いやあ、淋しい行く末を案じる試合内容、だった。
内容だけではない。観客の入りも、淋しい。
メインスタンドで、7割弱。反対側の自由席中心のバックスタンドに至っては、両ゴールサイドも入れ込むと、1割しか入っていない。
天候、快晴。温度適温、そよ風、心地良し。なのに・・・・
これで、「関西ラグビーまつり」だそうな。
これが、今の、腐っても「日本代表」の”厳実”だ。
久しぶりの<リアル ラグビー ルポ>で、こんな書き出しで始めるとは、自分でも予想していなかったが、こんな試合と背景で、他のヨイショ番記者のように書くわけにはいかない。
チームとしては、4月18日から丸1週間、九州は宮崎県で合宿を行なってきた。
その一週間前までは、長野県の菅平で合宿。
相も変わらずの、朝というより、早朝の5時から練習開始!
それも、なんとウエイト・トレーニング。
屈強な面々とはいえ、筋肉が起きてもいないのに、やらせる。もう、数年も前からの、レギュラー・スケジュール。
理由を聞くと、海外へ行っても時差ボケと環境にすぐ合わせられる体調作りだと言う。
そんな、アホな! と思ったが、スタッフの顔はマジ。
こんなムチャクチャな夜明けのベンチプレスと、マシン使用。他のスポーツ競技の日本代表合宿で、耳にしたことは無い。
1日、3部制の強化スケジュール。
それで、「効果」が実るのならいい。だが・・・・。
グラウンドで、ちんたらランニングしかしない、サッカー日本代表の面々なら、さぼって寝ているだろう。
おまけに、ヘッド・コーチのエディー・ジョーンズは、大相撲の部屋へ行き、朝稽古見学。力士の立ち合いを見て、スクラムに生かしたいとのコメント。
この類いは、昔からあった視察。だが、ラグビーのスクラム力学と相撲の立ち合いは、似て非なるもの。
それでも、恒例行事化。無駄と言う他、言葉もない。
会場の花園ラグビー場では、前日練習は、軽く45分で切りあげた。
強化で、クタクタに疲れた体を、休ませる意味合いもあった。
片や、緊急寄せ集めの、その名も「アジア・パシフィックライオンズ」。
38歳の箕内”入れ墨”拓郎など、「昔の名前で出ています」的日本人プレイヤーも入れ込んだ選手と、外国籍のプレイヤーの合体チーム。
合宿などは、一切していないまま、試合に臨んでいる。
やったことといえば、日本に馴染みの無いヘッドコーチらが緊急来日し、大阪で表敬訪問と、記者会見。
それに、中学生ラグビー部部員に、ちょいと指導。そして、パーティ・・・・・・・。
それで、花園ラグビー場に集結した。
ちなみにすべて、全国スポーツニュースでは、一切流れていない。いつものことだ。日本代表の動向も。
知られない、日本のラグビー。
まさか、日本代表サイドが、「相手は寄せ集めさ」と舐めていた、甘く見ていたということは、無いと思いたい。
ただ、「アジア・・・」。急造でも、簡単には負けないだろうな。ひょっとしたら、一泡吹かせるかも知れない。そう、思っていた。
もはや、「アジア・・・」には、綿密な連係プレイからのトライは望めない。だが、個人技で一直線にトライにまで持ち込めるプレイヤーが、数人いたから。
で、そうなった!
前半24分までは、15点の差をつけ、日本代表がリードしていたのに、あっさりとひっくり返された。
あとは、一気、イッキ。
終わってみれば、35-29。
実質、もっと点差があった試合展開だった。
あわやトライ寸前が、他に2本あった。
日本代表が、ノック・オン(キャッチしたボールを、前へ落としてしまう)や、パスのタイミングがずれて落とすイージー・ミスなどを、繰り返した。
一体、ナニを合宿で練習していたのだろう?
とりわけ、さまざまな形式で、宮崎の合宿で、ハンドリングエラーを少なくするパス練習に、集中的に励んできたはず、なのに・・・・。
ましてや、この試合。「アジア・・・」は、今後の日本代表のタイトなスケジュールを気遣ってか、激しい相手の当たりも、無かったのに・・・・・。
なのに、ハンドリング・エラーが、日本が15。それに対して、アジアが8。
ペナルティが、日本10に対して。アジア5。
その差に、ため息が出てしまう。
4トライと、3ゴール(キック)は、両チーム同じだが、選手個々の技量の差が、大きかった。
例えば、後半の、元フィジー代表のルペニ・ザウザウニンブザの、独走トライ。
33歳にして、軽く日本のディフェンスの薄い壁をスルリスルリと、抜き去った。
また、NECチームの牽引者だった、ニリ・ラトゥの突破力に、なすすべもなかった。
エディーは、惨敗したというのに、試合後、こう言った。
「とても良い試合だった。今の現状を知ることが出来た」
そこに、指導者責任感は無い。いつも、ヒョーロン家的発言。勝てば、自分の手柄と力量滲ませる。負ければ、出た選手の責任。自分は、蚊帳の外。
主将を自分の目で選んだのに、その廣瀬俊朗を記者会見の席上で、完膚なきまでにボロクソに批判したこともある。
なのに、コロッと、また起用するという、まか不思議な信じられない感覚。
かつて、連敗続きだった時、思い切って記者会見で、エディーに聞いたことがある。
---御自分の責任については、どう考えているのですか?
通訳を通じて、質問の真意を聞かされ、エディーは、目を剥いて怒った。
「私に辞めろと言うのなら、今すぐにでも辞めてやる!」
会場は、一瞬凍り付いた。なので、「そうして下さい」という言葉を、ちょいと言い出しかねた。
あとで探ったら、辞める気などカケラも無い、パーアホ―マンスだったらしい。
以後も、彼の指揮官としての能力に感心したことは、ただの1度もない。
今期の主将、リーチ・マイケルは、試合後、こう言った。
「今回は、相手チームにスーパースターがいて、簡単にトライを取られてしまった」
日本代表チームの一員でもある、薫田真広は、言う。
「今日みたいなプレイをしていたら、ワールドカップに向けての予選は通過出来ない」
5月3日から、アジア五か国対抗が、待ち受けている。
「勝たなければならないのは当然だが、勝つ内容が問われる大会になる」
そう、薫田は付け加える。
ココまで来ても、課題はてんこ盛り。
27日からは、今度は福岡で合宿。また、朝5時からウエイト・トレーニングの愚行が再開されている。
その上、マスコミにでさえ非公開の練習が目立つ。
これは、同じ男子の7人制ラグビーが、27日まで合宿をやっているのだが、依然として非公開。
人気があって、マスコミが押し寄せて練習の妨げになった経験があるので、やむなく非公開では無い。
人気がないのに、非公開。見せない、見せません。でも、お客さん、一杯来てね! の、ありえない広報手法。いまだ、悲後悔は、していない。
そんななか、ファンは来て、3人。たったの、3人。
極めて珍しく、この4月19日と20日の土日には、地元のラグビーをやっている中高校生を招いてセレモニー的見学させたり、一般の人達の見学を許した。
しかし、付け焼刃ではなく、今後も2019年まで慣例的に公開していかねば、何の意味も無い。
客足、認知度は伸びない。努力が、足りない。
ちなみに、サッカー日本代表。女子のなでしこも含め、事前に非公開と言っていても、結局、観客とファンが、200人ほど並び、詰め掛け、いつも公開。
それでも、練習に何の支障も無い。
人気と、不人気。それ以前の、根本姿勢。
唯一、試合を放送し続けている「Jスポーツ」も、試合が終えたら、1分でも早く終了する。低視聴率番組に、無駄な制作費は使いたくない意向。
BSで放送していた番組も、日時変更しただけでなく、放送時間も短縮。経費節減。
世間に知られていかない方向へ、ひた走っている。
これで、5年後には、この日本で、ワールドカップが行なわれるというのに、逆行を、いまだに繰り返しているラグビー協会広報と、チームのおかしな姿勢。
先の薫田が、次期ヘッドコーチの既定路線。
それを早め、エディーに今までの責任を問い、その辞任を経て、荒療治をしなければ、今後も勝つには勝っても、冷や冷やの綱渡りが続くことは、間違いない。
体格の差?
いえいえ、先のルペニ。身長、わずか179センチ。体重105キロでしかない。
どの選手も、筋肉は付いた。そ~ゆ~練習ばっかり、やってきているから、当然だろう。
格闘技に誘われるくらいだ。
しかし、実戦練習が、足りなさすぎる。許可された公開練習をみて、何度も痛感した。これで、「世界」と、闘っていけるのか?
本気で、そう考えているのだろうか?、と。
将来を見据えて、作戦や戦略を考えなければならない脳が、その段階で梗塞されていたように感じた。
もう、数年間にもわたる、ワンパターン筋肉マン作りは、卒業していい。
「いい練習試合になった」と、前脳梗塞患者は、やせ細った体と顔で、試合後に強気に言い放った。
まだ、それを許す協会。無駄ガネ、捨てガネ。
あと5年。たった5年。すぐ5年。間もなく5年。
知る人ぞ知るままの、ラグビー。淋しき、ラグビー。コアなファンしか知らない、ラグビー。世間に知られない、悪循環ラグビー・・・・・。
く、苦、暗いラグビーの将来・・・・・・・