同じ有体物・動産であると解釈されるのか?
 窃盗罪と強盗罪は同じ章に規定。
 ゆえに「他人の財物」という客体は
 同じ意味において解釈することができるから。
 そうすると、
 詐欺罪や恐喝罪、横領罪は別の章で規定されているので、
「他人の財物」や「他人の物」という文言で規定されていても、
 異なる意味において解釈することができる。
 詐欺・恐喝・横領などの行為から不動産を保護するために、
 「他人の財物」や「他人の物」に不動産を含める解釈が可能。


2行為
・暴行・脅迫
 手段行為としての暴行・脅迫
 それ自体として暴行罪または脅迫罪にあたる

 結果行為としての財物の奪取
 それ自体として窃盗罪にあたる

 結合犯としての強盗罪
 手段行為としての暴行罪・脅迫罪と結果行為としての窃盗罪の結合

 手段としての暴行・脅迫の程度と暴行罪や脅迫罪の程度の関係
 強盗罪の手段行為としての暴行・脅迫 被害者の反抗を抑圧する程度

 一般に被害者の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫ではなかったが、
 被害者が非常に臆病であったため、反抗が抑圧された場合
 暴行・脅迫は反抗抑圧に足りるものであるという基準に基づくと
 強盗罪の不成立。ただし、恐喝罪が成立する。
 恐喝罪は強盗罪不成立の場合の受け皿となる

・強取 反抗を抑圧された被害者の意思に反して、
    その財物を自己または第三者に移転する

 被害者から奪い取った場合だけでなく、
 畏怖している被害者が差し出す場合も(交付)
 強取にあたる。


3強盗未遂と強盗既遂
 手段行為としての暴行・脅迫の開始により強盗罪の実行の着手が認定される。

 財物の占有を自己・第三者に移転したことにより強盗罪は既遂に達する。


(3)利益強盗罪
第236条 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
1客体
・財産上不法の利益
 財物=有体物・動産
 利益=有体性のない財産的利益(債権など)

 暴行・脅迫を加えて現金10万円奪った     財物強盗罪
 暴行・脅迫を加えて10万円の債権を放棄させた 利益強盗罪

 債権を完全に放棄させた場合(永久的な利益)だけでなく、
 債権を一時的に留保させた場合(一時的な利益)もまた、
 財産上の利益を得たことにあたる

・不法の利益
 暴行・脅迫を手段として得た財産上の利益は
 不法であるという意味
 法律上許されない利益という意味ではない。


2既遂時期
 財物強盗罪の場合
 財物の占有が被害者から加害者に移転した事実(可視的な事実)によって
 財物強盗罪が既遂に達したことを確認できる

 では、利益強盗罪の場合はどうか。
 財産上の利益が被害者から加害者に移転したことは可視的ではな。
 それを確認できるのは、
 債権者(被害者)による債権放棄=債務免除・猶予の意思表示
 このような債権者の処分行為が行われたことによって確認できる(旧判例)
 さらに、債権者が事実上、債権の請求が不可能になったため、
 それによって債務者の債務が免除されたことによって
 財産上の利益が債権者から債務者に移転したことを確認できる(現判例)

 例えば、
 債権者に暴行を加えて、債権放棄・債務免除の意思を表示させ、
 債務の履行を免れた場合、
 債権放棄・債務免除の意思表示(処分行為)が行われた事実によって
 利益の移転を認定し、利益強盗罪の既遂を認めることができる
 では、
 債権者を殺害して、債務の履行を逃れた場合、
 被害者は処分行為を行っていない。
 従って、利益の移転を認定することはできない。
 利益強盗罪としては未遂。ただし、殺人は既遂なので、
 成立する犯罪は利益強盗殺人罪の既遂(刑法240条の箇所で説明します)。

 利益の移転を認定するために、被害者の処分行為が必要か?
 財物強盗罪の既遂の認定には、被害者の財物の交付(処分行為)は必要ではなく、
 財物の移転という事実だけで足りる。
 そうすると、利益強盗罪の既遂の認定においても、
 被害者の処分行為は必ずしも必要ではない。

・情報、アイディア、知識それ自体は利益か?
 これらを獲得するために、
 財産的な投資を要することがあるが、
 そのことと利益性があることとは別の問題。
 なぜならば、情報などの移転の可能性については疑問があるから。
 例えば、暴行・脅迫を用いて、情報を提供させた場合、
 情報はその保有者のところで喪失せず、なおも残るので、
 情報は移転可能な利益ではなく、
 利益強盗罪の成立を論ずる余地はないと考えられる。
 従って、利益強盗未遂さえ成立しない。
 暴行・脅迫を用いて情報の提供という義務のない行為を行わせたとして、
 強要罪の成立が認められる。
 なお、情報や知識の提供が有償契約に基づいている場合、
 暴行・脅迫を用いて提供者に債権を放棄させた場合、
 債権の放棄・債務の免除よって利益の移転を認定すればよい。


(4)事後強盗罪
第238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

1規定の趣旨と効果
 財物強盗罪の典型例
 財物強取目的に基づく暴行・脅迫を手段として、
 その目的である財物を強取した(財物強盗既遂)
 または強取に至らなかった(財物強盗未遂)

 ただし、窃盗既遂罪・窃盗未遂罪を行った後(可罰的な行為の後)、
 被害者などによる財物の奪還を阻止するなどの目的に基づいて
 その人に暴行・脅迫を加えるという行為が行われることがある

 強盗罪をめぐる犯罪現象としては、
 いずれもが典型例であると考えられる。
 このような犯罪現象を念頭に置くと、
 刑事学(刑事政策学)的には、
 いずれの場合も等しく財物強盗罪として処罰する必要性がある。

 ただし、利益窃盗の後(不可罰な行為の後。ただし債務不履行)、
 債権を放棄させる目的に基づいて
 債権者に暴行・脅迫を加えるという現象は
 刑事学(刑事政策学)的には
 利益強盗罪と同じように扱う必要性は必ずしも高くない。
 ゆえに、事後強盗罪は
 財物の窃盗既遂・未遂後の暴行・脅迫に限定されている。


2事後強盗罪の行為主体
・「窃盗が」
 窃盗既遂罪の行為者(財物を取り返されるのを防ぎ……)
 窃盗未遂罪の行為者(逮捕を免れ、罪跡を隠滅するために)

・身分犯
 窃盗既遂または窃盗未遂の行為者であることが
 事後強盗罪の成立の前提条件
 身分犯としての性格

3行為
・暴行または脅迫

 窃盗既遂・窃盗未遂と暴行・脅迫の関係
 窃盗の機会・継続性
 暴行・脅迫が「窃盗の機会またはその継続中」に行われたこと
 窃盗と暴行・脅迫の時間的・場所的な近接性

 窃盗の被害者が窃盗犯を追跡したため、
 一定の時間が経過し、他の場所へと移動した場合であっても、
 窃盗の機会・継続性は認められる。

・暴行・脅迫が加えられる対象
 財物の占有者(窃盗既遂・未遂の被害者。例えば、八百屋の店長)
 さらには、財物の占有の補助者・協力者。例えば、八百屋の店員)

 窃盗既遂・未遂後、追跡してきた被害者が逮捕しようとしたので、
 前を歩いていた一般の通行人に暴行を加え、倒して逃走した場合?
 この暴行は被害者による逮捕を防ぐために行われたが、
 それは財物の占有者に対して行われた暴行ではないので、
 事後強盗罪にはあたらず、たんなる暴行罪にとどまる。

・被害者などに暴行を加えた場合、
 常に事後強盗罪が成立するのか?
 財物の奪い返しを防ぐ目的などから
 被害者に対して暴行・脅迫を行えば、
 一般的に考えて
 事後強盗罪が成立する。
 なぜならば、被害者は財物を奪い返すための行為を
 行っている、あるいは行うことができると一般的に考えられるから。
 つまり、被害者による追及行為の可能性が一般的に認められるから。
 財物を奪われた被害者が恐怖のあまり、財物を奪い返すための行為を
 行っていなくても、それを行おうと思えばできる場合であれば、
 この追及行為の可能性=追及可能性は認められる。
 かりに、被害者が財物を奪われたことを認識していないため、
 奪い返そうという気持ちが起こらない場合には、
 追求可能性は認められない。
 従って、そのような被害者に対して、
 財物を取り戻されるのを防ぐ目的から暴行を加えても、
 事後強盗罪は成立しない。


4事後強盗罪の未遂
・事後強盗罪の既遂と未遂
 窃盗既遂の行為者が被害者などに暴行・脅迫を加えた。
 →事後強盗の既遂

 窃盗未遂の行為者が被害者などに暴行・脅迫を加えた。
 →事後強盗の未遂

 窃盗既遂・未遂の行為者が被害者などに暴行・脅迫しかけた。
 →事後強盗の未遂?

 事後強盗罪の実行行為は暴行・脅迫である。
 それを実行すれば事後強盗罪の既遂であるが、
 その実行に着手しても、事後強盗罪の未遂にはならない。

 事後強盗罪の既遂と未遂の区別は、
 窃盗の既遂・未遂が基準になる。

・事後強盗罪の予備
 財物を強取する目的に基づいて、その準備行為を行った
 →強盗の予備罪が成立する。

 窃盗を実行した後に被害者に逮捕されそうになったならば、
 ナイフで脅して逃げようと思いながら、
 ナイフを携帯して窃盗の場所を物色していた。
 →事後強盗の予備罪の成立?(判例は事後強盗の予備罪を肯定する)

 しかし、事後強盗罪は、窃盗の未遂が行われた後、
 被害者に暴行・脅迫を加えた場合に成立する。
 窃盗の場所を物色するなどの窃盗の実行の着手前であれば、
 それは不可罰な窃盗予備であって、
 強盗予備の成立は問題にはなりえない。
 それにもかかわらず、
 事後強盗の予備が成立するというのは、論理的に理解しがたい。

・事後強盗罪の共犯(刑法総論の共犯論のところで学んだ「身分犯の共犯」)
 窃盗の既遂・未遂後に暴行・脅迫が行われ、
 事情を第三者が暴行・脅迫にだけ関与した

 事後強盗罪をめぐる身分犯説と承継的共犯説
 身分犯説 事後強盗罪の行為主体=窃盗の既遂犯・未遂犯=身分者

 事後強盗罪=構成的身分犯と解する説
 窃盗犯という身分が強盗罪を構成する
 第三者の関与→刑65条1項の適用→構成的身分犯である事後強盗罪の共犯

 事後強盗罪=加重的身分犯と解する説
 窃盗犯という身分が暴行・脅迫を加重する
 第三者の関与→刑65条2項の適用→身分のない第三者には「通常の刑」
 つまり、窃盗犯の身分によって加重される前の暴行罪・脅迫罪の共犯

 事後強盗罪=窃盗既遂・未遂と暴行・脅迫の結合犯類似の罪
 結合犯の途中から第三者が関与→承継的共同正犯の問題
 第三者は関与以前の窃盗既遂・未遂を承継するか?
 承継肯定説
 暴行・脅迫への関与者はそれ以前の窃盗を承継→事後強盗罪の共同正犯
 承継否定説
  暴行・脅迫への関与者はそれ以前の窃盗を承継しない→暴行罪・脅迫罪の共同正犯


(5)昏睡強盗罪
第239条 人を昏(こん)酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。

1規定の趣旨と効果
 暴行・脅迫=昏睡状態の創出

 昏睡している人から財物を盗取する行為
 人を昏睡させていないので、
 財物の盗取だけが問題
 窃盗罪として扱えば足りる


2行為
 昏睡させる
 麻酔剤・睡眠導入剤などを使用し、
 人に一時的・継続的な意識障害を生じさせる
 昏睡状態
 継続的であっても、時間の経過とともに解消

 解消されない昏睡状態→傷害


(6)強盗致傷罪・強盗傷害罪・強盗致死罪・強盗殺人罪
(強盗致死傷)
第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

1行為主体
 「強盗が」
 強盗既遂罪・強盗未遂罪の行為者(事後強盗罪・昏睡強盗罪の場合も含まれる)

2強盗致傷罪・強盗傷害罪・強盗致死罪・強盗殺人罪
 本罪は基本犯である「強盗既遂・強盗未遂」を行い、
 重い「死傷」の結果が発生した場合

 重い死傷の結果と因果関係のある行為は?
 一般的には、強盗の手段である暴行によって生ずる(手段説)
 さらには、
 窃盗後の暴行(事後強盗)から死傷が生じた場合も含む
 このような見解を「拡張された手段説」という。

 では、
 強盗既遂・未遂の後に、現場から逃走する際に
 追いかけてきた被害者に暴行を加え死傷させた場合は?
 強盗既遂罪・強盗未遂罪と傷害致死罪の併合罪?
 それとも、強盗致死傷罪?
 この暴行は強盗既遂・未遂の機会または継続中に行われたので、
 強盗致死傷罪の成立が認められている(機会説)。
 あるいは、強盗に密接に関連する暴行から死傷が生じたので、
 強盗致死傷罪の成立が認められている((密接関連性説)

3機会説・密接関連性説から派生する問題
 強盗既遂・未遂を行った者が
 強盗の機会・継続中に暴行を行い被害者を死傷させた、
 または、
 強盗に密接に関連する暴行を行い被害者を死傷させた。
 この「強盗既遂・未遂を行った者」とは?
 身分犯として理解することができる。

 暴行にだけ関与した第三者は?
 構成的身分犯説→刑法65条1項→強盗致死傷罪の共同正犯
 加減的身分犯説→刑法65条2項→傷害致死罪の共同正犯

 なお、
 強盗既遂・未遂の手段行為である暴行によって被害者を死傷させた場合
 暴行だけに関与した第三者は
 通常の共同正犯として扱われ、刑法60条が適用されて、
 強盗致傷罪の共同正犯が成立する。


4結果的加重犯としての強盗致死傷罪?
 窃盗既遂の後、
 追跡してくる被害者に故意に暴行を加えた、死傷させた。。
 しかし、被害者の死傷は予見していなかった。
 (事後)強盗致死傷罪が成立する。

 本罪は結果的加重犯であると解すると、
 被害者が死傷することを予見していた場合、
 窃盗既遂後に暴行を加えた行為は(事後)強盗罪にあたり、
 その暴行によって故意に死傷させた行為は殺人罪・傷害罪にあたる。
 強盗罪と殺人罪または傷害罪は観念的競合の関係にたつ。

 このように強盗致死傷罪を結果的加重犯と捉えると、
 死傷につき故意のない場合には、強盗致死傷罪が成立し、
 死傷につき故意のある場合には、強盗致死傷罪は成立せず、
 強盗罪と殺人罪または傷害罪は観念的競合にとどまる。
 法定刑・処断刑を比較すると、
 死傷につき故意のない場合の法定刑の方が重く、
 (負傷の場合は無期又は6年以上の懲役、死亡の場合は死刑又は無期懲役)
 死傷につき故意のある場合の処断刑の方が軽くなる。
 (負傷の場合は5年以上20年以下の懲役、死亡の場合は死刑又は無期もしくは5年以上の懲役)

 このような刑の逆転現象を解消するためには、
 本罪は結果的加重犯であると同時に、
 死傷につき故意がある場合も含まれると捉え直す。
 つまり、
 死傷につき故意のない強盗致傷罪と強盗致死罪
 死傷につき故意のある強盗傷害罪と強盗殺人罪
 合計4類型が規定されていると解する。


5未遂と既遂
 刑法240条の犯罪の未遂とは?
 通説・判例 いわゆる「殺人未遂説」
 被害者を殺してでも金員を奪おうと暴行し、
 強盗は既遂・未遂。ただし、被害者を死亡させなかった場合
 殺意に基づいた強盗の場合で、殺人が未遂に終わった場合
 この場合だけが、240条の未遂

 従って、強盗が未遂に終わっても、被害者を故意に殺害している場合、
 成立するのは、強盗殺人罪は既遂である


(7)強盗強制性交等罪・強盗強制性交等致死罪および強制性交等強盗罪・強制性交等強盗致死罪
第241条 強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179条第2項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。
2 前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
3 第1項の罪に当たる行為により人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する。

1強盗強姦罪・強盗強姦致死罪の旧規定の改正と新規定の創設

 強盗強制性交等罪
 強盗の既遂・未遂の行為者が、その機会・継続中において、
 被害者に179条1項の強制性交等罪(2項の監護者性交等罪を除く)の
 既遂・未遂を行う行為

 強制性交等強盗罪
 179条1項の強制性交等の既遂・未遂の行為者が、
 その機会・継続中において、
 被害者に強盗の既遂・未遂を行う行為
 およびその行為から被害者を死亡させる行為

2強盗強制性交等の未遂および強制性交等強盗の未遂の場合で、
 被害者が死傷していなければ、任意的に刑が減免される。
 被害者が死傷していなく、自己の意思で犯罪を中止し、
 未遂に終わった場合は、必要的な刑の減軽・免除

3強盗強制性交等致死罪・殺人罪および強制性交等強盗致死罪・殺人罪
 死亡につき故意のない場合は
 盗強制性交等致死罪
 2強制性交等強盗致死罪

 死亡につき故意がある場合は
 強盗強制性交等殺人罪
 強制性交等強盗殺人罪


(8)強盗未遂罪・事後強盗未遂罪・昏睡強盗未遂罪・強盗殺人未遂罪・強盗強制性交殺人未遂罪
第243条 第235条から第236条まで、第238条から第240条まで及び第241条第3項の罪の未遂は、罰する。

 241条3項(強盗強制性交等致死罪・殺人罪および強制性交等強盗致死罪・殺人罪)の未遂
 殺人未遂説
 強盗強制性交等殺人未遂
 強制性交等強盗殺人未遂


(9)強盗予備罪

1目的と行為
 目的 強盗を行う目的  予備 強盗を実行するための準備行為

2強盗予備罪と事後強盗予備罪
 強盗を行う目的で脅迫の手段をあらかじめ準備する
 窃盗後に被害者による逮捕を免れるために脅迫の手段をあらかじ準備する

3強盗予備罪の中止
 強盗予備後、強盗の実行の着手し、
 自己の意思により中止
 →強盗未遂に刑43適用

 強盗罪の法定刑「5年以上の有期懲役」の必要的減軽
 →2年6月以上20年以下の懲役
 または免除

 強盗予備後、自己の意思により、その実行の着手を中止
 →強盗予備罪の成立=刑の減免なし

 殺人予備、放火予備には情状による免除の可能性あり。
 しかし、強盗予備には情状による免除なし。
 強盗予備後、強盗の実行の着手を中止した場合、
 強盗予備に刑法43条但書の「準用」を認める必要性あり。