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<リアル サッカー ルポ>なでしこジャパン始動。アルガルべ杯に向けて、強化直前合宿・2日目詳報(前篇)

2016-04-25 23:04:57 | スポーツ

<2015・2・25 掲載>

  約1年ぶりくらいの、「なでしこジャパン」ルポ。

 2月23日(月)から招集合宿スタート。本日、2日目

 男子日本代表チームの、いつ見てもチンタラムードとは違い、無駄が無い練習運び。休憩が、殆んど無い。あっても、一息つくだけ。

 この日も、1日、2回の練習。

 朝は、午前9時から。

 う~ん・・・・・ちょいと遠いし、練習観に、満員電車に、ぎゅうぎゅう詰めさせられてまで、行く気ナシ。

 なもんで、午後3時半開始の、「午後の部」へ。

 昨日の初日は、報道では、練習時間が、「1時間」(NHK)と言ったり、「1時間半」や「2時間」(スポーツ新聞)と書いていたり、まちまちの訳が、あるはずのないことが、起こってる。

 で、会場の「秋津サッカー場」に、10分遅れて着くと、すでに練習が始まっていた。

 これもまた、正確。男子は、おおまか。遅延、早い。10分ほどの誤差は当たり前。

 えっ!

  記者控え室(写真左の、右側のガラス張りの部屋)に、4人もいて、パソコンを見つめている。

 その部屋に、サッカー場グラウンドの模様を映し出すモニター画像は設置されていない。

 一体、練習も見ないで、この記者とおぼしき者ら、何しに来たんだろう??

 まあ、こんなコト。初めて見る光景ではない。

 k-1全盛期のこと。記者は、毎回、150人くらいは会場に来ていた。いや、正確に言おう。記者控え室に、だ。

 試合が行なわれているリングの周囲に、記者席は用意されているし、客席の空いているところには、メイン近くに成っても誰も来ないところには座れる。

 だが、記者の大半は行かない。

 記者控え室で、中継されている大型モニターをチラチラ見ながら、パソコンで記事を打っている。モニター画面からは、フジテレビのアナウンサーと、解説者の声が大きく流れていた。

 ゾッとした

 こいつら、一体何の為に、ここまで来たんだろう? 試合の臨場感を味わい、ファンの動きや、入りなは、ど~でもいいんだな。

  控え室の並びに、狭い記者会見スペースがあり、試合を終えた選手が座ってくれて、話してくれる。でも、そこにくるのは、カメラマンと、記者20人ほど。

 大挙して取材陣が来場し、且つ、「分担制」であるにしても、なんだかなあ・・・・・・。

 また、こんなこともあった。

 ラグビーの試合が、いままさに行われている時の、記者控え室。

 会場の記者席に行かず、モニターテレビ画面を、数人が見ていた。

 思わず、聞いた。

 ---どうして、記者席で見ないんですか?

 中のひとりが、答えた。

 「だって、寒いだもん」

 これが、「報道」の現実です

 あきれつつ、練習公開されている一般席へ。

 わっ! 少な!

  平日。肌寒い午後。とはいえ・・・・以前、12月の年末に書いたように、男子はまだまだ多い。

 また「なでしこジャパン」人気全盛のころは、こんなもんじゃなかった。

 今日は、35人くらいか。

 聞くと、昨日の初日は、これに少し多いくらい。

 取材陣も、今日は、カメラ、VTRカメラマン入れても35人くらい。昨日は、40人くらいとのこと。

 優勝しないと、コレ!か・・・・・・・・。

 それでも、キチンと来ている人、つぶさに見ている人が、いた。

  この顔を見て、すぐ名前が思い浮かぶひとは、相当なサッカー通だ。

 田栄治、61歳。今から12年半前。2002年8月、女子サッカー日本代表の監督に就任。

 翌2003年には、ワールドカップに出場し、その翌年にはアテネ・オリンピックに選手を出場に導いた。指導力には定評のあるひと。

 現在の「なでしこジャパン」の基盤を形作った人物と言って良い。

 現在は、日本サッカー協会の理事であり、女子委員長も兼務している。

 なでしこや、女子の若手低年齢層の合宿には、必ず来て、キッチリと見つめている。

 あの、いつもいつも責任取らない、な~んにもせんむ理事の、原博実のように、せっかくグラウンドにいても、練習を見ずに、終始、控えのケガ組と、たわいもない雑談だけして、監督ともコーチとも、一言も話さず帰ってゆくバカとは、大違い!

 おまけに、驚いたのは、この上田。練習終了まで、まったく座ることなく、立ち続けたまま見ていたこと。

 寒さが身にしみてきたため、体操で体をほぐすも、午後5時17分、練習終了まで起立したまま。

 しめて、1時間47分。たいしたもんです、その真摯な姿勢。

  グラウンド左では、「なでしこジャパン」の練習相手の常連&御用達の「明海大学サッカー部」の面々10人ほどが、ゴール前で練習。

 ん? 協会に聞くと「無いです」と言っていたが、練習試合を、今回もやるのだろうか?

 ちなみに、明海。まったくのボランティア。謝礼、無し。なでしこの中の、好みの子との会話、メール交換、厳禁か? まるで無い。

 身長、体重という、サイズが、外国女性選手に近く、練習相手に最適との判断で、ここ数年、合宿のたびに呼ばれている。

 「明海」と、明快にハッキリ出しているのは、私の記事のみ。ホントに、大学名、知らない番記者すら多くいるのには、あきれる。

 100知って、1書くのが、記者だろうに・・・・・。.

 本格練習が始まる前に、失礼ながら、上田・女子委員長に、いくつか質問させて戴いた。

 ーーー澤穂希(さわ・ほまれ)さん、正直代表入りは、もう無理だと思うのですが、今までの経験を生かして、アシスタント・コーチとしての打診とかは、してみないものですか?

 それを聞くや、上田、少し、苦笑いを浮かべる。

 「澤本人が、代表に意欲を燃やしているんですよ。本当に、本気で代表入りの座を狙ってる。コーチをするという気持ちは、まったく現役の間は、無いと言うんですよ」

 ---選手兼任コーチも?

 「拒否、ですねえ」

 ーーー今日は、明海大学の選手たちと、練習試合を?

 「いや、なでしこの中に入って練習するとか、聞いてます」

 ---今のなでしこのメンバーが、そのまま、6月のワールドカップに行ける?とは、限らない?

 「そうですねえ・・・」

 ---基本は、このメンバーで継続して、多少増減があると?

 「そうなると思います」

 まさに、丸1年前の、このアルガルべ・カップへ向けての、直前日本合宿を見たルポで書いていたのだが、もう、澤の代表入りは、かなりむずかしい、と。

 今年より寒かった同じサッカー場。

 他の選手が素足に長い靴下をはいているのに較べ、澤は、足と太ももを完全保温。

 長年の積み重なった激闘の結果が、否応なく、足首、ひざ、ふとももに響いていた。

 全盛期のようにサッ!と、俊敏に動いてくれない下半身。冷やしたら、さらに稼働がにぶる。

 アタマの方は、経験の積み重ねによる「勘」で、最適の、ベストの位置へ向かって走り出している。パスも、蹴り出すシュートも。

 が、身体が、足が、ついて行ってない。

 それが、所属する昨年の「INAC神戸」の戦績低迷、5年ぶりの無冠の一因になっていた。

 会場にこそ行けていないが、BSでナマ中継や録画された試合は、すべて見ている。全盛期に動きが戻る「奇跡」は、冷たいようだが、無い。

 気持ちと姿勢は、今も強いままということは、昨年9月、アメリカのシアトルのチームから出戻った川澄奈穂美が「一緒に練習していると、澤さんから、もっとうまくなりたい!という気持ちをひしひしと感じます」という言葉からも、分かる。だが・・・・。

 「澤さん」と敬意をもって慕われ、威張らず、聞かれればアドバイス。その性格と力量は、将来の「日本代表女子サッカーチーム監督」に、もっともふさわしい。

 高倉麻子のように、若い世代の子をあやつる、「巧みな人心掌握術」は、まだ持ち合わせていないが・・・・・。

 しかし、「現役」にまだこだわる気持ちは・・・・・わからないでもない。本人の意思に、まかせるほかない。

 見ると、記者席と、協会関係者席には、誰ひとりおらず。今の、「人気」と、「注目度」が分かる。

  

 さて、練習光景に目を転じる。

 早いパス回し。ボール止めて、ワンドリブルや、トラップして、パス。全体で、16人。

 コントロール・パス、自在にボールをあやつれるパスのコントロールを、心掛ける狙い。

 「緩急つけて!」 「サポート!」 「パス、早く回す!」

 コーチの、的確で、短い指示飛ぶ。

 動き、軽快。目下の所、ケガ人、1人も無し。

 声の掛け合いも、良く出ている。

 佐々木則夫・監督。次にやる、4対2の組み合わせ指示。

 4人は、なでしこ。2人は、明海。

 「ココでは、相手の・・・・」と、狙いを解説。選手、理解しやすい。

 「学生さ~ん!」と叫んで、佐々木、「明海大学」のメンバーを呼ぶ。

 4-2、動き出す。

 「ボール、奪われたら・・・」

 「ボール、奪う」

 「ボールを、裏へ」

 などなど、佐々木、注意と指示。

 明海、軽く、なでしこの動きに合わせ、付いてゆく。強いアタックは、無し。ケガでも、この時期、させたもんなら大変だ。が、テキトーもいけない。

 その頃合いが、むずかしい。

 気温、ぐんぐん下がってくる。なでしこのメンバー、一息つく、水呑みタイムに、ひざ屈伸。長い靴下はいてはいるが、ひざの動きが、硬くなりかける。海風も、吹き始める。

  佐々木(写真右端)、メンバー呼ぶ。ホワイト・ボードを手に、書き込み、指示。

 午後4時8分。「学生」も入れて、語る、

 「こう、来たら・・・・・」

 「・・・・・・たら」

 と、あらゆる攻守のパターンを想定し、動きをペンで指示。

 「ハイ、いこう!」

 7対5の、2チームに分かれて、動き出す。

 7は、なでしこ。5は、明海。いしだ壱成(いっせい)そっくりの、高瀬愛実の動きが良い。精力的といえばいいか。

 競り合い。「学生」は、腕を伸ばす程度。

 明海は、黄色と白のビブ着用。

  寒くなってきたが、なでしこは、黒手袋をしている選手は少なく、素手の選手は、はあ~っと、息を手に吹きかけている。

 「特に、サイドも相手を引きつけておいて、裏へ・・・・」と、佐々木。

 細かく、指示。

 「遅いよ、それじゃあ!!」

 「オーケー!」

 選手を、乗せてゆく、佐々木。うまいっ! 選手に笑顔、のぞく。学生パス回してあげる。

 競り合い、走ったら「明海」の方が、常に早い。

 狭いエリアのなかで、パス。動き、競り合い、抜き去る。その繰り返し。

  ゴール・キーパー陣、3人。別練習。高いゴールキックを、キャッチの繰り返しを、もくもくとこなしている。

  <前篇 終了>

 

 

 

 

 



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