Rechtsphilosophie des als ob

かのようにの法哲学

刑法Ⅱ(各論)(第11回④ 2015年12月10日)

2015-11-28 | 日記
 刑法Ⅱ(各論) 第11週 練習問題
(1)基本問題
1騒乱罪
 騒乱罪(106)は、集合した多衆が暴行・脅迫を行なうことによって成立する。その暴行・脅迫は、一地方の静謐(せいひつ)や公共の平和を害する危険(公共の平和に対する危険)なものであり、従って単なる暴行・脅迫にとどまらず、群衆の暴動に発展し社会の治安を動揺させる危険なものでなければならない。ただし、その危険の発生は本罪の成立要件ではない(抽象的危険犯)。従って、社会の治安に不安や動揺を現に発生させた事実も要しない。

 本罪の暴行は最広義の暴行であり、人だけでなく、物に対する有形力の行使を含む。暴行・脅迫を共同して行ない、かつその共同意思が必要である。この共同意思とは、多衆の合同力による暴行・脅迫の事態が発生することを予定して、それに加わる意思であり、個々の暴行・脅迫についての確定的な認識を要しない。
 本罪は集合犯であり、総則の共犯規定を適用する必要はない。関与者の役割に応じて刑が法定されている。

2多衆不解散罪
 多衆不解散罪(107)は、暴行・脅迫を行なうために集合した多衆が――それは騒乱罪の実行の着手前の状態――権限のある公務員による解散命令に3回以上従わずに解散しなかった場合に成立する。解散しないという不作為が犯罪として処罰されることを法文で定めているので、本罪は真正不作為犯である。

3放火罪の諸類型
 刑法の放火罪は、以下のようなものがある。
 現住建造物等放火罪(108)、非現住建造物等放火罪(109①)、自己所有の非現住建造物等放火罪(109②)、建造物等以外放火罪(110①)、自己所有の建造物等以外放火罪(110②)、延焼罪(111)、108条・109条1項の未遂罪(112)、108条・109条1項の予備罪(113)、消火妨害罪(114)、差押え等に係る自己の物に関する特例(115)、失火罪(116)、爆発物破裂罪(117)、業務上失火罪(117の2)、ガス漏出等罪・同致死傷罪(118)。

4放火罪の保護法益
 放火罪は公共危険犯であり、その保護法益は不特定または多数人の生命、身体、財産である。

5放火罪の行為
 放火して(火を放って)、焼損することで成立する。建造物が独立して燃焼する状態の発生によって既遂に達する(判例:独立燃焼説)。建造物の一部、例えば壁代用のべニア板を焦がした程度であれば、まだ建造物が独立して燃焼したとはいえない。

6現住建造物放火罪・他人所有の非現住建造物放火罪・自己所有の非現住建造物放火罪
 建造物とは、屋根を有し、壁や柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に人が出入りできる構造物をいう。行為者以外の人が起居する場所として使用しているか、または現に人が実在していれば足りる。

 非現住建造物とは、現住性の要件を欠いた建物である。独居者が自己が使用する他人所有の現住建造物に放火した場合、109条1項の非現住建造物放火罪が成立する。それが自己所有の場合は、109条2項の罪が成立する。

 108条・109条1項の放火罪は、建造物が独立して燃焼し、焼損されれば、それによって公共の危険の発生が認められるので、建造物の焼損によって既遂に達する(抽象的危険犯)。建造物が独立して燃焼しなければ、未遂である(112)。これに対して、109条2項の放火罪は、建造物の焼損だけでは既遂にはならず、それに加えて公共の危険の発生が必要である(具体的危険犯)。109条2項の「公共の危険」を「客観的処罰条件」と解すると、構成要件要素ではないことになるので、その認識がなくても、故意は成立するが、「公共の危険」を構成要件要素と解すると、その認識が故意の成立に必要になる。

7現住建造物・非現住建造物以外の物の放火罪
 現住建造物・他人所有の非現住建造物以外の物に放火して、公共の危険を発生させた場合、110条1項の放火罪が成立する。自己所有の物の場合、110条2項の放火罪が成立する。

 客体は「以外の物」であり、特定されていないが、それに放火すれば不特定または多数人の生命、身体、財産に対して危険(公共の危険)が及ぶものでなければならず、例えば市街地に駐車中の自動車、オートバイ、ゴミ集積場などを焼損すれば、近隣の住民の生命、身体などに危険が及ぶ場合がこれにあたる。この危険の有無は、「以外の物」の火勢が近隣の現住建造物などへと延焼して、そこの住民の生命、身体などに危険が及んだ場合に限られるのか(火勢の家屋への延焼のおそれによる危険の形式的認定)、それとも近隣の家屋への延焼するおそれがなくても、実質的に住民の生命、身体などに危険が及んだ場合も含まれるのか(危険の実質的認定)。判例は後者の立場である。刑法では、現住建造物などへの延焼が要件として必要な場合は、それを明記している(111条)、

 110条1項の「公共の危険」に関して、判例は、その危険の発生の認識は必要ではないと解している。つまり、現住建造物・(他者所有の)非現住建造物以外の物に放火していることの認識があれば足り、公共の危険の認識は要しないというのである。「よって公共の危険を生じさせた」という条文が、結果的加重犯の規定であると解すれば、判例にように、加重結果について故意は必要ではなくなる。

8延焼罪
 自己所有の非現住建造物(109②)または自己所有の建造物以外の物(110②)の放火を行ない、よって現住建造物(108)・他人所有の非現住建造物(109①)に延焼させた場合に成立する。「よって」とあるので、延焼は加重結果であり、故意の成立に、延焼の認識は不要である。現住建造物・他人所有の非現住建造物への延焼の認識があれば、それは現住建造物放火罪・他人所有の非現住建造物放火罪の故意になるからである。

 自己所有の建造物以外の物(110②)に放火して、よって他者所有の建造物以外の物(110①)に延焼させた場合に成立する。ここでも「よって」とあるので、他者所有の建造物以外の物への延焼は加重結果であり、故意の成立に、その認識は不要である。他者所有の建造物以外の物への延焼の認識があれば、それは110条1項の放火罪の故意になるからである。

9現住建造物放火・他人所有の非現住建造物放火の予備罪
 108条・109条1項の放火罪の予備は処罰される。

10消火妨害罪
 火災の際に、消火用の物を隠匿し、もしくは損壊し、またはその他の方法により、消火を妨害する行為である。

11現住建造物・他人所有の非現住建造物失火罪、自己所有の非現住建造物失火罪・110条の失火罪
 過失によって、108条、109条1項、109条2項、110条の放火を行なう行為である。

12激発物破裂罪
 火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、現住建造物・他人所有の非現住建造物を損壊する行為である(公共の危険は内包されている)。自己所有の非現住建造物・自己所有の建造物以外の物を損壊し、「よって」公共の危険を発生させた行為である。本罪は故意犯であるが、破裂行為を過失によって行なった場合も処罰される。

13業務上失火罪
 116条、117条1項の罪を業務者が過失によって行なった場合に成立する。

14ガス漏出等罪・同致死傷罪
 ガス、電気または蒸気を漏出させて、よって公共の危険を生じさせる行為である。結果的加重犯である。
 その行為から、よって人の死傷結果を生じさせる行為である。これもまた結果的加重犯である(二重の)。

15出水および水利に関する罪
 119条~123条

16往来を妨害する罪
 124条~129条


(2)判例問題
80放火罪の既遂時期(最判昭和25・5・25刑集4巻5号854頁)
 原判決挙示の証拠を綜合すれば、Y及びその家族の現に居住する本件家屋の一部たる3畳間の床板1尺4方ならびに押入床板及び上段各3尺4方を焼キ(焼損)したる原判示事実の認定を肯定することができる。そして原判決は右のごとき現に人の居住する家屋の一部を判示程度に焼キしたと判示した以上被告人の放火が判示媒介物を離れて判示家屋の部分の燃え移り独立して燃焼する程度に達したこと明らかであるから、人の現住する建造物を焼キした判示として欠くるところはないものといわなければならない。それ故所論は採ることができない。

 マッチで火をおこして、それを新聞紙に点火する→新聞紙が燃える→その火を家屋の一部に点火する
→その火が家屋の一部に燃え移って、新聞紙が燃え尽きても、家屋が独立して燃焼する=建造物の焼損
 建造物の一部が独立して燃焼しうる状態の発生=建造物の焼損=現住建造物等放火罪の既遂

81不燃性建造物に対する放火(最決平成元・7・7判時1326号157頁)
 なお、1、2審判決の認定によれば、被告人は、12階集合住宅である本件マンション内部に設置されたエレベーターのかご内で火を放ち、その側壁として使用されている化粧鋼板の表面約0・3平方メートルを燃焼させたというのであるから、現住建造物等放火罪が成立するとした原審の判断は正当である。

→マンションの建造物とその内部に設置されたエレベーターの関係
 エレベーターは、マンションの建造物を毀損することなく、取り外しができるので、マンションの一部分ではないと解することができるが、この「毀損」を建造物の損壊・破壊と理解すれば、そのような解釈も可能であるが、エレベータは、ボルトやナットなどで強固に取り付けられており、その取り外しは容易ではないので、それに構造的に組み込まれているのであって、マンションの建造物の一部として取り付けられているのではない。従って、エレベーターは建造物の一部をなしていると評価することができる。

82建造物の現住性(1)(最決平成元・7・14刑集43巻7号641頁)
 (1)平安神宮社殿(しゃでん)は、東西両本殿(ほんでん)、祝詞殿(のとりでん)、内拝殿(ないはいでん)、外拝殿(大極殿・だいごくでん)、東西両翼舎、神楽殿(かぐらでん)(結婚儀式場)、参集殿(さんしゅうでん)(額殿・(がくでん)、齋館(さいかん)、社務所(しゃむしょ)、守衛詰所(しゅえいつめしょ)、神門(しんもん)(応天門・おうてんもん)、蒼龍楼(そうりゅうろう)、白虎楼(びゃっころう)等の建物とこれらを接続する東西の各内廻廊(うちかいろう)、歩廊(ほろう)、外廻廊(そとかいろう)とから成り、中央の広場を囲むように方形に配置されており、廻廊、歩廊づたいに各建物を一周しうる構造になっていた、(2)右の各建物は、すべて木造であり、廻廊、歩廊も、その屋根の下地、透壁、柱等に多量の木材が使用されていた、(3)そのため、祭具庫(さいぐこ)、西翼舎等に放火された場合には、社務所、守衛詰所にも延焼する可能性を否定することができなかった、(4)外拝殿では一般参拝客の礼拝が行われ、内拝殿では特別参拝客を招じ入れて神職(しんしょく)により祭事等が行われていた、(5)夜間には、権禰宜(ごんねぎ)、出仕(しゅっし)の地位にある神職各1名と守衛、ガードマンの各1名の計4名が宿直に当たり、社務所又は守衛詰所で執務をするほか、出仕と守衛が午後8時ころから約1時間にわたり東西両本殿、祝詞殿のある区域以外の社殿の建物等を巡回し、ガードマンも閉門時刻から午後12時までの間に3回と御前5時ころに右と同様の場所を巡回し、神職とガードマンは社務所、守衛は守衛詰所でそれぞれ就寝することになっていたというのである。
 以上の事情に照らすと、右社殿は、その一部に放火されることにより全体に危険が及ぶと考えられる一体の構造であり、また、全体が一体として日夜人の起居に利用されていたものと認められる。そうすると、右社殿(平安神宮社殿の全体を指す――引用者注)は、物理的に見ても、機能的に見ても、その全体が1個の現住建造物であったと認めるのが相当であるから、これを同旨の見解に基づいて現住建造物放火罪の成立を認めた原判決の判断は正当である。

→神社は、本殿や社務所などの複数の建造物からなり、それぞれが独立した建物であるが、廻廊や歩廊などでつながれている。本殿や祭具庫、翼舎などは、人の起居に使われていない建物であり、「非現住建造物」である。社務所は、神職とガードマンが執務し、就寝する場所として使われていたので、「現住建造物」である。これらは、廻廊や歩廊でつながれていた。このように個々の建物は独立して建てられいても、それらが物理的につながれ、機能的にも一体的に利用されている場合は、平安神宮全体が1個の建造物をなしていると評価することができる。そして、祭具庫や翼舎が放火された場合、その炎は廻廊などを伝って、現住建造物である社務所などに延焼する可能性があったので、祭具庫や翼舎に火を放つ行為は、それ自体として火現住建造物であっても、全体として現住建造物を放火する行為と認定することができる。

 その全体が複数の建造物から成り、その建造物のうち、現住建造物と非現住建造物がある場合、それらが機能的に一体的なものであり、それが物理的につながっており、ある建物にから火が出た場合には、それが他の建物に延焼する可能性が高いといえる場合には、その全体が現住建造物となる。

83建造物の現住性(2)(最決平成9・10・21刑集51巻9号755頁)
 以上の事実関係に照らすと、本件家屋は、人の起居の場所として日常使用されていたものであり、右沖縄旅行中の本件犯行時においても、その使用形態に変更はなかったものと認められる。そうすると、本件家屋は、本件犯行時においても、平成7年法律第91号による改正前の刑法108条にいう「現に人ノ住居二使用」する建造物に当たると認めるのが相当であるから、これと同旨の見解に基づき現住建造物等放火罪の成立を認めた原判決の判断は正当である。

→もともと空き家であった家屋を転売目的で取得したが、その競売手続が始まったために、競落された場合には居住権を主張して対抗するために、家屋に人が住んでいるよう見せかけるために、数人の関係者に1ヶ月半で10数回、寝泊まりさせ、さらに、持ち込んだ家具などを焼損して火災保険を詐取しようと企て、関係者を沖縄旅行に連れて行き、その間にこれを全焼させた。関係者は、旅行後には、以前と同様に寝泊まりすることになると認識していた。

 本件家屋の現住性の判断基準は、「人の起居の場所として日常使用されていたもの」か否かである。これは、居住の事実と居住の意思に基づいて判断される。もともと空き家であっても、数人の関係者が1ヶ月半のあいだに10数日寝泊まりしているので(2日に1日の割合)、特定の個人が住居として使用していなくても、複数人の関係者が当直用ないし待機用の宿泊施設として利用している居住の事実が認められ、また関係者は沖縄旅行後に再び宿泊をする居住の意思を有していた。この点を重視すると、本件家屋の現住性を認めることができるが、この「居住」は「居住の偽装工作」であり、その意思も偽装工作の意思でしかない。この点を重視すると現住性を認めることはできない。ただし、偽装であることは、第三者の目から判別することは容易ではなく、むしろ一般には複数の人が起居の場所として利用している宿泊施設であると認識しうる外観を呈していたといえる。

84公共の危険の意義(最決平成15・4・14刑集57巻4号445頁)
 同法110条1項にいう「公共の危険」は、必ずしも同法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険のみに限られるものではなく、不特定又は多数の人の生命、身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれると解するのが相当である。
 市街地の駐車場において、被害車両からの出火により、第1、第2車両に延焼の危険が及んだ等の本件事実関係の下では、同法110条1項にいう「公共の危険」の発生を肯定することができるというべきである。本件について同項の建造物等以外放火罪の成立を認めた原判決の判断は、正当である。

→刑法110条1項の放火罪の成立には、「公共の危険」の発生が必要である。その有無は、何を基準に認定することができるか。現住建造物や他人所有の非現住建造物を焼損すれば、それによって公共の危険(不特定または多数の人の生命、身体、財産に対する危険)が発生するが、自己所有の非現住建造物や建造物以外の物を焼損しても、公共の危険は直ちに発生しない。それが、例えば現住建造物や他人所有の非現住建造物に延焼するおそれがあれば、公共の危険の発生を認めることができるが、判例はそのように理解せずに、実質的に広く認定している。

85公共の危険の認識(最判昭和60・3・28刑集39巻2号75頁)
 刑法110条1項の放火罪が成立するためには、火を放って同条所定の物を焼キする認識のあることが必要であるが、焼キの結果、公共の危険を発生させることまでを認識する必要はないものと解すべきであるから、これと同旨の見解に立ち、被告人に本件放火罪の共謀共同正犯の成立を認めた原判決は、記録に徴(しる?)し正当と是認することができる。

→110条の放火罪は、結果的加重犯である。加重結果について故意は必要ではない。

86往来の危険の意義(最決平成15・6・2刑集57巻6号749頁)
 平成7年法律第91号による改正前の刑法125条1項にいう「往来ノ危険」とは、汽車又は電車の脱線、転覆、衝突、破壊など、これらの交通機関の往来に危険な結果を生じさせるおそれのある状態をいい、単に交通の妨害を生じさせただけでは足りないが、上記脱線等の実害の発生が必然的ないし蓋然的であることまで必要とするものではなく、上記実害の発生する可能性があれば足りる。……本件についてこれをみると、……掘削行為の規模及び掘削断面と上止69号電柱付近において地すべりが生じ同伝習が倒壊するなどして、電車の脱線など安全な走行ができない状態に至るなど、極めて危険な状態にあると一致して認識しており、その認識は、現場の状況からして相当な理由があり合理的なものであったといえることなどに照らすと、上記実害の発生する可能性があたっと認められる。したがって、電汽車往来危険罪の成立を認めた原判決は、結論において正当である。

(3)事例問題
1放火罪の既遂時期
 Aは、Bが住むマンションのガレージに併設され、その上5メートルのところに2階の住居部分があるゴミ集積場のゴミに火をつけた。ゴミは、数分間燃え続けたところ、住人によって消し止められた。


2不燃性建造物に対する放火
 Aは、Bが住みマンションのエレベータのかごのなかで、鋼板でできた側壁にシンナーと灯油をかけて、火をつけた。火は、メラメラと燃えたが、鋼板は不燃性であったために、その後消えた。


3建造物の現住性
 Aは、靖国神社のトイレに火をつけた。その日は、新嘗祭(にいなめさい)が行なわれ、多くの参拝者が神社を訪れていた。トイレは、靖国神社の本殿と廻廊でつながれていた。本殿を参拝するまでには時間待ちせざるをえないため、参拝前にトイレを利用する参拝者が多かった。


4建造物の現住性(2)
 Aは、空き家である家屋に居住実態があるかのように装うために、1カ月のうち、合計14、5日間、自分が寝泊まりするだけでなく、友人などにも利用させた。Aは、誰も利用していない日にそれを放火した。


5公共の危険の意義
 Aは、Bが住むマンションのガレージに停めてあったBの自動車に放火した。Bの自動車は燃え上がり、左右に隣に停めてあったC・Dの自動車に延焼する可能性があり、また風向きのいかんでは、ゴミ集積場にも延焼するおそれがあった。


6公共の危険の認識
 Aは、Bの自動車を燃やしたことは認めたが、C・Dの自動車に延焼する可能性やゴミ集積場への延焼のおそれについては認識はなかったと述べ、110条の放火罪の故意はなかったと主張した。


7往来の危険の意義
 Aは、周囲が道路によって囲まれたマンションの建築現場において掘削の作業をしていたが、重機の足元が不安定であり、また現場は緩やかな勾配があったにもかかわらず、重機などを固定せず、極めて不安定な状態で掘削工事を行なった。