【 2012・9・19 掲載 】
早稲田大学出身者が多いせいもあり、スポーツ新聞のラグビー担当記者やテレビ・ラジオは、あえて目をそむけて、無視して報じなかったけれど、今月、菅平で起こったこと、忘れ去ってもらっては困ります。
攻守にわたって惨敗した腹いせか、圧勝した帝京大学ラグビー部部員に放った「5流大学!」、夏合宿で真っ黒に日焼けしていた帝京同部員に向けての「黒んぼ!」
ブラック・ジョークにもならない、暴言だ。さらに、監督は早々に引き揚げたものの、コーチが試合後の帝京大学側の挨拶を拒否、に至っては・・・・・・
かねてから早稲田の部員に漂う思い上がりと勘違いは、見て、感じてきた。
かつて、国立競技場での大学決勝戦で関東学院大学に負けた直後、観客席に向かって感極まって泣く早稲田選手を撮ろうとしたカメラマンを、近くにいた早稲田の選手が、いきなり蹴り上げた。
カメラマンは突然のことに驚き、カメラが地面に転げ落ちたのを拾って、あわてて去った。私は、蹴った選手に、その理由を聞いた。
その選手は、平然と言った。
「だって、そりゃあ、”絵”にはなるだろうけどさあ~」
2人とも、当時レギュラーの、いわば”スター選手”だった。取材慣れ、取材ズレ、だから「絵」なんて単語が、当たり前のように、クチをついて出た。
その一件を当時、記事にした。
その2人は、今、トップリーグのとあるチームにいる。彼らの記事は、書きたくもない!
さて、題名に書いた、まさに本題に入る。君たちに教えたいことがある。
帝京大学の、とある試合が、秩父宮ラグビー場で行なわれた。むろん、公式戦だ。
試合前、秩父宮ラグビー場の入り口ゲート周辺から地下鉄・外苑前駅に向かって、若い、しかも、ガタイの良い集団20名ほどが、大きな袋を手に、ひたむきに歩道と舗道にあるゴミを拾っていた。もくもくと、無言で・・・・
ン? ひょっとして?と思い、そのなかの数人に声をかけた。
作業中に手を止めさせて悪いんだけれど、どこの人達なんですか?
「帝京です」 中の1人が、そう答えた。
ということは、帝京大学の、ひょっとしてラグビー部員?
「はい、まあ、そうです」
少し照れくさそうにそう答えると、また人一倍大きい身体を屈めて、もくもくと、ゴミ拾いを始めた。着ているシャツに、校名も、ラグビーの文字も、何もない。私服だったんだろう。
タバコの吸いがらもあるから、もくもくと、やってるんだね。そんなダジャレが、のどまで出かかったが、自分を恥じて、やめた。
試合は、激闘の末、帝京大学が勝った。
試合後の帝京大学の記者会見。ひとしきり、岩出監督と主将へ、勝因や、選手のトライへのチームプレイの質問と答えが、出尽くした。
頃合いを見計らって、試合前に見た光景について、岩出監督に聞いた。
白い歯をのぞかせて、ニコッと笑顔を見せて、こう答えた。
「そうでしたかあ。いや、僕も知りませんでした。そうですかあ・・・。おそらく、主体になってやっていたのは、4年生だと思います。レギュラーには残念ながらなれなかったけれど、頑張ってくれた者達ばかりです!」
「後輩を誘ってとかは、おそらくしてないはずです。ウチは、そんなところですから」
美辞麗句なんか、書くつもりも無い。私、そこの卒業生でもないし。
ただ、帝京大学ラグビー部の「気風」を、ちょつとだけ早稲田の部員とコーチ・監督に、感じて欲しかった。
ラガーマンである前に、人間であれ、と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
フト、思い出しました
10年以上過ぎても、変わっていないままの、気質を