≪ 2015・10・23 掲載記事 ≫
≪ 2019・11・6 追記再掲載 ≫
「2015 ラグビー ワールドカップ イングランド大会」に出場し、プール戦で敗退。エディー・ジョーンズヘッドコーチが、声高らかに言っていた「ベスト8」進出は出来ず。
いわば「公約違反」。
なのに、そのお詫びもキチンとせず、年俸4500万円という、日本よりちょいとだけ高額のカネに惹かれて、南アフリカのチームのヘッドコーチに、さっさと3年契約で就任しちゃって、行っちゃったあ! 最後の最後まで、節操のカケラも無い、汚いチビオッサンだったなあ・・・・・・。
しかし、控えも含めた31人の選手は、日本ラグビー史上最強の面々だった。だから、最終アメリカ戦後の、集合写真(下)での喜びようは、充分に理解出来た。
とはいえ、3勝1敗。帰国スケジュールは、私の予想通りだったが、全敗するのでは?という私の事前予想を裏切ってくれたのは、ラグビーファンの1人としては、少し微妙に嬉しい。
10月13日。成田空港に出迎えたヒト、あくまで「報道によれば」500人。ま、何でもかんでも、大体多めに言うのが、報道の常識みたいなもんなんで、実際には400人と思った方が正しい。
それにしても、その人数。ラグビー界としては、すんごいこと。
で、その日の夕方、5時開始だったのが、15分遅れで始まった「帰国記者会見」。会場は、品川プリンスホテル。
なんと、集まったのが、60社、309人!
こんな多くの取材陣は、おそらく協会設立始まって以来のはず。
いつもは、ラグビー協会の2階の1室で開かれる記者会見。そこではいつも、10~15人。カメラマン入れてだ。20人も来たもんなら、部屋に、補助イスが溢れ返るほど。
むろん、VTRカメラなど、テレビ局は来ない。
時々は、増える。それでも、30人前後。テレビ局のVTRカメラ1台ぐらい。
一番多かったのが、ホテルの大会場で開かれた「ベスト・フィフティーン(15人)」選出発表のイベント。
そこには、まったく見かけたこともない記者の顔、顔、顔。テレビ局のカメラも、全局ズラリと横並び。数えると、総計200人はいた。
ところが、日本選手権の発表になると、60人前後。試合がある日の秩父宮ラグビー場の記者席には、いつもは来ないマスコミが取材申請して、入れ代わり立ち代わり来るもんで、いつも満席。
おおっ! と想う。だが、来てはいるが、何故か殆んど報道はされないし、されても記事短く、且つ、小さく、テレビ放送されても、数分。
サッカーはJ2の試合結果まで、テロップで流され、並べられるが、ラグビーの日本最高峰「トップリーグ」は、試合結果すら、テレビ・ラジオで報じられないまま。
それが、今回。最大強豪優勝候補・南アフリカに大接戦の末、日本代表が予想を裏切る番狂わせの勝利! その一報が日本に届いた直後から、全マスコミの目が、見方が、コロッと変わった。
ニュースでは、トップ扱い。連日、テレビでは、五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)の、プレース・キックまでの両手組み合わせスタイルが注目され、話題となっていった。
ラグビーという、格闘技スポーツの面白さ、醍醐味とは、まったく別のところでのワイドショー的とらえ方人気。それが、日に日にテレビ局だけで盛り上がっていってることに、違和感を感じていた。
冷静に分析すると、「日本代表人気」ではなく、「五郎丸歩 キック前のポーズ人気」という他ない。
ファンは、まったく増えていない。
ここにきて、皇后美智子さんが、初めて夫と秩父宮ラグビー場で、「ヤマハ発動機ジュビロ」が出場したラグビーのトップリーグの試合を観戦した際、協会の人間に「あの五郎丸と言う選手の方、本名ですの?」と聞かれたことが、今また記事化されるほど。
しまいには、北九州にある「五郎丸駅」が、ネット上で話題になり、演歌界では「羽ばたけ東大阪 ラグビー音頭」なる曲まで発売されている始末。
その流れで、ラグビーをやりたいという、児童が増えたなどという報道もあったが、調べてみるとウソ。
ラグビーが、他のスポーツと違って、ケガが付きものと言う側面が、児童の母親たちに嫌われている事実は、依然として変わらぬまま。
それは、毎年実施されている「タグ・ラグビー全国大会」で表面化する。出場選手は、すべて小学生の男の子と女の子。その混合チーム。
おそらく、次回も参加チームと選手数。減りはしても、伸びはしない。
以前、指導する全国各地の監督たちに軒並み聴きまくったが、ラグビー経験ないヒトが、殆んど。見よう見まねの指導してきた、教師ばかり。
ケガでもさせたもんなら、モンスター・ママたちが、いっせいに噛みつき、吠えるため、激しい練習はさせられない。
「管理責任」を問われることを、一番嫌がるシロート指導者の「教師」という性癖。
ケガをさせないように、楽しく、楽しくが、モットー。もっとも、そんななかから、鈴木陽子など、何人か、日本代表女子選手が生まれてきたのだから、やり続けることに意義があると言って良い。スポンサーが、サントリー。毎年、バックアップしてくれている。
そうそう、平尾誠二の関連取材の中で、真摯に受けてくれた「大正製薬」が、チームに5000万円ものボーナスを提供したとのこと。
上記掲載のほぼ全員に、1人当たり、100万円。選手に成り変わって、御礼を言いたい。
さて、記者会見。
異例の、生中継までされた。見たヒトも、いる・・・かもしれない。
マイクを回された選手全員が、クチにした、2度と経験したくない想い出が、「ハード ワーク」。
具体的に、ソレがナニを指すのか、質問も出なかったのが、いささか不思議だったが、早朝、夜も明けきらぬ前の午前4時半開始の「ウエイト リフティング」を指していたのは、言うまでもない。
この不定期連載<リアル ラグビー ルポ>で、何度か指摘していたので、記憶している方もいるだろう。
時々、午前6時開始に変更されたが、それにしても、カラダをいじめ抜く異常な練習3部制。今年も春から丸6か月、ソレが当たり前のように早朝の夜明け前に、続いた。
おかげで、選手全員、上半身は、筋肉隆々の逆三角形体形。ぽっちゃり、ずんぐりは、エディーだけだった。
「時差ボケ克服に対応し、いつ試合開始になっても身体が反応して、フルに動けるようにと言う目的が達成されるようにと言う対策だ」と、当時のお馬鹿なGMが、私に語って下さったが、やっぱり、選手は嫌がっていたんだ、不満抱いていたんだ。
そりゃそうだろうなあ・・・・・・・。
早朝、昼、夕方。3食のようなもん。締め付け管理スケジュール。休憩こそ、少しあるものの、外出禁止・・・・・。
「もし、エディーが、南アフリカに行っても、同じことを選手にやらせたなら、翌日、クビになっているでしょう」と、会見でホンネを言ってのけた選手もいたほどだ。
全員の上半身は、筋肉ムキムキ。まるで、ボディビルダーのような体に仕上がっている。
さて、その日。会場に入って来るなり、記者団からの拍手で迎えられた全選手の、想いはひとつ。
この歴史的な3勝の持つ熱気が、今後も引き続いて2019年W杯開幕まで、ラグビー観客動員数に、どうにかしてつながって欲しいということ。
来年は、「リオデジャネイロ・オリンピック」に、おそらく男女ともに、7人制チームが出場・・・・・出来るはず。今の時点では、まったく世間様に知られていないが・・・。
「さくらセブンズ」
ソレ、なんのこと?
みんな、そう言うはず。実は、日本の女子7人制チームの、愛称。知らんでしょ?
<次に、世界を驚かすのは、私たちだ>
おおっ! 初めて目にしたときは、良いキャッチフレーズだと、思った。
だが、よく見ると、メンバーからケガでか、ポスター撮影時から、とっくに脱落した者さえいる。
加えて、練習、「非公開」。毎度毎度の「非公開」。マスコミにでさえだ。
負けが込んでも、異常にプライドだけは高く、豆タンクとスキンヘッド坊主コンビの監督・コーチには、一問一答だけの制限付き。世間には、まったく知名度無いけれど、すんごく、負けん気とプライドと意識だけは偉い人々なのでありま~す。
世間様に知られない、知らせたくない、見せたくない姿勢を続けることを、一切「非後悔」していない。
今後も、変わりそうも無い、かたくなで、おかしな姿勢。
男子も、非公開があるうえ、練習場所がファンがとても行きにくい場所。せっかく、数少ないファンが付いても、突き放す協会広報の姿勢・方針。
人気作らず、仕掛けず、逆行ばかり仕掛けている日本ラグビー協会・広報の、後方支援。
こんな精神で、いくらキャッチフレーズとポスターに、多少ゼニかけてもねえ・・・・・。
かくいう、この「15人制 男子日本代表」。
先の6か月合宿も、宮崎県の宿泊していたホテルに隣接されていたグラウンドで缶詰にして、行なわれていた。
「とても良いんですよ、環境が。練習に集中出来るし」と、協会やGMは、言う。
初めて、ソレが発表された時、12人ほどしか来ていなかった記者たちから、「え~っ!!」という、驚きの声が上がった。
いくら環境が整っていたにせよ、招致されていたにせよ、東京から、あまりの遠距離。おまけに、「非公開」目に付くスケジュール。
それでなくとも、折りしも新聞業界が、多くの人に読まれるインターネット記事の影響で、日々実売部数や、定期購読者数が激減。
マスコミといえども、儲け主眼の企業。
取材費を、削減。自腹に近い措置が講じられ、さらに「社員」から、「契約社員」にと改めて記者と再契約の流れの中での、発表だったから、たまらない。
且つ、定期購読者の比率が、老人が多いということが背景にあり、活字が大きくなった。その結果、それまでの3分の2の文字量に。
なもんで、記者人数削減策が大手を振って強行敢行。取材力と、文章力ある記者だけを軸に、再雇用の流れになっていった。
バッサリとクビを斬られ、フリーと同様、出来高制になり、まだまだ残る自宅のローンや、子供の教育費の支払いに苦慮しているラグビー番記者も多数いる。
さらに、ラグビーのような不人気スポーツは、他のスポーツとの兼務取材が常識のマスコミ界。
囲み取材に転じたとたん、「宮崎じゃあ、来るなって言ってるようなものじゃないですか」「自腹切ってまでは、行けないよなあ・・・」「それでなくとも、やっと行けても、練習見せない時間多いしさあ・・・・」という本音が、記者たちから続出したのは、言うまでもない。
結果、合宿記事・・・・・・無いに等しい状態に。
それだけではない。
せっかく詰め掛けた地元ファンに、練習を見せて公開したのが、皆無に近い。
協会の「15人制 男子日本代表 宮崎合宿レポート」を検索してみると、たった1度あったのが報じられただけ。
さらには、レポート文には、カタカナ英語が頻発。分かりやすく、日本語で表記しても良いものまで、かたくなにカタカタカタカナエイゴ。
せっかく観に来た地元のヒトが読んだら、ちんぷんかんぷん。
それでなくとも、ラグビー用語のむずかしさは有名なうえ、ルールが毎年、少しずつ変わっているのに。
当の選手でさえ、実は覚えきれていないのが実情だ。
帰国会見の席上。写真上の中央下に座っていた、故・渥美清以上に四角い顔の畠山健介(サントリー・サンゴリアス所属・30歳)が、受け狙いも狙って、こう爆弾発言を。
「ラグビーのルールが、非常に分かりにくいってよく言われるんですが、実は、やっているボクも、、詳しく分かってません!」
「これから、ラグビーと言うスポーツに興味を持っていただいて、試合を観に来てくださる方には、そんなルールなんて気にせんと、カラダとカラダが、目の前でぶつかる音を聞いてくださって、その生身の迫力を楽しんでいただければと思います!」
また、その夜。フジテレビの「すぽると」に、他の日本代表メンバーと一緒に並んで出演した際も、スポーツに興味を持つヒトが多く観るはずの番組視聴者に対して、こう笑いをまぶして、畠山健介はナマ放送ということを利用して力説した。
「どうしても、三上(正貴・東芝ブレイブルーパス所属・27歳)と、堀江(翔太・パナソニック ワイルドナイツ所属・29歳)が、(キャラクターとが風貌が)かぶって、間違われたりすることが多い畠山健介です」
「僕たちが(今後)出来るのは、まず、しっかり(11月13日に開幕するトップリーグの今シーズンの)試合で、良いパフォーマンスをして、勝利するということ」
「で、ラグビーのルールというのは、一杯あり過ぎてむずかしいな、とか、覚えきれないな、とか、想うと思うんですけど、そ~ゆ~こと考えずに試合を観に来てもらって欲しいなと」
「むしろ、あんまりルールを覚えてしまうと、監督とか、コーチ目線になって、あいつはダメだなあとか」
メンバーや、スタジオから思わず笑い声が出た。
「(ルールを)知らない方のほうが、純粋にラグビーのすごさとか、実際に(選手と対戦選手が)ぶつかる音とか、そ~ゆ~ことを楽しんで、観てもらいたい。そのことは、トップリーグとか、観にきてもらえば分かると思います」
まさに、その通り。
全員の胸の中にしまってあった想いを代表して、畠山健介が言い切ったと感じた。
この畠山は、五郎丸歩(記者会見の写真右側)と、早稲田大学ラグビー部で同期だった選手。
華やかで目立ちやすい、プレースキッカーと違い、ひたすらスクラムを組む、プロップというポジション。
まさに、縁の下の力持ちを地で行く道を歩んできた。彼もまた、五郎丸と同様、早稲田村ラグビー部人気を勘違いせず、まったくおごる事無く今まで歩み続けてきた選手の1人だ。
選手は、ラグビーがにわかに注目された今、何とかしたい、このゆがんだ”厳状”を少しずつでも打破して、今後につなげたい、と思っているようだ。
2019年には、「ラグビー ワールドカップ 日本大会」が、開催される。そこに、どうやってこの降って湧いたような「にわか人気?」を、つなぎ続けられるか!?
ところが・・・・・・。
ワールドカップから「15人制 男子日本代表」が帰国した今、トップリーグ開幕前だが、東西の大学ラグビーリーグが、毎週末、試合が行われていた。
その観客数たるや・・・・・・・・・・。
(Jスポーツ 試合中継画面より)
上の試合。無人に見えるかも知れないが、両左右のゴールポストの後ろの席は、無人だが、バックスタンドに観客はいる。確かにいる。
だが、「日本体育大学 対 明治大学」 3795人。この数字には、ラグビー関係者に配布され、大学生・高校生、中学生のラグビー部や、クラブチームでラグビーをやっている若者たちへの招待券客も多く含まれている。
ちなみに、この会場。秩父宮ラグビー場は、最大収容人数、2万4000人入る。
招待客はメインスタンドにいて、バックスタンドよりは、そこそこ入っているが、この淋しさ。
同じ秩父宮では、「帝京大学 対 慶應大学」(写真左下)も開催されて、6177人。
昨年は、同じカードで3800人だったので、日本代表効果にも見えなくも無い。だが、大学リーグ連覇確実な帝京の実力を堪能し、確認しに来た客が増えたと、思えた。
というのも、ならば伸びてもいいはずの関西の大学リーグの観客数が、まったく伸びていないからだ。
「京都産業大学 対 関西大学」、3191人。
「立命館大学 対 同志社大学」、4083人。
「摂南大学 対 天理大学」、1477人。
「近畿大学 対 関西学院大学」、2227人。
試合会場は、東大阪花園ラグビー場や、宝ヶ池ラグビー場だった。
さらに、平尾誠二の記事で書いた、「トップリーグ プレマッチ」の、3位決定戦と、決勝の試合。
日本代表が、イングランドで躍進していた頃に戦っていた。
パナソニックワイルドナイツが、チームの主力がワールドカップに獲られているため、参加を辞退したとはいえ、3位決定戦の2試合が
「サントリーサンゴリアス 対 東芝ブレイブルーパス」が、2738人。
「神戸製鋼コベルコスティラーズ 対 トヨタ自動車ヴェルブリッツ」が、3721人。
そして、決勝が、「神戸製鋼コベルコスティラーズ 対 サントリーサンゴリアス」だったが、4348人。
書いたすべての試合、記者席に人はまばらだった・・・・・。
サッカーのJ2の試合観客数より少ない。
ちなみに、女子サッカーの「なでしこリーグ」。ラグビーW杯開幕中の9月27日(日)、INAC神戸レオネッサ 対 浦和レッドダイヤモンズ レディースの試合。
観客数、1万1865人だった。
これが、「厳実」だ。
少なくとも、畠山健介の希望と願いは、現時点では、まったく観客とマスコミと、協会には届いていない。
昨夜も、五郎丸歩だけが呼ばれ、深夜にテレビ生出演した。
懐疑的な「日本代表人気」というより、「五郎丸歩、話題人気」と言い換えたほうが、正しいと言っても良い。
彼が所属しているヤマハ発動機ジュビロにとっての開幕戦試合。
11月14日の対「トヨタ自動車ヴェルブリッツ」戦は、おそらくマスコミが大挙して押しかけ、お祭り騒ぎの如く五郎丸をクローズアップして報じまくり、あの姿見たさに、初観戦も含めた客は、おそらく1万人を超えるであろう。
次戦、11月21日の、「豊田自動織機シャトルズ」戦。 11月28日の「NECグリーンロケッツ」戦まで、どのくらい観客の関心が維持出来るか? にわか人気が、続くか?
しかし、他のチームは?・・・・・・・
先の入場者数を、所管する「関東ラグビー協会」に尋ねた際、こうも聞いた。
---入場者数は、日本代表人気というか、五郎丸人気効果で、少しでも増えておりますか?
「さあ・・・・分かりません。微量に増えているような気もしますが、まったく、とりたてて調べたり、統計を取っておりませんので・・・・」
---いわば、このチャンスを生かして、何か対策、作戦とか協議、会議を開くなどはしておりますか?
「いや。まったくしておりません」
---それは、日本ラグビー協会も同じですかね?
「おそらく、そうかと思います」
---現時点で、行なう予定は?
「まったく予定されておりません」
あ~あ・・・・・・・
この降って湧いた最大チャンスを、初めて自力で生かそうという気運は無いのか・・・・・
絶好機の今、リオ五輪出場枠に向けての7人制ラグビーの予選が、来月から始まる。
だが、なんと10月25日からの「男子7人制ラグビー日本代表 直前合宿」地は、九州の鹿児島市の鴨池公園だという。
以前よりは、「非公開」練習が少なくはなったものの、あれほど宮崎に行けなかった、行かなかった担当記者たちが、行くであろうか・・・・・・・・・。
またも、にわか人気に応えない、応えようとする姿勢が見えないラグビー協会。「非後悔」や「悲後悔」すらしない。
チャンスが訪れたのに、まったく活かそうとしなかったことは、実はかつて数回あった。
ラグビーファンでなくとも記憶の片隅にある「神戸製鋼 対 新日鉄釜石」の連覇を賭けた闘いの時期。秩父宮ラグビー場が、満員の客で埋め尽くされた。
当時の座席最大収容数、1万5000。
いまだに、平尾誠二や、大八木淳史(あつし。共に、元・神戸製鋼選手)や、松尾雄治(元・新日鉄釜石選手)が、知名度が薄れることなく、本来の仕事の他に、タレント活動が成り立っている。
そのことを考えるだけで、3名を知らない人でも、いかに人気があったか、気付くだろう。
そして、「早明戦」が、当時、最大収容人数5万6000人を誇った国立競技場で開催されるのに、入場希望者があまりに多く、抽選になった年。
いずれも、スポーツ新聞の一面と裏面を使い切って報じられた。
そのとき協会は、担当広報は、何一つそれを活かす対策を講じようとしないままだった。
だから、地に落ちた。
これらの内部証言は、協会およびそこで仕事をし続けてきた人たちから、いくつも聴き続けてきた。
このざまで、2019年を無為に迎えようとする無能無策ぶり。2度あることは、3度ある、か・・・・・・・・。
所属チームを抱える大企業もまた問題だ。
チーム名に、地域の名前を付けることを嫌い、あくまで社員の士気高揚のためだけのラグビー部であり、それ以上の地域性や、スターとして推したてて、企業名を売り、且つ、観客を増やそうとはまったく首脳部は考えていないことも、過去の取材で何度も痛感した。
その結果、例えば「府中ダービー」、「九州ダービー」と銘打たれていても、試合はまったく盛り上がらず。少ない観客の大多数は、双方の企業の社員だった。
だから、日本代表に選出されたなかの当該社員を海外に行かせる「スーパーリーグ」に参加させることに、渋り続けた。
企業が主に運営をしながらも、地域ぐるみの気運やムードを盛り上げているJリーグとの大きな開きは、今後もさらに開き続ける・・・・・・・・。
取材を終えて、深いため息しか出てこないのが、正直、辛い。
これが、杞憂(きゆう)に終われば、それに越したことは無いのだが・・・・・・・・・。