相も変わらず、宇良に関してのスポーツ新聞記事の類い。
「居反り」(いぞり)など、珍しい決まり手、いわば奇手(きしゅ)を冠に必ず掲げ、サーカスまがいの力士のような書き出しと紹介から始まっていることが、残念でならない。
元ゲテモノ・オカマのうえ、奇怪デブスな能町みね子なる者が、大相撲好きを自称して、NHKで6日夕方、宇良を紹介していたが、あまりのドシロートぶりに、あきれ果てた。
キチンと調べたうえで、正当な評価をしろよ!
と想う一方で、奇手を前面に打ち出さず、カラダは小さいが、足腰がとてつもなく強じんで、土俵際でしぶとく、片足の指1本で土俵の中にカラダを残し、相手の手足が土俵外に付くのを待つ・・・・などと書いても、果たして相撲に興味・関心が無かった人達が、これまで書いてきた宇良の記事に、喰いついてくれたか?どうか?となると、はなはだ自信が無い。
しかし、他の記事とは一線を画して、独自の視点で事実を軸に書き綴ってきた、という自負は、ある。おかげで、毎記事、多くの検索数を数えるまでになった。
あとは、宇良の勝負を直接、テレビや会場で観て、相撲に関心を抱いてくれりゃいい。そう想っている。
なにしろ、新十両。1度だけ、優勝決定戦への運びが長引き、地上波で取り組みが映ったことがあるが、今度はしっかり15番。地上波ナマ中継で観ことが出来る。
一方、立ち会いのデタラメさについての記事については、驚くほど!検索数が少ないが・・・。
指摘し、長らく書き続けてきたのは、私だけではなかろうか。NHKは相変わらず、あえて無視と黙認の姿勢。
すでに85歳にもなる爺さん、杉山邦博などは、八百長すら気づかずに、土俵間近でタダで長年見続けていたのには、直撃取材して、かつてあきれ果てたものだ。
この爺さん、こう言ってのけた。
「・・・・・八百長はあったとも、無かったとも、私の立場からは申し上げられません。節穴? 失礼ですよ、あなた! ちゃんと、観ていましたよ」
相撲雑誌は、目をつむり、知らぬ存ぜぬ。タレントの舞の海周平は、ダヴァに叱られると、シュンとなる始末。番記者は、群れるだけ。指摘すらしない、ていたらくぶり。
まさか、ソレを読んでくれたわけでもなかろうが、八角理事長こと、保志が力士会で言明。厳命した通りにこの夏場所から、あるべき立ち合い。正しい立ち合いが実行されるのであれば、書いた甲斐があったというもの。
ソレによって、ダヴァジャルガルの片手チョン付きも、両こぶし付かずの立ち合いも、何度もやり直しさせられるはず!
むろん、必要以上の張り手や、ヒジでの顔面打ちエルボーは即刻、立行司ないし審判部が、強制的に止めさせるべきだ。
大相撲は、相撲道に基づく勝負。プロレスでは、決して無い!
いくら、日本に駐在している外国人記者全員が、大相撲力士を、「歌舞伎的様式、相撲レスラー」視。スポーツとは違うシロモノとして呼称し、認識していてもだ。
また、いつもいつも姑息な間合いずらしで、相手のリズムとル―ティンを狂わせたうえで、両こぶし付かぬまま、不正な立ち合いをし続けてきた琴奨菊などは、全面修正を迫られるに違いない。
そんな手口を使わねば勝てる確率は少ない、とても非力な力士であることは理解出来なくもないが、・・・・・・修正したら、なおのこと。横綱などには、到底なれないであろう。
さて、予想した通り、関西(かんせい)学院大学を卒業して入門以来7場所目のスピード出世で、宇良和輝(うら かずき)は「新十両」になれたし、なった。
新番付発表後の、地元大阪での宿舎で行なった記者会見の笑顔(写真左上)と、とつとつとしたしゃべりが、ういういしい。
土俵際厳しく、ヒヤヒヤさせる結果や勝敗もあったが、この数場所、ほぼ実力が発揮された結果と言って良い。
幸運や、ラッキ-さは、ほぼ無かった。日々積み重ねてきた、相手力士の傾向と対策を練った研究成果もあり、幕下までは実力通り。
さあ、本当の勝負はこれからだ。
今までは、1場所7番勝負。優勝決定戦で増えることもあったが、ソレは、文字通り番外。中1日や2日、休みがある間、カラダをいたわり、休めながら、相手の取り口を研究し、対策を練っていた。それに当てる時間も充分にあった。
不要な、お誘い宴席も無かった。
ところが、この5月8日からは毎日。休み無しの15日間。想像以上に、きつくなるはず。
これまでの状況とは、まったく違う。同じ木瀬部屋にいた先輩力士が付き人として数人。身の回りの世話をしてくれる。金玉、チン棒以外は、全部ていねいに風呂場で、洗い流してくださる。
給金も、毎月、約100万円もらえる。加えて、場所ごとの在位手当ても入る。
今までも書いてきたように、天と地、とはそういうことだ。
だが、出世したとはいえ、みんな「宇良」と気さくに、気軽に呼びかけている。それが良い。まだまだ、宇良は思い上がっていない。勘違い、していない。遠慮もしている。ずっと、そうしていて欲しい。
部屋は大部屋から、晴れて「関取」となって個室に移った。とはいえ、そんなキチンとした格付けの広さでは無いんですと、木瀬部屋の力士が言う。
先輩の幕内力士には、臥牙丸(ががまる)など数人。十両にも古参の先輩がいる。その臥牙丸とは稽古で、9番とって6勝3敗。うち、4連勝の時もあったとの報道。
が、その内容をこの目で見ていないので、取り口、攻め方の成長具合が分からない。
この木瀬部屋。
前の親方が、暴力団と懇意となり、なかなか手に入りにくい本場所のチケットを大量に融通していた事実が発覚。
親方が角界追放。とともに、部屋が無くなる危機も経験している。
現在の2代目親方は、現役時、前頭筆頭までいった肥後ノ海。本名、坂本直人、46歳。
彼が部屋で絶大なる権力を持っており、朝稽古見物も親方への事前申請と承諾が無ければ、観ることが出来ないという慣習になっている。
それは、番記者も、同行するカメラマンも同様だという。
その許諾の結果の産物が、掲載されている・・・・・というわけだ。
気軽に他のいくつかの相撲部屋のように、見物は出来ない。もっとも、かつてはカネ寄こさないと、タダでは見せないと、竹刀を振り回して追い払う、元人気横綱だった故・朝潮などの親方もいた。
カネ、金、ゼニくれ、の感覚は、育てた弟子のも受け継がれていた。小錦しかり。高見山しかり。
高見山などは、親方となってカネがあるにも関わらず、自身の八百長の過去のことを取材に行ったら、開口一番、こう言われた。
「なんぼ出す?」
なもんで、稽古を見せない部屋があるなか、木瀬部屋は、まだマシなのかもしれない。
3月の大阪場所の前、そんな御許可を得てでも朝稽古を観にいこうとしたが、連日の早朝の寒さのなか、バイクをブッ飛ばして行って着いてしばらくは歯がガタガタ噛みあわないなと想い、だらしないことに、めげて事前中止。
また、先日。事前に朝稽古が観たいのですがと、連絡を入れたところ、稽古場の上がり座敷は、「ここ数日、親方の知り合いの方たちが多く来て頂いていて、1人も入れないんです」と、力士が申し訳なさそうに言う。
報道によれば、宇良はこのところ、稽古には参加せず、すり足と、重いダンベルを手に、筋肉強化に努めている毎日だという。
まあどこの力士も、この時期のケガを避けたいため、土俵に降りても「調整」程度で終えるのが通例なので、仕方が無い。痛い箇所は、急ぎ、治しておかねばならないし。
この木瀬部屋では、つい最近まで朝稽古の見物と、その後のちゃんこ料理を食べられるコースが、6歳以上、1人8980円のコースで掲載されていた。
また、宇良の「新十両 昇進祝賀会」。お1人様、1万5000円で呼びかけ、それなりに盛会と・・・・なったようだ。
宇良和輝当人に、その儲けのうち、いくら、何割がもらえるのか。コレばっかりは、親方の胸三寸が、相撲界の慣例・常識になっている。
しょっぱい(ケチな)親方だと、過去1円もくれないケースもみられ、あるとき、私にこぼした力士もいた。
かつての横綱・隆の里も、ご祝儀もらっても、1円も付き人にあげなかった。
かと思えば、大関までいった現役時代の千代大海のように、もらったおカネはすぐさま散財。付き人にあげたり、若いもんの飲み食いに全部使わせたりする、いつも気前の良い性格の力士もいた。
もらった大型ランドクルーザー。キーごと、元・千代の富士こと九重親方が断りも無く自分の物にしてしまっていても、「そういうヒトだから」と、気にもしていなかった。
宇良もまた、このほかに4月28日、29日と、2日連続で、卒業した京都府立鳥羽高校、そして上記大学の、やはり祝賀会があり、東京と関西との往復多忙の日々。
高校の後援会からは、校章を前面に出した化粧まわしと、明け荷をプレゼントされた。当時の相撲部の面々との集合写真では、いかに宇良が小さいか、を思い知らされた。
現在、127キロ。スポーツジムに通い、食事の栄養面もLINEからの情報で学び、なお一層、胸板が厚くなり、筋力も増した。
その間に、国技館での稽古総見もあった。
夜、時間があればインタビューか、直撃短時間取材をと想ったら、お誘いの席があったとかで外出。
後援会の設立、金一封、御車代。その他に、宇良個人のタニマチ、ひいき筋が急増、倍増。
現金が、正装した羽織袴のフトコロ、付け人に持たせたセカンドバッグにどっさり束となって、押し込まれていったはず。
連日連夜。お祝いの宴席に引っ張り回され、アタマを下げ下げ、祝福されまくり。嬉しい反面、確実に稽古の時間が激減していった。
大阪場所の後は、そのまま地方巡業へ。コレは、いわば花相撲。チカラを入れず、ケガをしないようにと気を付けて土俵にあがり、シロートである観客に見せ場をそれなりに創り、土俵を降りる。
いわば、本場所に向けての調整のための取り組み。
宇良の本格的稽古は、帰京しての、この4月27日から。先程列記したように、満足に稽古らしい稽古は出来ていない。
これまでの積み重ねを、8日からの夏場所で発揮する他無い。
周囲。とりわけ力士たちは、宇良の想像を超える注目をしている。
姑息立ち合いの琴奨菊が、以前の記事で書いたように気にしていたし、稽古総見では、ベテラン安美錦に茶化され、遠慮していたら土俵に押し出された。
その途端、観客から大歓声が湧いた。知っているのだ、宇良を! 知られているのだ、宇良が!
宇良の一挙手一投足を、多くの十両幕内力士が見つめていた。明らかに、敵。明らかに、ライバル視。
なかでも、同じ十両の石浦は、一番を終えたとたんの宇良に全身で抱きつき、次の相手を強力アピール!
またまた、会場全体が湧いた。
宇良より小兵(こひょう)の石浦。彼もまた、本名の姓をしこ名にして相撲を取り続けている。
本場所で、是非是非、観ていただきたい。2人の、そんきょの姿勢の美しさ。そして、相撲界に2人しかいない、四股のきれいさ、美しさを!
右が、石浦。左が、宇良。浦宇良対決は、十両名勝負と、今後語り継がれる取り口になるはずだ。
石浦。身長173センチと、宇良と極似。体重こそ115キロなれど、その筋肉隆々の体型は、素晴らしく、無駄な肉、カケラも無し。
年齢は、宇良より3歳上の26歳。宇良が序の口デビューした時は、石浦、すでに「関取」、立派な十両だった。
だったが、以後の7場所。良くて9勝6敗。悪いと、真逆の6勝9敗。この体躯で、しぶとく幕下に陥落せずにきた。
その間に、宇良がスルスルと、話題を背に駆け上がってきた。石浦なりの、「プライド」ギラギラ。
似た、取り口。もぐってから、相手の動きを察知して、タイミング良く投げを打ったり、巧みに相手の体勢を崩して足技を駆使して勝ちを呼び込む。
だが、十両の壁は、とんでもなくぶ厚い。
右の石浦が投げを打っても、しっかり俵に足を引っ掛けて残る強じんな足腰を持つ、左の宇良。
会場が、湧き上がった。ダヴァなんか、駄馬。ホント、屁でもない人気ぶり。
土俵を囲む関取たち。こんなのに自分の席を取られてはかなわないとばかりに、早いうちにつぶしてしまおうぜ!という視線、鋭くとがった視線。
宇良に関しての研究と対策は、各自していた。
そんな針のムシロのなかで、13番取って、9勝4敗は良い仕上がりと言えるかもしれない。
だが、弱点ものぞいた。暴露された。
一例を挙げよう。
待ってましたよ!とばかりに、宇良にもぐらせる。が、そこで体重差と腕力を生かし、グイと押し込みながら、宇良の両足が揃った瞬間、下からぐわっと深くめくり上げて、一気に土俵際へ運び込み、寄り切る。
宇良が考えるヒマを与えず、もぐられたら体重差で押しつぶす、はたき込み。
宇良も、考え考え、相手によって取り口を、千変万化、変えていた。
初日の対戦相手は、天鎧鵬(てんかいほう)。
体重差54キロの、巨漢。十両2場所目ながら、幕内の経験もある。個人的なことを書くなら、昨年の9月、入籍。2歳年上の亜香利・夫人と、来月の6月4日に披露宴が待っている。おまけに、熊本県玉名市出身。
偽善的な書き方をするなら、人気台頭力士に勝って、良いスタートを切りたいというところであろう。
十両ならでは重量で、足腰が重そうだが、彼の着こんでいる鎧(よろい)は、意外と壊れやすく、もろい。
この3年半ほどの取り組み、10番ほどをじっくりと見たが、勢いづいて向かってきたところを、引いてのはたき込みで、ばったり大の字に。
サッと横に大きく体を入れ替えて、よろけたところを押し出される。
宇良が、土俵際に呼び込んでおいて、カラダをクルリと入れ替えて、グイと土俵外へ押し出すなど、天鎧鵬相手には、勝機はあり・・・・・そうだ。
だが、人気の石浦。宿敵にもなりそうな、同じく新十両の佐藤など、観るコチラは面白いが、日々、休み無しに戦う宇良にとっては息つく暇もない夏場所になりそうだ。勝ち越し出来たら、万々歳と言っていい。
宇良は、言う。
「十両は、相手の実力が計り知れないので、気力、体力との勝負です」
その通りの15番になるだろう。
最期に、もう一度書きます。
地上波で観られます。初日の天鎧鵬戦は、十両2番手です。録画してでも、見逃さないで 欲しい。