いつも、どちらかと言えば、口数が少なく、大口を叩かない柴田明雄が、コメントを求めた際、珍しくキッパリと言ってのけた。
「2階級制覇、狙ってますから! この試合にキッチリと勝って!」
おおっ! 気持ちが、ハンパじゃ無く、あ・つ・い!
この試合とは、ゴールデン・ウイーク真っ只中の5月4日(土)、後楽園ホールで行われる、淵上誠(ふちがみ・まこと。八王子中屋ジム)とのタイトルマッチを指す。
淵上は、現・東洋太平洋(OPBF)ミドル級王者。そして、対する柴田は、体重が、ランク1階級少ない、2・7キログラムの差がある、現・日本スーパー・ウエルター級王者。
といっても、それは試合前日の計量の時に、その決められた体重になっていれば良いわけであって、普段は極端に言えば、30キロ増の100キロでもかまわない。
おいおい、ムチャなこと言うなよ! と言われそうだが、実際普段、いろんな階級で、試合1か月前に15キロオーバー程度の選手はザラにいる。
中には、こんな実例もある。若かりし頃、ある階級でデビュー。で、惨敗。自信を失い、サンドバックとミットにではなく、仕事に打ち込み、それに関わる国家資格の免許を取るため、猛勉強。
ジムには、たまに気分転換と、健康維持のためだけに顔を出していた。
月日は流れ、プロボクサーとしての試合出場制限の、37歳の誕生日に近づいてきた。すでに、男はめでたく免許も取得して開業し、経営者に。で、やり残した! とばかりに、一念発起! ラスト・ファイトをジムに願い出た。
なんと、そのとき、35キロもの規定オーバー! でも、やったよ、その男。職業は、医師だもん。超減量作戦が功を奏し、後楽園ホールのリングに立った。立ちはしたが、もう、足元、最初から、ふ~らふら・・・・・・。
で、早々に、レフェリーストップ負け。男の通算戦績、2戦して0勝2敗。だが、試合後の控え室では、苦笑いを浮かべながらも、満足そうな表情だった。
ボクシングとは、かくも魅力あるものなのだろう。
ハナシが、ちょいと横道にそれた。
2・7キロ差は、ほぼ無いに等しい。加えて、柴田の担当トレーナーである石原雄太によれば、「以前から、お互いに(試合を)やりたいねという話しはあったんですよ」ともいう。
体重差でさらに言うならば、柴田は時に応じて、内山高志とガチのスパーリングを乞われて行なう。
内山は、普段から自己節制しており、いつ試合に臨んでも良い体重と身体に仕上げている。ご存じ、WBAの世界スーパー・フェザー級の王者。
その体重差、実に11キロ。でも、「いつも、内山さんには、やられっ放しです」と、苦笑いしながら柴田が言うように、内山が打ち勝っている。
いくら、柴田がお得意の足を使って、”蝶のように舞い、蜂のように刺す”華麗な動きを見せても、たちまち内山が自分の距離に詰め、腕をブンブン! と、しならせ、柴田の身体に左右のパンチを、余すところなく、ぶち込む! ぶっ倒す勢いで。それも、ボンボン、ボンボン。容赦なく!
そんな時、思う。ああ、あのパンチ力が、柴田にあればなあ~、と。
いや、ありますよ、柴田には。もちろん人並み以上に!(写真左下の中央。赤いヘッドギアをして、アッパー気味の右ストレートを相手の顔面に喰い込ませている)。
でも、人並みはずれて、ではない。けた外れでも、無い。それは、柴田自身、とても素直な人で、苦笑いしながら認めるところだ。
けた外れて有れば、恐妻家のチャーリー・太田にも、勝っていたはず。
そこを、重量級にしては、まれな、巧みなフットワークと、自分の距離を保ちながらのヒット&ウェイで、確実にポイントを稼ぐ戦法を、築きあげた。
その流れを作って置いて、ここぞ! という時に、集中打を浴びせ、時には相手をダウンさせ、レフェリー・ストップを呼び込む。
最初の王者になった時の、野中悠樹戦などは、その典型だった。見事な、きめ細かい作戦。判定ではあったが、戦い終えた瞬間、ベルト、もらったな、と確信したほど。
前回の細川貴之戦は、もっと早く試合を決められる。そう思った。というのも、細川の試合は、CSのチャンネルで全戦観ていた。相手の大半は、日本に倒れに来た、アジアの峠を越えた、かつては強かった、格下ボクサー。
それで、ランキングをこまめに上げてきた細川が相手だけに、もしも!? は、あり得ないと思っていたので、仕事場でのテレビ観戦。
予想外に、細川が意地を見せたのには、少々驚かされたが、結果は、もちろん、柴田が何度もダウンを奪った末に、8ラウンドにレフェリーストップを呼び込んで勝ち、2度目の防衛成功。
これで、通算戦績、20勝(9TKO&KO)7敗1引き分けとなった。
今回、勝てば、一気に2階級制覇という好条件の試合に向けて、仕上がりは、極めて順調のようだ。
何より、右から左への強烈なパンチのコンビネーションが、目を見張らせた。 スパーリングでも、先の言葉を裏付けるかのように、右のアッパー気味のストレートが、バーン!と、音を立てて相手の顔面を打ちぬいた!(写真・上)直後、すぐ左が飛んだ!
そのコンビネーションには、さらに磨きがかかっていた。右から素早く、左。左を見せといて、右!
上下の打ち分けのタイミングも、良い。んでもって、左右。足をからませ、さまざまなバージョン、パターンを仕上げつつあった。
スパーリングの相手は、淵上と同じミドル級。
だが、デビュー戦は5年も前ながら「さぼっていて」(当人)、こなした試合数も少なく、やっと決まった4月23日の試合が、相手が棄権して中止。テンション下がり気味の金澤圭介(写真上。右側)。
そんな背景もあって、もう格好の、試し打ちっ放し台。5ラウンドやって、その後は、石原の構えるミットめがけての、作戦確認打ちを続け、頭と体に徹底的に刷り込む。
その最中、石原(写真上。右側)が何か言った。
「はい! 分かりました」と、柴田(写真上。左側)。
ホントに、このひと、素直。生真面目。ひたむき。
それは、1度目のベルトを巻く前から、知っていたし、感じていた。ジムワークの時だけでは、ない。
彼は、当時カレーショップで働いていた。持ち場は厨房。そのため、姿は見えないが、真面目に働いているようだった。聞いてみると、同僚の評判も良かった。
それは、野中を破って日本王者になってからも、何ら変わることはなかった。客に、とりたててボクシングファンは、いないに等しい。駅構内にある、カレーショップということもあり、短い時間でカレーライスを腹に詰め込むと、あわただしく去る者ばかり。
試合が決まっても、他のボクサー同様、「チケット、買って戴けますか? 」などとは、クチが裂けても言わない、言えない。「仕事」は、仕事。「プロ」と言えども、ボクシングは、ボクシング。
他の店へ、移ってからも、その姿勢は、何一つ変わっていない。
そんな柴田には、無名の頃から支援と、経済的サポートしてくれ続けている会社が、ある。彼が将来性豊かなボクサーという以上に、その人柄を見込んで、という比重の方が、大きいように、そこの社長と話して感じる。
だから、支援している世界王者が、天狗になった時は、呼んで、噛んで含める様にいさめた。世界王者になった途端に、わ~っと寄ってくる、にわか支援者が、たにまち気分で、王者を我も我もと宴席に引き回す騒動には、眉をひそめる。
ひいきの引き倒し。これが、王者の心と将来を、限りなく落としてゆくことを知っているからだ。
そんななか、その支援者が明かしてくれたエピソードがある。
ある日、支援者が柴田を食事に誘い、こう切り出した。
「柴田君、今のアルバイトを辞めて、ボクシングに専念する気はない? その方が、良ければ、そうしても良いんだけれど。アルバイトで稼いでいる分くらいは、ウチで出せなくはないから」
事実、先述の世界王者は、そうしている。
だが、柴田は、頭を下げて、こう答えたという。
「お申し出、ありがとうございます。でも、ボクは、今のままで結構です。確かに忙しくて、正直、キツイなと思う時もありますが、これはこれで、毎日の生活のメリハリと、リズムみたいなものも出来てますので。すいません、せっかくのお申し出をお断りするみたいで・・・・」
支援者は、そう話してくれた後、笑顔を浮かべ、私に言った。
「ホントにいい子よ、柴田君て・・・・」
そんな柴田は、すでに31歳。その性格ゆえか、ナンパや、自分から女性を口説くことは苦手なようだが、そんなことを知らずとも、彼の試合を見続けている、女性ボクシングファンはいた。
ある日のこと、同僚の選手の試合を見終えた柴田のもとへ、ファンだと言う若く可愛い女性が、自分から声をかけ、積極的にアタック!
柴田は、いささか気押されたまま。しかし、数分後、笑顔で2人は連れだって、電車に乗り込み、そのまま消えた・・・・。
その後、その娘と、どうなったのか? は、あえて聴いていない。
さてさて、”追い込み”前の、激しい練習は、続く。
柴田は、言う。
「相手の淵上さんの試合は、ユーチューブでも、見ています」と。
プロボクサーにとって、インターネット上で、手軽に見られる試合映像は、例え1部にせよ、近年、とても試合戦略上、欠かすことのできないものになった。海外で行われた試合すら、検索次第で、たどり着くことが出来るという。
生中継式で見られるユーストリームといい、あらゆるプロスポーツのなかで、1番、時代は変わったと痛感させられるのが、ボクシングとなった。
もっとも、かなり怪しいサイトも存在するので、気をつけねばならないが。
淵上の戦い方は、ボクシングファンはすでにご存じだろうが、とてもクセが目立ち、パターンもそう多くない。こと1発のパンチ力だけを取り上げるならば、淵上の方が上だろう。しかし、プロボクシングは、それだけで勝てるほど、単純な格闘技でもなければ、スポーツでもない。
それを打ち崩し、勝てる戦略を、驚くほど緻密に組み立てていた。
ミット打ちの際も、「こう相手は来るだろ? で、こう打った後、こう・・・」と、石原。
「ハイ」と、答えて、反復練習を繰り返す、柴田。
石原の、1つ1つのモーションを見つめていると、取材のために改めて見た淵上の動きに、見事に重なり、ダブる。
「これは書かないで欲しいんだけど」と言いながら、シロートの私にも分かる”秘策”の一端を、石原は、こっそりと教えてくれた。
なるほど、う~ん、なるほどと、納得。
むろん、事前に組み立てた作戦が、その通りにドンピシャはまるほど、これまたプロは、甘い世界ではないことは、100も、200も承知だが。
淵上の戦いを、振り返ってみる。
昨年5月12日、急に「試合をしませんか?」と、WBA世界ミドル級の無敵王者 ゲンナジー・ゴロフキン側から申し出があり、試合会場であるウクライナへ向かうまで、準備と調整期間も少なく、慌ただしかった事情があったとはいえ、3ラウンド、無惨、無能対策のTKO負け。
当初、その1報を知った時には、真っ向勝負を挑んで、いさぎよく散った。そう思い込んでいた。ところが、試合の映像を見て、唖然とした。
剛腕強打で鳴る王者を前にして、両腕をほぼダラリと下げ、あえてか、誘い込み戦法だったのか!? ノーガードで、足も使わず。さあ、どうぞ、好きなように打ってくんなまし、ってカンジ。
そうですか、そりゃ、やらしてもらいまっさ! とばかりに、ゴロフキン、打ちっ放し!
ゴロフキンの強さは、今年、石田順裕が惨敗したのを見ても、揺るぎは全く無いことが、改めて証明された。
この試合、淵上が出したのは、いつものパターンの、相手との距離を計り、自分のリズムを作って、踏み込んで打ち込むための、右ジャブを、ちょんちょんと、だけ・・・
そりゃもう、結果は子供でも透けて見えてくるわけで・・・・・
どこかで、負けても、淵上の将来のボクサー人生にとって得るモノがあれば良いと思っていただけに、指先に怒りを乗せて、打った。
「もう、引退した方が良い」と。
そう表示したものの、這い上がって来るだろうなと思っていた。知っているのは、試合後の囲み取材の際の、誠実そのものの対応と、言葉。
判定で完勝や、KO勝ちしても、必要以上に誇らず、相手を讃え、反省も口にする。しかし、決して饒舌ではない。
じゃがいもの様な顔立ち。しかし、九州は薩摩出身。同郷の演歌歌手の歌で、リング・インしたりする。
生真面目さは、柴田と双璧。それゆえか、正規社員として勤めている企業の工場の同僚たちが、応援に駆け付ける光景は、いつものことだし、有給休暇を取って行った先のウクライナの試合では、取引のある企業の駐在員や、日本人会の有志が、会場へと応援に駆け付けたほど。
これは、淵上の人徳の、なせる結果だろう。私生活では、柴田より2歳若い29歳だが、すでに2年前に、トライアスロンの選手をしていたという翔子夫人と、いち早く入籍・結婚。
控室では、それらしい女性を見かけたことはないので、出しゃばらない、控えめな性格の人なのだろう。
惨敗の心の傷もいえた、5か月後の、昨年10月12日、職場のある地元・東京都日野市に、フィリピンから東洋・太平洋(OPBF)同級1位のマーロン・アルタという選手を呼び、王座決定戦を行なったのだが、これが、思わぬ展開と結果になった。
ちなみに、この時、淵上は、2位のランク。彼としては、大応援団の手前もあり、絶対に負けは、許されない「再起戦」でもあった。
少し、詳細にラウンドを、振り返る。まだ、この先を読まなきゃならないのかよう?とのけぞる活字嫌いの人は、柴田も見たユーチューブで、この試合をまだ見られると思うので、そちらをど~ぞ。
<1ラウンド> 相変わらず、淵上のガードは、無いに等しい。この日も、右ジャブを、ちゃんちょんと突き、相手との距離を計りながら、上下にジャブを放つ。
左腕は、だらりと下げたまま。ひょっとして、痛めているのか?
<2ラウンド> 淵上、右腕でジャブを放つが、それでとても倒せるシロモノじゃない。左腕は、ぶらんぶらん。下げたまま。
右ジャブだけで倒せるという自信か、思い上がりか? 相手のアルタも、どんなパンチがあるた? 消極的なのが、気に掛かる。ひょつとして、1位なのに、本気で王座、取りに来ていないのか? アウエーというのに・・・・
淵上、やっと左の上下を放つ。しかし、そこからどう展開しょうというのか? 見えてこない。
少し打たれると、左目の上を切る。これは、淵上にとって慢性的なもの。一方の柴田も、左右切れやすくなっており、ひょつとすると、5月4日、途中で負傷判定という可能性も、捨てきれない。
淵上、やっと相手の動きを見ながら、足を使って回る。
<3ラウンド> 右ジャブ、新展開。下から上へすくい上げる。足使って回りつつ、右のフック、ぶん回すが、相変わらず、ラフ。
拳の先が、相手のどこの部分にぶち当てるのか、見届けていない、見定めていない。だから、かわされ易い。ヒット率も、低い。
運良く当たったら、儲けモン。そ~ゆ~類いの、ぶんぶん、ぶん回し。これでは、永遠に、ゴロフキンには、勝てない。
まだ、左のパンチは出さない。ん??????
<4ラウンド> かつて見せた淵上の強打は、影をひそめたまま。それどころか、スッ!と出したアルタのストレートを正面からまともに受け、淵上、顔面をのけぞらせる。
かくいうアルタだって、明確なクリーンヒットは、これくらい。そこから、連打で淵上を追い詰めない。相手のガードは、甘いのに。またまた、?????
淵上、やっと左のパンチをこのラウンドから出し始めたが、チカラ、パワーはひ弱く、さらに拳の行く先を見て打ち込んでない。ラフ、またラフ。
拳、ケガしているのではなかろうか? という危惧は、消えない。
加えて、打ち込む時の、体勢とバランスが、地元という気負いからか、遮二無二のため、とても悪い。勢い、ガードはさらに、がら空きとなる。
巧打者なら、ありがとさん、とばかりにアッパーなどで淵上の身体を起こしてからの展開が、極めて容易となりそうだ。
リング上では、4ラウンドまでの採点が読み上げられた。
39-37で、アルタ。とたんに、客席の応援団が、どよめく。
次いで、39-38.また、アルタ。さすがに、今度は、シーン・・・
そして、3人目は、39-37で、淵上。
トータル、1-2で、アルタのリード。妥当だ。
<5ラウンド> 淵上、左のパンチをアルタのボディに・・・・届かせるだけ。打つたびに、身体が泳ぐ。調整も、上手くいってなかったのか? とさえ、邪推を巡らす。
左のパンチの空振りが目立つ。アルタが、見切ってうまく避けてる部分は、少ない。
<6ラウンド> やっと、淵上のパンチが当たり出す。
しかし、かつて見られたシャープさや、重さは、無い! ワンツーは、ヒットしても、スリーがラフ。
アルタへのダメージは、まだまだ少ない。盛り返し、挽回し始めて、淵上、後半勝負かも。
<7ラウンド> えっ!!棄権!???????.
アルタが、コーナーに座ったまま、立ち上がらず。そして、これ以上試合を続行する気無しということで、棄権の申し出。
はあ? 出来レースじゃあるまいに・・・・・・
これで、王座は、淵上に転がり込んだカタチ。儲けたあ。
取り戻したというより、もらったベルトと言った方が、正しい気がする。良くて、淵上サイドに立って見ても、ドロー(引き分け)。
2試合続けて厳しい見方を書いたが、意図したモノは、何もない。この試合、マスコミもさほど注目しておらず、淵上の左拳のことは、どこも触れていない。
こちらも、彼の所属する八王子中屋ジムに、そのことについて、問い合わせてもいない。会長に聞く機会はあったが、別の選手について問い質した。
あれから、半年半。淵上は、どんな仕上がりで、リングに上がって来るだろうか?
聞けば、積極的に出稽古を繰り返し、スパーリングで腕を上げているという。
ここまでの通算戦績、20勝(11KO&TKO)7敗。
柴田と似通った戦績ながら、戦法はかなり違う。似ているのは、生真面目さ。
まさに、雌雄を決するこの1戦。見逃して欲しくない。
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北海道では、時ならぬ雪が降ったとはいえ、東京には、うららかな陽射しが降り注いでいた。
明日、運命の拳を合わせる2人にも・・・・。
5月3日の午後。柴田明雄、そして淵上誠。
ともに、前日計量は、1発でパスした。
その際に、2人は、言葉を交わした。
生真面目な、まさに性格そのままを、滲ませるかのように。
ホッと一息ついて、久しぶりに、ゆっくりと食事を楽しんでいる、柴田明雄に聞いた。
「淵上さんの印象、ですか? 強そうだなあって思いました」
失礼を承知で書けば、聞いたこちらが思わず苦笑してしまった。
--言葉は、交わしたの?
「はい」
--どういう?
「こんにちは、と、ボクが頭を下げて、挨拶したら」
--したら?
「向こうも、頭を下げて、明日、よろしくお願いしますって」
生真面目 対 生真面目。
結果はどうであれ、素直に両者に声援を贈りたい
熱く、贈りたい