「高校野球100年」
その数字が、一人歩き。まるで、硬式だけが、光り輝ける高校野球であるかのような、NHKの、度が過ぎた、はしゃぎ振り。
またぞろ、スターを作り、仕立て上げて、連日騒ごうとしている、硬式高校野球報道。それも、よりにもよって、日本一性悪な性格をもつ、ごう慢不遜な父親の息子を・・・・。
まるで、硬式だけが、公式のよう。
だが、丸1年前。
甲子園から、ほど良く離れた、明石の、その名も、スポンサー命名権有りの、トーカロ球場。
そこで開かれた、高校の「軟式」野球全国選手権大会。その準決勝。
初日、延長15回で決着がつかず・・・・・・2日目、30回でも勝敗つかず・・・・3日目を、終えても・・・・・・・・・・・。
ついに、4日目。延長50回。
岐阜県の中京高校の、松井大河(たいが)投手が、広島県の崇徳(そうとく)高校・石岡樹輝弥(じゅきや)投手に投げ勝った。
そして、わずか、その2時間後に、決勝戦が始まり・・・・・松井が、またも意を決して、マウンドに立った。
そして・・・・・・・・・・・優勝した。
マスコミに、必要以上に、ことさらに作られ過ぎることも無く、しかし、まさに、永遠不滅の、破られぬであろう、新記録ヒーロー。
速報、も含め、6回。その折り、記事化。多くの検索数があった。再掲載しますので、あの時の「感動」を、再び!ではありませんが、振り返って戴けると、幸いです。
野球を知らない、全国のきゃぴきゃ女子アナまでも獲り込んで特報ニュースにまでして報じられた、あの4日間。
日本中を沸かせた、あの軟式高校野球の両投手らが、今、どうしているのか?
知りたくありませんか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それにしても、と、今も想う。
詳しく報道されることもなかったが、2人の腕と肩の疲労度は、どんなものであったのだろう?
「大丈夫です!」
「疲れは、感じません」
などと、定番の答えを繰り返していたが・・・・・・
硬式の、甲子園での夏の大会。
青森県から出場し、延長18回、262球を投げ抜き、翌日、松山商業との再試合が決まった、三沢高校の、太田幸司・投手。
今も語り継がれる名勝負として、名高い。
太田自身によれば、翌日の朝。
宿舎である旅館のフトンから、身を起こした時、試合後、疲れた肩や腕やひじを冷やすアイシングをほどこしていたにも関わらず、「あれ? なんか、変だな」と。
洗面所に行き、顔を洗おうとしたら、手や腕が動かない、上がらない。
仕方ないので、顔を洗面器の水面まで持っていき、顔を左右に振って「洗面」したという実話を聴いて、想った。
硬球と軟球の違いはあるが、1回戦からの球数は無視したとしても、3日間、しめて延長45回をひとりで投げ抜いた、松井大河と、石岡樹輝弥。
その2人は、4日目の朝。顔をフツーに洗えたのであろうか?
フツーに、朝食の茶わんを、手に持ち上げられていたのであろうか? と。
ちなみに、松井大河。決勝戦も入れて、1047球も投げている。はたして、顔を洗えていたかどうか? 想像してみて、欲しい・・・・・・・。
=========================
日本人の気質は、若者に至るまで、「熱しやすく、冷めやすい」。
あの語り継がれる・・・・かも知れない名勝負を知って、「よし! ボクも、俺も、軟式やって、全国一になろう!」
全国大会の出場校数も、16だけだ。チャンス、大きいぜえ~!
そうココロを変身させた球児は・・・・・いなかった。
増えなかった軟式野球部数、軟式球児。
世間は、甘くない。
それどころか・・・・・・・・。
この8月5日。高校野球熱が全国のなかでも高い、兵庫県の軟式高校野球大会の決勝戦が行われた。
勝ち上がってきたのは、神港学園と、洲本実業高校。
洲本実は、準決勝で、あの報徳学園を4-1で下した強豪。これまで、過去4回も全国大会に進出している実績もある。
しかし、廃部が事実上、この春の前に決定。新入生に対し、学校は、軟式の部員募集停止をしていた。
原因は、新入生も含む、生徒数の減少。この高校。校名でお分かりかも知れないが、淡路島にある。
軟式野球部員数。3年生が、6人。2年生が、5人。試合は出られるし、クラスメイトに”臨時部員”を依頼し、担ぎ出すことも可能ではあるが、学校側の姿勢はかたくなだ。
監督は、11人全員に「硬式野球部」への転部を勧めたが、全員拒否。
軟式で、5年振りの全国大会へ!の想いを込めて、試合に臨んだが・・・・。
0-5で、敗退した。
その軟式の、今年の「第60回全国大会」は、今年も8月22日から、上記球場ほかで開幕される。
この春、松井大河が卒業した「中京高校」も、石岡樹輝弥が卒業した「崇徳高校」も、双方、全国大会への出場を決めた。
ちなみに、第6弾までの記事で、しばしば明記したが、「中京高校」は、岐阜県の瑞南(みずなみ)市という、山の緑と川が豊かで、のどかな地方都市にある。
この夏の硬式・甲子園大会に出場している「中京大中京」は、愛知県名古屋市昭和区にあり、まったく別の高校です。
ちなみに、特待生問題。今大会へ出た1軍レギュラーのなかに、1人だけ隣県の岐阜県の中学校からきた選手がいるものの、ほか全員が愛知県内からの入部でした。
で、まず優勝投手の、松井大河。
その縁もゆかりも無い、中京大学に、この4月、進学。
高校のホームページによれば、卒業生410名中、366名が4年制大学に合格・進学しているが、松井もそのうちの1人であった。
むろんと言うべきか、野球は続けており、「準硬式野球部」に即、入部。
この中京大学も、外に向けては「愛知県の中京大学」と言っている。というのも、「三重中京大学」と、混同される可能性があるからだ。
取材意図を詳しく説明すると、こころよく松井大河の行き先を教えてくれたのは、軟式野球部の、佐藤部長。同校の教師でもある。
スポーツ推薦で、合格入学。入った学部は、どうやら「スポーツ科学部」。
その準硬式野球部。創部は、戦後の昭和29年。今年で62年目に入る。部員数、98名。
高校で全国的に名の知られた松井大河といえども、大学に入れば、ただの1年生。
部は、早朝練習が中心。グラウンドや部の寮も、誘惑が多い名古屋市では無く、豊田キャンパスと呼ばれる、豊田市にある。
歓楽街も、旧・遊郭もあるにはあるが・・・・・・まあ、大河クンは、マジメそうなんで、・・・・・・・・・ビミョー。
指定寮に、入部。入部費、5万円。部費は、年間5万円。コレを、松井のご両親が支払ったかと言うと・・・う~ん・・・・・ビミョー。
で、この部。県内では、圧倒的に強い!
9年前には、「全日本大学準硬式野球選手権大会」で、すでに8度目の優勝を成し遂げている。
投手陣も、すんごいエースが、ズラズラリ。
少しかいつまんで書いただけでも、松井大河が入部してすぐの、5月8日。愛知大学に、10-3と、7回コールド勝ち。
ついで、5月13日。東海地区の春季リーグ戦で、名商大に、5-0で勝ち、8勝2敗で優勝。
7月には、関西へ遠征。まず7月11日。立命館大学と、2連戦。
第一試合、2-1で、サヨナラ勝ち。続く第2試合も、8-6で連勝した。
翌12日。今度は、同志社大学と、2連戦。
1試合目は、1-1の、引き分け。2試合目は、5-9と負けた。
宿題を胸に、豊田市に帰った。
次に迎える大会は、8月19日(水)から、石川県内の3球場で開幕する、先の「全日本大学準硬式野球選手権大会」
すでに、翌20日に、関東学院大学と対戦が決定している。
投手陣には、細江、中間、後藤、仲宗根などがおり、すぐ松井大河が、その一角に食い込めるほど、層は薄くない。
では、地道にボール拾いをしているだけか?と言うと、そこは大河。
入部して翌月。
5月28日、「東海地区 新人交流戦」の準決勝で、名商大Cチーム相手に、2番手投手として、早くも登板。試合は、6-4で勝利。
次いで、6月19日。部内の新人交流戦大会で、Cチームと、Dチームが対戦。
松井大河は、Dチームの3番手で登板。試合そのものは、1-5で負けたが、彼自身は無難に抑えて、交代したようだ。
これから、どんな投手に成長してゆくのか?は、正直、まだまだ分からない。
昨年夏。将来、プロへ?などという質問も飛び、活字になって、勝手にはしゃいだマスコミもあったが、どこの球団も、育成選手としても、声も掛けなかった・
軟式から、ドラフト外ながら、広島カープにプロ入りし、大活躍を遂げた、大野豊という例もあるにはあるが、レベルが違う。
とはいえ、伸びシロは、まだまだ無限大。
この4年間を、きっちり見つめていきたい。
なお、昨夏、優勝出来た大きなチカラとして、わたしは捕手の西山裕基を挙げて、書いた。
個人情報の壁を乗り越え、佐藤部長に聞いた。
「西山クンは、就職しました。会社は、トヨタ自動車です。野球? やってません」
わああああ、・・・・・もったいない!
あの配球の素晴らしさ! あの、絶好のタイミングで送球し、崇徳、そして、決勝で対戦した三浦学苑の塁上走者を、次々と阻止。
その能力、知力、体力を、自ら埋めてしまうとは・・・・・・・。
残念で、ならない。
また、素晴らしい名言を残し、4日間もの延長で、疲れ果てていた部員の心を鼓舞し、たぐいまれなキャプテンシーで引っ張り続けた、主将・後藤敦也は、今?
「キャプテンの後藤クンまで、聞きますか?」と、苦笑。
こちらも、質問を、いわば延長戦。
「後藤敦也・主将はですね、早稲田大学に進みました。そうです、スポーツ推進学部です。彼は、今は準硬式で野球を続けていますよ。もう、そろそろ、よろしいですか(笑)」
ありがとう、ございました!
ちなみに、延長の一文を。
後藤敦也が進んだ、早稲田大学準硬式野球部は、先に書いた「全国選手権大会」に、予選で敗退。
石川県の球場で、2人が顔を合わせる機会は、この夏は、無い。
熱い球春は、続く・・・・・・・・・・
<前篇 終了>